まるで運命共同体。タッグを組んで、高難易度の人材獲得に挑む

2020年に創業100年を迎えた自動車メーカー。2019年に採用を強化するためパーソルキャリアのRPOサービスを導入。技術エンジニアの他、需要高まる高度IT人材など獲得が難しい人材の採用をRPOチームと力を合わせて取り組んでいる。

採用とひと口に言っても企業によって取り組みは様々です。”マツダ”の採用について人事本部で採用グループのマネジャーを務める岩坂有洋さんにお話を伺いました。

採用のプロであるRPOサービスを人事のパートナーに

2019年のRPOサービス導入後、2020年にはコロナショックが起こり、採用の手法自体が大きく変わりました。岩坂さんは2020年から現在の人事のご担当になられましたが、当時の状況について振り返っていただけますか。

当時、マツダでは対面で面接をしていたのをオンラインに変えて、と早急に取り組みを変えました。私が人事本部に配属になった時期は、ちょうど軌道に乗った頃でした。面接を対面からオンラインに切り替える段階は、すごく大変だったでしょうね。

私は人事領域での経験が長いわけではなく、長いこと国内営業を経験してきました。前任者が定年退職を迎えるため、後任として来たのですが、業務は前任者からの引き継ぎからスタートしました。引き継ぎ期間が短く、仕事を進めていると分からないことがたくさん出てきてしまって……。人事に関しては素人同然ですから、パーソルキャリアさんに毎日のように電話をして教えてもらい、何とか今日までやってこられました。本当にありがたく思っています。

岩坂さんのご経歴について教えてください

クルマが好きなのでクルマの営業を、関西出身なので西日本の方がなじみ深いと、マツダへの就職を決めました。入社して33年になりますが、30年間の国内営業の中で、販促プロジェクトやマーケティングの担当、営業スタッフの育成など、販売から組織改革、人事関連を経験しました。そして2020年に人事本部へ着任という流れです。

営業と人事では領域が異なりますが、仕事の上で違いなどは感じますか

採用は、要するに人を獲得していくことなので、営業と似ています。激しい競争の中でどのようにして人材やお客さまを獲得していくか。マツダに入社していただくのも、マツダ車を買っていただくのも、やはりこちらを気に入って、選んでいただかないといけません。好意を持っていただくために取り組むという点では、似ていると思いますね。

営業職として名古屋の営業所を担当していたことがあります。名古屋ですから、トヨタ車が浸透していて、「普通はトヨタ車を買うよね」という不利な状況からひっくり返さないといけませんでした。そのためには、どれだけお客さまに入り込むか、気に入っていただくかが鍵となります。気に入られる、という表現がちょっと良くないかもしれませんが、要は関係性を築くことが大切ということです。アフターフォローもしっかりと行い、「知り合いがクルマを買いたいと言っている」という情報を聞けばご紹介いただいたりと、そのようにして少しずつお客さまの輪を広げていきました。

会社を気に入っていただくという点では、営業も人事も共通するものがあるということですね

そうです。また、名古屋の良いところは、一人一台クルマを所有しているので一家族の中で買い替えの時期が継続的に訪れるんです。このように、営業というのはずっと続けていくものだと思うので、もし今回買っていただけなくても次回またチャンスが来ると信じて活動を続けていくことを大切にしていました。
採用も同じように、継続的に取り組んでいくことができないかと模索しています。今は目の前の採用が決まった、決まらない、と一喜一憂しているような状態ですが、今回は辞退されたけれど、次に転職機会があればマツダを選んでいただけるようにアプローチができないだろうか。つながり続ける方法があれば、チャンスが再び訪れるのではないか。せっかくの良い人材を一度ダメだったからと諦めてしまうのはもったいないと思うので、何か取り組みを始められたらと思っています。

採用で直面する課題をRPOメンバーと一緒に解決する

採用の担当者として気を付けている点はどんなことですか

私が就いたのは採用統括というポジションでした。 マネジャーという立場なので、採用の実務に携わっている担当者がやってみたいと思うことはなるべく挑戦させてあげたいな、といつも思っています。あとは面接に来られる応募者さんが合否に関わらず、マツダによい印象を抱いていただけるように配慮しています。採用って、企業側が選んでいるつもりになってしまいがちですが、こちらが偉いわけではないですし、逆に応募者さんも会社を選んでいるわけですから。条件が合えばマツダに入ろうかなと思っていただけるように、対応には気を付けています。

今、課題と感じていることを教えてください

ここ数年、IT系の勢いのある会社など、ひと昔前では考えられなかった業界と競合することが当たり前になっています。マツダは地方企業ですし、自動車メーカーとしてはスモールプレーヤー。他の自動車メーカーやIT系企業と同じことをやっていても勝てません。普通にやって勝てないなら、他社がやっていないことをやって成果を上げていくしかないのではと、思っており、それが課題です。
また、人材募集をしている現場部門からは、一人の採用に一喜一憂するのではなく、もっと中長期で見た方がいいのではないかと言われることもあります。そもそも開発などの部門は中長期で物事を考えるので、採用に関しても継続的に成果が出るようにしたいという考えなのでしょう。きちっと仕組みができているのか、PDCAが回っているのかを気にする部門が多いです。しかし、まず目の前の事態をどうにかしないといけません。短期と中長期それぞれで仕組みを作る必要があると思っています。

RPOサービスの中で、特に良いと思うポイントを挙げるとしたら何でしょうか

一つは、募集部門と直接やりとりをしていただき、部門からの信頼を得てくださっている点。IT系の人材確保に向けてどのように動いていくかなど、採用のプロからアドバイスをいただけるのは非常にありがたいです。パーソルキャリアさんの持たれている知見やバックグラウンドからのプラスαの情報をインプットいただけると、部門の担当者も納得します。すごく頼りにしています。

タッグを強固に、新しい取り組みにも挑戦していく

今後、RPOサービスに求めることはどんなことでしょうか

パーソルキャリアさんはたくさんの企業の採用に関わっており、弊社採用を客観的な視線で見ていただき、現在もそうですが将来に向けて何をしていかなければいけないのかという助言をもっともらえればと思います。

外部環境の変化や事業方針などが影響する中で、これからどのような採用を目指していくのか教えてください

我々が求める人材に入社していただき、さらにその方に長くご活躍いただくことが理想です。欲を言えば、何をせずとも応募者さんがたくさんが来てくれたらいいですが、昨今の採用市場からまず無理なので泥臭く、地道にやっていくしかないと思っています。
マツダが好きだとか、広島に魅力を感じてという方だとありがたいのですが、そういう方ばかりではなく、地方都市ということが最終的にネックになるとも分かっています。勤務地がネックにならないようにフルリモートという勤務体系での採用も一部進めていますが状況が変わったらフルリモートがメリットでなくなるかも知れません。状況はいつ変わるかわかりませんが、ある程度のリスクを抱えながらでも、新しいことに挑戦していく必要があると感じますね。
ただ、パーソルキャリアさんが運命共同体のような形でいてくれるので、本当に頼もしく感じています。これからもよろしくお願いします。

※取材が行われた2023年1月時点の情報です