管理部門
管理(人事、経理等)部門中途採用マーケットレポートは、dodaに登録いただいた求人・登録者から、下記の職種の登録者動向・求人動向・採用ポイントをまとめたレポートです。
※該当職種:経理・財務職、人事・総務職、法務・知的財産・内部監査職、購買・物流職
採用成功のカギは「採用要件適正化」「スピード」「意向醸成」
マーケット概況
2020年5月~7月における管理部門、企画・マーケティング部門の求人数は、2020年2月~4月と比較すると20%ほど減少。新型コロナウイルスの影響から、採用を停止したり、慎重になる企業が増加し、売り手市場から買い手市場への移行が見られる。一方で、緊急事態宣言下において採用を停止していた企業が、リモート環境を整え採用活動を再開するケースも多くみられる。
先行きが不透明な中においても、リーマンショック時の採用を教訓に、管理部門の強化や業務フロー再構築など組織改善・強化に向けた動きを進める企業が多い。採用マーケットが過熱していたころより求人数が落ち着き、ライバル企業が出てきにくい状況をチャンスととらえ、優秀な人材の獲得を進める企業もみられる。
転職希望者側は、市況への不安感もあり、「景況感を踏まえた転職時期の相談/現職以上に良いところがあれば転職を考えたい」という方の登録が増加している。また、コロナ禍での就業環境の変化を受け、リモートワーク可能な企業など柔軟な体制や環境を希望条件に挙げる方が増える傾向にある。
リモート環境下でのWeb面接を活用し、これまでより多くの面接を受けることが可能となっており、世の中の「はたらく」が大きく変化する中、転職活動においても企業側、転職希望者側ともに新しい働き方への変化や環境への対応が求められている。
採用成功のポイント
ポイントは「採用要件適正化」「スピード」「意向醸成」
配属部門からの増員要請であがってくる採用要件には、任せたい業務内容に対してオーバースペックであるケースや、採用マーケットとのズレが生じているケースが多く見受けられる。募集時には現場と適切に採用要件をすりあわせ、採用マーケットを考慮した要件で進めていくことが採用成功のポイント。
営業職や技術職と比べて対象となる母集団が小さく、継続的に採用候補者があがってくるという状態にはなりにくい。
初回の母集団の中で内定に至らない場合は採用が長期化するケースが多い。
総じて、当該領域の採用に成功している企業に共通するポイントは以下3つ。
・募集を行うタイミングで、現場と適切な要件定義をする
・募集後の初回の母集団で、内定・入社まで進める「短期集中型」の選考を進める
・選考からオファー提示に至るまで、常に求職者の希望に沿う情報を提供する
また、Web面接導入により転職希望者の面接場所への移動コスト軽減され、面接を受けやすい状況下にあるため、採用熱度が高い場合には、Webを活用して面接機会を増やし採用検討していくことが採用成功のポイントになる。
貴社の担当営業と連携し、貴社の採用を支援します。お気軽に貴社担当営業にお問い合わせください。
経理・財務職
- 2020年5月~7月の登録者数は、2020年2月~4月に対し102%と微増
- 2020年5月~7月の求人数は、2020年2月~4月に対し75%と大幅減 (1)転職市場の状況に合わせた適切な要件定義 (2)入社後の仕事内容・キャリアパスの明確化 (3)Web面接等も導入した短期集中型選考
経理・財務職の登録者動向
対象:2020年7月にdodaにご登録いただいた転職希望者
- 年齢
- 41歳以上の登録者が44%を占めており、管理部門職種の中でも平均年齢が高い傾向にある。
- 職種
- 「経理(財務会計)」が66%と過半数を占め、「財務」が13%、「管理会計」が12%、「内部統制」が9%と登録者の構成に大きな変化はない。特に、事業会社の経理(財務会計)の採用においては、事業会社での実務経験者の獲得競争が激化している(上場企業出身者は特にその傾向にある)ため、経験年数の短いポテンシャル層・第二新卒層や、経験豊富なシニア層、あるいは事業会社以外のコンサルティング会社や会計事務所などでの経験者まで対象者を幅広く見ていきたい。
- 業界
- メーカーが31%と突出しており、建設・プラント・不動産が10%で続いている。その他の業界の経験者も幅広く登録しているため、出身業界は限定せず検討していきたい。
- 志向性
- 経理職経験者においては、経理領域における業務範囲の拡大、専門性の向上を希望する傾向がある。また、上場企業での連結決算・開示業務やIPO、業務改善やマネジメントなどの難易度の高い業務に挑戦できる環境を求める転職希望者もいるが、全体的に見ると腰を据えて着実にスキルを積んでいきたいと考える安定志向の転職希望者が多数を占める。入社企業の決定の際には、業界・会社の安定性や将来性、残業時間などの就業環境面を重視する傾向が強い。
- コロナウイルスの影響
- 業績悪化を懸念した登録者が増えている。一方で、上場企業出身者など、現職の環境が安定している優秀層の転職活動はやや鈍化傾向にある。
経理・財務職の求人動向
対象:2020年2月1日~2020年7月31日にdodaにご登録いただいた求人件数と登録者数。
2月の数値を「1」とした場合の変化を表しています。
各社のニーズは、事業会社の決算業務やマネジメントの経験のある中堅・リーダー層に集中しており、この層は獲得競争が激化している。そのため、選考において学歴・転職回数などの条件を幅広く検討したり、簿記資格を保有している未経験者にもターゲットを広げて検討している企業も見られる。コロナウイルスの影響による採用計画の変更や在宅勤務への移行のため、採用が保留・中断となる求人も一定数あったが、Web面接などを導入して選考を進めている企業では、採用が成功している傾向にある。
経理・財務職の採用成功POINT
まずは転職市場の状況に沿った適切な要件定義のもと、採用要件の緩和や拡大を行う必要がある。配属部署の担当者が採用に慣れていない場合、非現実的な採用要件で募集を行ってしまい、数年スパンで長期化してしまうケースもあるので注意したい。
経験者は経理領域における業務範囲の拡大、専門性の向上を希望する傾向があるため、自身の希望する働き方が安心して実現できる環境かどうかを非常に重視する。業務内容や今後のキャリアパス、配属組織の構成、会社全体の事業展開など細部も含めてそれを判断するため、求人票や面接でしっかりと情報提供を行うことがカギとなる。また、転職活動に時間を割くことができる閑散期に効率良く選考を進めたいと考える転職希望者が多いため、「短期集中型選考」を実現することで採用成功の可能性が高まる。
初回募集時の母集団内で絶対評価で判断し、競合他社に先駆けて内定・条件提示まで進めていきたい。また、現在はコロナウイルスの影響で在宅勤務となり、日中の面接が可能となっている転職希望者も一定数いる。複数の企業の選考を並行して進められる求職者が増えているため、複数社からオファーを得ることも多い。そのため求職者の志向性を踏まえた魅力の訴求と内定までの選考期間を短縮することが採用成功のポイントとなる。
人事・総務職
- 登録者数は2020年4月比で97%と横ばい。スキルフルな40代の登録者が多い一方で20代の登録も微増、ポテンシャル採用のチャンス
- 新型コロナウイルスの影響で求人数は4月比で約3割減。先の見通しが立ってきた中で、職種によっては増加も
- 採用活動の拡大タイミングとスピード感が重要
人事・総務職の登録者動向
対象:2020年7月にdodaにご登録いただいた転職希望者
- 年齢
- 40代の登録が約33%と依然高い状況。新型コロナウイルスの影響範囲が一定把握でき、将来への不安を感じる方、企業の早期退職制度を使う方も一定数いる傾向。一方で20代も約33%と微増し、将来への不安を感じながら新たな環境へのチャレンジを考えている方が多くなっている。
- 職種
- 採用・教育36%、総務28%、労務・人事制度18%、給与社保12%と続く。採用教育が微減。労務、給与社保が1%強登録を伸ばしてきており、特に年末調整対応など採用チャンスが広がっている。総務は株主総会・ファシリティ関連業務から日常的な庶務業務担当者も含まれており登録者も増加している。
- 業界
- トップはメーカーで24%、引き続き人材流動が見られる人材サービス、インターネット・広告、IT・通信などの無形業界出身者も増加傾向。不動産、建築出身者が増加傾向。
- 志向性
- 会社存続の安定性はもちろん、新型コロナウイルスで大きく世の中が変化する中で、今後の事業の成長性(プロダクト、サービス)などを重視する登録者が増えている。また働き方(リモートワーク)の柔軟性を求める方も増加。給与社保担当者は長期的に働ける環境を好む傾向があり、また採用担当者や制度担当者については、キャリアアップを目指す層も多く、人事制度、戦略人事、タレントマネジメントなどチャレンジできる環境を求めている層も増えている。
人事・総務職の求人動向
対象:2020年2月1日~2020年7月31日にdodaにご登録いただいた求人件数と登録者数。
2月の数値を「1」とした場合の変化を表しています。
- 採用・教育
- 新型コロナウイルスの影響で採用活動停止や研修実施が滞っていることから求人は減少傾向だったが、採用については先の見通しが立ち始め、経験者、ポテンシャル層の積極的な取り込みから求人数は増加。教育研修の求人数は低迷している。
- 給与・社保
- アウトソーサーなど依然ニーズは高い。実務経験の少ない若手ポテンシャル採用を進めてきたが、教育コストをかけられない背景から、即戦力として活躍できるベテラン層の採用を積極的に行っている傾向。
- 制度
- リモートワークの導入をはじめとし、評価制度・賃金制度の改定、法改正に伴う制度の見直しなどニーズは高い。
人事・総務職の採用成功POINT
経験豊富な方、ポテンシャル層の方の活動意欲が高まっている。実務経験豊富な40代の登録が増えているため、即戦力としての活躍が見込め、組織構成に合うようであれば採用も視野に入れたい。若手の経験者にはオファーが集中する傾向があり、選考スピードや面接での印象、就業条件、会社のビジョンなどあらゆる角度から転職先を判断する傾向にある。
若手ポテンシャル層に関しては経験は浅いものの優秀層の登録も拡大しているため、将来的な組織体制を考えていく場合は活動意欲が高まっている今のタイミングでの採用をお勧めしたい。
オンライン面接が普及したことで面接実施のハードルが下がり、転職活動を行いやすくなっている転職者も一定数いる状況。書類選考のスピードを早めたり、対面を必須とせずオンラインで早期に選考を進めていけるか否かが採用成功のポイントとなる。
法務・知的財産・内部監査職
- 依然として登録者は少なく、平均年齢は高め。会社の成長フェーズに携われる、といった成長環境を希望する層が増加
- 2020年2月以降、新型コロナウイルスの影響で求人数は減少傾向
- 経験者・弁護士資格保有者に複数のオファーが集中する傾向。挑戦できる環境を提供できるかがカギ。知識ある未経験ポテンシャル採用も積極的な検討を
法務・知的財産・内部監査職の登録者動向
対象:2020年7月にdodaにご登録いただいた転職希望者
- 年齢
- 40代以上の登録者が56%と、管理部門の中でも平均年齢が最も高い。
- 職種
- 法務が54%を占め、内部監査25%、知財21%の順で登録者が多い。
- 業界
- 機械電気メーカー24%、素材化学メーカーが10%と大半を占める。次いで金融、建設不動産が続く。IT、ネット業界経験者は微減。
- 志向性
- 法務は業務範囲を広げたいという志向性が目立つ。契約者チェック等の限られた業務だけでなくグローバルやM&A、新規ビジネス関連など戦略法務を目指し、現職より学べる環境を求めている傾向。弁護士試験を続けてきた方や法学部出身で企業法務への挑戦を希望する層も増加している。
法務・知的財産・内部監査職の求人動向
対象:2020年2月1日~2020年7月31日にdodaにご登録いただいた求人件数と登録者数。
2月の数値を「1」とした場合の変化を表しています。
海外展開やM&Aなど事業成長フェーズの業界・企業はやや増加傾向にある。また内部統制、内部監査の求人が増加している。
法務機能の内製化や新型コロナウイルスの影響による巣ごもり需要やリモートワーク導入が進んでおり、IoTやECなどの法対応は引き続き増加すると想定される。
中でも人材サービス業界、IT・通信業界やインターネット・広告業界は、弁護士を目指していた方や法学部出身者など知識のある未経験の採用を積極的に進めている傾向にある。
知財においては、理系バックグラウンドが必要な技術系の発明発掘・特許化だけでなく、商標系の案件も微増している。
法務・知的財産・内部監査職の採用成功POINT
弁護士資格保有者は依然として採用難易度が高く、即戦力となる法務の実務経験者も複数のオファーが集中している状況。
M&A・海外法務など、法務として経験の幅を広げられるか、難易度の高い業務に挑戦できるかを見定める傾向。また、会社としての事業戦略や方針などが担当業務に影響してくることも多いため業界の成長性などから携われる業務を判断する傾向もあり、コロナショックを経た後のキャリアビジョンを面接でどれだけイメージさせられるかがカギとなってくる。
前提として法務経験者が少ない状況の中で、ベストマッチの採用は難易度が高い。適切に採用要件を設定し、業務親和性やポテンシャルを重視した採用も検討することをお勧めしたい。
購買・物流職
- 2020年5月~7月の登録者数は、2020年2月~4月に対し97%と微減
- 2020年5月~7月の求人数は2020年2月~4月に対し81%と大幅減少も、労働力不足、業務改善をテーマとした採用ニーズが引き続き高い
- 採用要件定義は「業務遂行能力」にフォーカスすることが成功の秘訣。物流業界出身者やコンサルタントを積極的に検討したい
購買・物流職の登録者動向
対象:2020年7月にdodaにご登録いただいた転職希望者
- 年齢
- 登録者の内訳は、30歳以下が33%、31~40歳が30%、41歳以上が37%と各世代に分散している。倉庫管理・在庫管理や貿易実務などのオペレーション中心の業務の担当者は年齢層が低く、SCMや物流企画、購買調達など上流工程の担当者は30代・40代以上が中心。
- 職種
- 「倉庫管理・在庫管理」が35%、「購買・調達・バイヤー・MD」が28%、「物流管理」が20%と続いている。ニーズが高まっている「SCM企画・物流企画・需要予測」は全体の7%と希少であり、求人数と登録者数にギャップが生じている。
- 業界
- 荷主側であるメーカーが39%、運輸・物流業界が38%、商社が10%、小売が8%と続く。
- 志向性
- 倉庫管理・在庫管理に従事している転職希望者は、就業環境改善や物流の上流工程への挑戦を希望するケース、物流業界から荷主側であるメーカー・商社への挑戦を希望するケースが多い。また、営業職などの他職種へのキャリアチェンジを希望することもある。経験豊富なミドル層以上は、一部分の管理的業務から企画・戦略業務へのステップアップなど、現職では経験できない、あるいは到達するまでに時間がかかる領域への挑戦を希望しているケースが多い。
購買・物流職の求人動向
対象:2020年2月1日~2020年7月31日にdodaにご登録いただいた求人件数と登録者数。
2月の数値を「1」とした場合の変化を表しています。
物流業界においては、ECの増加などによる慢性的な労働力不足に加えて、働き方改革も急務となっており、求人ニーズは活況となっている。現場のオペレーション業務においては、物流業務の経験がなくても、調整・改善業務の経験があればターゲットとする企業が増えてきている。
メーカー・商社など事業会社の物流・購買調達部門においては、業界・取扱商材などの親和性を強く求める求人が多い。
新型コロナウイルスの影響による業務の混乱や採用計画の変更により、特に海外とのやり取りのある部門の求人は選考が保留・中断となったケースもあるが、採用活動を再開している企業も見られるようになってきた。
購買・物流職の採用成功POINT
SCMや物流企画などを担う人材は希少で、採用が難航しがち。需給予測やコスト判断などの企画業務自体には業界特有の要素が薄いことから、企画力や推進力を評価し、「業界へのキャッチアップ」を入社後の導入研修で担保する企業の採用が成功している傾向にある。異業種の類似業務経験者や物流コンサルタント、3PLで物流企画をしている方なども検討に入れ、対象を拡大していきたい。商材経験が必須であれば、同商材の営業経験者を検討するなど、視点を変えて採用を行っている企業が見受けられる。
倉庫スタッフでも作業効率などを重視する際には他業界でBPRや業務改善の経験者を登用するなど、できる限り対象範囲を広げておくことがポイントとなる。また、キャリアパスを気にする方も多く、明確にするか、いくつかのルートがあるという選択肢を見せることもポイント。資材購買も同様で対象範囲を広く検討したい。
面接時間のアレンジは柔軟に対応したい。通常時から日中~夕方は勤務を抜けられないケースが多いうえに、新型コロナウイルスの影響で忙しさが増している転職希望者も多いため、平日19時以降や、土日の面接枠があると参加率は向上する。勤務地が遠隔地であることも多いため、Webを活用した遠隔面接も大変有効である。
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管理部門の中途採用市場レポート(2020年8月発行)ページです。【中途採用をお考えの法人様へ】dodaサービスのご案内 - 採用成功への扉を開く、総合採用支援サービス