金融業界
金融業界中途採用マーケットレポートは、dodaに登録いただいた求人・登録者から、下記の職種の登録者動向・求人動向・採用ポイントをまとめたレポートです。
※該当業種:銀行、証券、保険、運用アセットマネジメント、クレジット/カード/信販、リース、監査法人・税理士法人・会計事務所・その他アドバイザリー
求人件数は新型コロナウイルスの影響もあり、4月以降は減少に転じている。
即戦力、かつ厳選採用に切り替える企業も増えており、
Web面接の導入事例も増加している。
保有求人件数と登録者数推移:2019年7月の数値を「1」とした場合の変化を表しています。
2019年7月1日~2020年6月30日にdodaにいただいた求人件数と登録者数。
保有求人件数と登録者数推移:2019年7月の数値を「1」とした場合の変化を表しています。
2019年7月1日~2020年6月30日にdodaにいただいた求人件数と登録者数。
銀行
- 緊急事態宣言解除の流れもあり、登録者数は4月を底に5月・6月は回復
- 求人数は昨年同水準で推移。オンライン面接を導入し、選考を進める銀行も多い
銀行の登録者動向
対象:2020年4月1日~6月30日にdodaにご登録いただいた方。
新型コロナウイルス、緊急事態宣言の影響もあり、転職活動を自粛した方も一部おり、4月は登録者が落ち込んだものの、徐々に回復傾向にある。※「銀行員の転職が活発化している」というよりは「転職市場全体が活発になっている中で銀行員の登録者数も増えている」という表現の方が適切。
登録者は引き続き若年層が大半を占めており、その中でも「営業職」「事務職」の登録者数が多く、次いで「金融系専門職」が多い状況。シニア層(50代以上)の登録割合も増えているため、今後、経験豊富な銀行員がセカンドキャリア、サードキャリアを求めて転職市場に出てくる可能性がある。20代の転職希望者は異業界への志向性が強い傾向にあり、同業界も選択肢の1つとして考えるものの志望度は低いことが多い。企業側はこれまでの経験を活かしたキャリアだけでなく、自社の社風など、他金融機関と比べた際の魅力点を訴求していく必要がある。
一方、30代以降は、引き続きスキルを活かし同業界を志す傾向に。信金、信組、地銀の出身者は、同業界でのステップアップまたは金融関連企業で自身の経験を活かせるところを探す傾向があり、選考でその経験を評価されるケースも多い。また、現職よりも年収アップを見込めるケースが多いため、登録~応募までつながりやすい。 専門性の高い求人であればあるほど、各社の採用ターゲットが重なっているため、いかに自社の魅力を伝えるか、面接での動機付けを行うかが重要となる。
また、withコロナの中でオンライン面接という新たな面接方法を用いる金融機関も増えている。 対象となるスキルを持った転職希望者の「転職活動の動き方」や「志向性」などを意識し、求人募集時には自社の魅力の打ち出し方や採用手法を改めて検討することが必要となる。
銀行の求人動向
保有求人件数と登録者数推移: 2019年7月の数値を「1」とした場合の変化を表しています。
対象: 2019年7月1日~2020年6月30日にdodaにいただいた求人件数と登録者数。
新型コロナウイルスの影響で対面面接ができずに採用活動が「凍結」となっていた銀行でも、オンライン面接を導入し、今まで以上に効率的な選考スタイルを確立し始めた企業が増えてきている。
求人数は昨年同水準。都市銀行や大手信託銀行、業界内でも存在感を示しているネット銀行を中心に、専門人材や「事業拡大に向けた増員」の採用に注力する銀行が多く、2020年度の採用に向けた求人増加が多く見られた。ポテンシャル系の求人だけでなく、専門性を必要とする求人ニーズが増加し、採用難易度はさらに高くなる見込み。個人の転職意欲は鈍化しておらず、他業界も含めると求人数は減少傾向にあるため、一時的な「買い手市場」現象はもう少し続くと予想される。
各社の具体的な採用ターゲットはデータ活用、システム系などをはじめとするデジタル系人材に加え、金融専門職の採用も引き続き行っている。母集団が少ないため、自社の魅力をいかに転職希望者に訴求するかに注力する必要がある。人材紹介会社の担当者と現場部門の接点を持たせることで、より詳細な情報を転職希望者に伝える動きを取る企業も多い。その他、コンサルティングファームや監査法人、他金融機関を含む「異業界」の経験者を採用する動きもある。
専門職ポジションについては経験年数に一定の基準を設ける企業がある一方、条件を絞らずに幅広く面接をしている企業も増えつつある。転職顕在層に経験者が少ないことから、少数の転職希望者を各行が採り合う様相を呈している。
証券
- 登録者数は4月を底に5月以降は回復が見られる
- 求人数は横ばいで推移。投資銀行部門、システム部門、リテール部門の求人が中心
証券の登録者動向
対象:2020年4月1日~6月30日にdodaにご登録いただいた方。
登録者の年齢別内訳では20代が約7割だが、中でも第二新卒(25歳以下)の登録が全体の4割弱と増加傾向。異業界への転職志向が強く、特にコンサルティングファームやインターネット会社等への転職を希望するケースが見られる。職種としては法人営業、コンサルタントや未経験M&Aを志望することが多い。営業から事務職へのキャリアチェンジを図るケースもある。シニア層の登録割合も直近3年で緩やかに増加しており、全体の約2割を占める状況。
引き続き、若手はインセンティブ要素の大きい年収制度やノルマのプレッシャー等により将来的なキャリア形成に不安を感じ、異業界への転職を目指して活動する方の割合が多いが、30代以上になるとこれまでの経験を活かした職種での転職を検討するケースが多く、働き方を変えつつキャリアの広がりも転職活動の軸として持つ方が多い。
証券の求人動向
保有求人件数と登録者数推移: 2019年7月の数値を「1」とした場合の変化を表しています。
対象: 2019年7月1日~2020年6月30日にdodaにいただいた求人件数と登録者数。
新型コロナウイルスの影響もあって採用を「中断」する企業もあったが、オンライン面接を通じて採用活動を継続する企業も多く、証券業界全体として採用の「熱度」に低下は見られない。即戦力性の高い投資銀行部門の求人やシステム部門の専門求人の重要度が高く、各社複数の人材紹介会社を利用して採用活動をしているものの、母集団が限定的なため苦戦をしている状況。
売り手市場が続き、競合企業とのバッティングから選考調整が難航するケースも多く、引き続き書類選考期間の短縮と、応募者各人への口説きが採用成功のカギとなっている。
また各社ともフロントポジションでは異業界への志向が強い若年層へのアプローチを強化する企業が目立つ。 求人の打ち出しや、企業の将来性といった方向からアプローチをさらに強化していく必要がありそうだ。
保険
- 登録者数の減少傾向は今後もしばらく続く見込み。また現職の働き方改善から転職意欲も一定軽減か
- 全体的に求人数は減少傾向。営業職の採用は一部クローズも。年収500万円以上の求人は継続&厳選採用傾向
保険の登録者動向
対象:2020年4月1日~6月30日にdodaにご登録いただいた方。
登録者数は今年の2月以降一貫して減少傾向であり、特に新型コロナウィルスの影響が大きかった4月に大きく減少。5月・6月に若干持ち直しているが、低い水準が続いている。
例年であれば4月の異動などで新天地配属になった方がその環境に慣れ、今後のキャリア再考ならびに、夏の賞与支給のタイミングを鑑みて、6月ごろには登録者数が伸びる傾向にあるが、今年はまだ経済環境や転職市場の先行きが依然として不透明であることから、例年並みの登録増は見込めないと想定される。また大手保険会社では今回の新型コロナウィルスの感染防止策としてリモートワーク・時差出勤等も一部整備されたことに伴い、現職への不満が一部改善されたことも影響している。
登録者の属性として、年齢層は20代の若手が約半数である一方、40代以上も3割を占めているのが特徴的である。職種別には営業職が57%、事務アシスタントが23%と全体の8割を占めている一方、企画・管理職を含めた金融専門職種(アクチュアリー・経営企画・営業企画など)および社内SE職の登録者の割合が低く、引き続き採用苦戦が強いられる見込みである。
保険の求人動向
保有求人件数と登録者数推移: 2019年7月の数値を「1」とした場合の変化を表しています。
対象: 2019年7月1日~2020年6月30日にdodaにいただいた求人件数と登録者数。
求人数に関しては2月をピークに減少傾向にあり、他の金融業界と比較しても特に減少幅が大きいことが特徴といえる。営業職では採用が完全クローズ、また全社的に採用を大幅削減という企業がある一方で、「採用継続だが、厳選採用」となり、例年よりも内定の条件を引き上げるケースが散見されている。「他社が採用を控えているうちに採用数を増やしたい」という企業もあるので、各社ごとに採用戦略を検討している印象。
選考フローにおいては「Web面接と対面面接の併用スタイル(応募者の希望に合わせる)」というスタイルを早期に実現した企業が、新型コロナウイルスの渦中でも採用数を担保できた模様だ。
社内SE(アプリ・インフラ)やシステム企画などのIT職採用については、異業界を含む競合との採用争いはさらに過熱、採用に苦戦することが見込まれる。金融専門職についても採用熱度は高いものが多いが、採用ターゲットが市場に少ないこともあり、採用が長期化している求人が目立っている。より厳しい採用マーケットの中で、採用要件の見直し・採用要件の緩和・未経験者採用への切り替えに伴う教育体制の強化など、さらなる変更が求められる。
運用アセットマネジメント
- 転職者の動きは若干落ち込み、例年と同程度に
- 求人数は大きく減少。厳選採用が進み優秀層の採用競争は依然激しい状態
運用アセットマネジメントの登録者動向
対象:2020年4月1日~6月30日にdodaにご登録いただいた方。
2020年4月~6月の登録者数は2020年1月~3月比で約94%。新年度の4月1日入社を目指した転職が落ち着くとともにコロナ禍に突入し、昨年と同程度の推移となった。
若手、シニア関わらずもっとも多い転職理由は引き続き「希望職種での経験を積みたい」というもの。日系運用会社では定期異動による配置換え、外資系ではチームの状況、年収ダウンがきっかけとなっていることが多い。
また特に金融専門職種採用の場合は、「良い求人があれば転職する」といった転職意欲が決して高くない登録者も目立つ。ダイレクト・ソーシング等をはじめとした採用チャネルの拡大による転職潜在層へのアプローチや、採用マーケットに合わせた採用要件の見直し、受け入れ体制の整備など、より自社に合う人物を迎え入れるための工夫が求められる。
運用アセットマネジメントの求人動向
保有求人件数と登録者数推移:2019年7月の数値を「1」とした場合の変化を表しています。
対象:2019年7月1日~2020年6月30日にdodaにいただいた求人件数と登録者数。
2020年4月~6月の求人数は2020年1月~3月比で約61%と大きく減少。コロナ禍による景況感や株式市場の冷え込みから、採用の優先度が下がり求人を取り下げる例が散見された。特に株式や債券の運用を得意としている企業は、求人取り下げないし厳選採用とするケースが多い。
成長中の新興企業やREIT会社等、会社のフェーズやアセットの種類によっては引き続き熱度高く採用を行っている企業もある。ただし厳選採用の傾向は全体的にみられるため、引き続き運用のポジション等金融専門職における即戦力人材の引き合いは強い。転職市場を意識した給与体系の見直しや選考スケジュールの柔軟な調整等、転職希望者に合わせた工夫をどれだけできるかが採用成功のカギとなる。
また、社内に優秀な経験者がいるのはこの市況感においても採用活動における強みであるため、面接に優秀な社員をアサインする、優秀な社員からの教育をフックにポテンシャル採用を進めるといった動きは、現況において採用を成功に導く1つのポイントである。
クレジット/カード/信販
- 新型コロナウイルスの影響もあり様子見の転職希望者が増加
- 求人数は緊急事態宣言解除後に回復傾向が見られる
クレジット/カード/信販の登録者動向
対象:2020年4月1日~6月30日にdodaにご登録いただいた方。
わずかながら増加傾向にあった登録者数だが、新型コロナウイルスの影響もあり直近3カ月では減少傾向に転じた。
同業界では全国転勤を前提とした人事制度となっている会社が多く、ライフイベント等をきっかけとして「転勤のない会社への転職」を目指し転職活動をする登録者が多い。
転職の緊急性が低い方はコロナ禍で転職活動を控える傾向にあったことが、登録減の要因と思われる。登録者の属性を見ると営業職が約3割を占め、クレジットカードのカウンター営業や代理店営業経験者が多い。一方で企画・管理系職種やバックオフィス系職種の登録やカウンセリングは少なく、転職へのニーズの高い職種がはっきりする結果となった。
クレジット/カード/信販の求人動向
保有求人件数と登録者数推移:2019年7月の数値を「1」とした場合の変化を表しています。
対象:2019年7月1日~2020年6月30日にdodaにいただいた求人件数と登録者数。
新型コロナウイルスの影響もあり求人数は減少傾向となったが、緊急事態宣言中の5月が底となり、緊急事態宣言解除後は回復基調にある。また、緊急事態宣言下でもWeb面接ツールを導入した会社は継続して選考を続けており、採用競合が少ない状態で即戦力となる人材が採用できたケースが見られた。今後もWeb面接を有効活用することが採用成功のカギとなりそうだ。
コロナ禍において脱現金がトレンドになる中、政府のキャッシュレス支援策が終了しても同業界への社会的な期待は継続していくものと思われる。実際に緊急事態宣言が解除されると多くの会社で採用が再開され、今後も即戦力となる人材の取り合いは続きそうだ。特に社内SE、データ分析などのシステムは引き続き求人倍率が非常に高いため、Web面接の有効活用や現場担当者との密な連携、面接フローの改善等工夫が求められる。
リース
- 登録者数は直近3カ月では若干減少傾向。登録層は20代半ば~30代半ばの割合が高い傾向
- 新型コロナウイルスの影響により、求人数はリースだけでなく金融業界全体で減少するも足元では回復の兆し
リースの登録者動向
対象:2020年4月1日~6月30日にdodaにご登録いただいた方。
リース業界の登録者は金融業界内でも特に限定的であり、実際にアクティブに活動する方は希少性が高い。転職先としては、引き続き同業界に加えてメーカーやリース以外の金融などが多いが、諸条件を慎重に見極める転職希望者も多く、応募には腰が重い。
即戦力を求める傾向の強い企画・管理部門などの専門職種経験者の登録は少なく、依然として求人倍率は高い状態である。専門性を必須とする職種については転職希望者も多忙であるため、夜間やSkypeによる面接、休日選考の実施など柔軟に対応している企業へ転職する傾向が強まっている。
他職種についても、引き続きリース業界出身の転職希望者は他業界へのキャリアチェンジを希望する傾向が強いため、業界経験者に限定せず幅広く採用活動を行っている企業が多い。
リースというとオートリースやベンダーリースなど幅広くある一方で、転職希望者のイメージはオートリースが強い傾向にある。金融業界出身者を採用する場合、リース業界内における自社のブランディングをいかに打ち出せるかが採用のポイントになりそう。
リースの求人動向
保有求人件数と登録者数推移: 2019年7月の数値を「1」とした場合の変化を表しています。
対象: 2019年7月1日~2020年6月30日にdodaにいただいた求人件数と登録者数。
専門スキルを必要とする部署(審査部、不動産部門、管理部門、プロジェクトファイナンス、航空機ファイナンス等)のニーズが引き続き強い状態。
不動産や航空機は即戦力としての知識を求めるため、金融業界出身者以外で知識を持つ人材をターゲットにするケースも。リース営業などの求人は減少したものの、ファイナンス系求人がリース業界ではメインということもあり、即戦力ではなく金融業界出身でリース未経験者を募集対象にする企業もいる。また、IT系・デジタル系の人材を採用していくニーズも強い。認知度向上のための求人媒体の利用やスカウトメールの配信など、幅広い採用手法を用いることで採用成功につなげている企業も多い。
また、新型コロナウイルス感染拡大防止のために面接手法を変更した金融機関は多い。そのため面接についてもSkypeなどのWebによる面接対応(時間帯は終業後など)、休日Web選考の実施など柔軟に対応できるかが引き続き重要になってくる。
監査法人・税理士法人・会計事務所・その他アドバイザリー
- 2020年4月~6月の登録者数は2020年1月~3月から大きな変化はなく横ばい
- ポテンシャル層の採用数を抑え、有資格者など即戦力の採用に厳選する傾向が顕著
監査法人・税理士法人・会計事務所・その他アドバイザリーの登録者動向
対象:2020年4月1日~6月30日にdodaにご登録いただいた方。
監査法人・税理士法人出身者の登録者数は大きな変化はなく横ばい傾向であり、会計士や税理士の有資格者は非常に少ない状況である。有資格者については現職が多忙であることや、現職よりも条件の良い環境を選べる立場にあることから、登録後、転職活動を行うまでに腰が重い方が多いのも特徴。転職理由としては働き方改善や、クライアントワークの立場改善を目的とする方が多く、同業他社ではなく事業会社の経理財務・企画等を希望する方が多い傾向にある。
実際に転職活動を行う方は上記のように現職に不満をもっており、業界を変えたいという意向が強いため、経験者をターゲットとする場合は転職顕在層よりも転職潜在層に対して、待遇アップや自由度の高さなどを部門レベルで具体的に訴求する必要がある。
監査法人・税理士法人・会計事務所・その他アドバイザリーの求人動向
保有求人件数と登録者数推移: 2019年7月の数値を「1」とした場合の変化を表しています。
対象: 2019年7月1日~2020年6月30日にdodaにいただいた求人件数と登録者数。
新型コロナウイルスが事業に及ぼす影響が計りきれない状況下、各社ポテンシャル採用をいったん中断し、即戦力採用のみに焦点を当てている傾向にある。
そのため即戦力となる管理職層や有資格者の採用はレッドオーシャンとなっており、応募プロセスの短縮や選考初期段階の動機付け、各転職者にカスタマイズした具体的な魅力訴求、人材紹介会社に対するFeeUP等、採用成功のためには各種工夫が必至となっている。
急いで採用しなければならない場合は採用背景に基づいて要件を見直し、「実務経験のない有資格者」を狙う・転職回数や学歴等は可能であれば緩和する、など適切にターゲットを広げる必要がある。
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金融マーケットレポート(2020年7月発行)ページです。【中途採用をお考えの法人様へ】dodaサービスのご案内 - 採用成功への扉を開く、総合採用支援サービス