管理部門
管理(人事、経理等)部門中途採用マーケットレポートは、dodaに登録いただいた求人・登録者から、下記の職種の登録者動向・求人動向・採用ポイントをまとめたレポートです。
※該当職種:経理・財務職、人事・総務職、法務・知的財産・内部監査職、購買・物流職
採用成功のカギは「採用要件適正化」「スピード」「意向醸成」
マーケット概況
2019年11月~2020年1月における管理部門、企画・マーケティング部門の求人数は、2019年8月~10月と比較すると若干の減少。景況感の変化から一部採用に慎重になる企業が発生しているとはいえ、依然として売り手市場が続く。求人数が高止まりしている背景は管理部門体制強化や新規事業開発、デジタルビジネスの強化、営業戦略の再構築など組織変革が目的であることが多い。事業会社だけでなく、コンサルティングファームなど各部門のカウンターパートも採用競合になるため、激しい採用競争が続いている。
採用マーケットに合わせた採用要件の適正化をせずに一方的な募集活動を進めると、大手有名企業でも採用が難航してしまう。転職希望者側は、近年の就業価値観の多様化に伴い、「今以上に自分の理想の環境・キャリアに近い場所」での就業を求める傾向が強まっている。現職を退職するリスクの代わりに得られるベネフィットの大きさを重要視し、理想に少しでも近づけなければ転職しないと考える傾向が強い。そのため、選考中に高かった入社意向が、希望に届かない採用条件の提示を受けて大きく下落したり、採用競合がより高い採用条件を提示したことによって志望度が逆転するというケースも多々発生している。
採用成功のポイント
ポイントは「採用要件適正化」「スピード」「意向醸成」
配属部門からの増員要請であがってくる採用要件には、任せたい業務内容に対してオーバースペックであるケースや、採用マーケットとのズレが生じているケースが多く見受けられる。募集時には現場と適切に採用要件をすりあわせ、採用マーケットを考慮した要件で進めていくことが採用成功のポイント。
営業職や技術職と比べて対象となる母集団が小さく、継続的に採用候補者があがってくるという状態にはなりにくい。初回の母集団の中で内定に至らない場合は採用が長期化するケースが多い。総じて、当該領域の採用に成功している企業に共通するポイントは以下3つ。
- 募集を行うタイミングで、現場と適切な要件定義をする
- 募集後の初回の母集団で、内定・入社まで進める「短期集中型」の選考を進める
- 選考からオファー提示に至るまで、常に求職者の希望に沿う情報を提供する
貴社の担当営業と連携し、貴社の採用を支援します。お気軽に貴社担当営業にお問い合わせください。
経理・財務職
- 2019年11月~2020年1月の登録者数は2019年8月~10月に対し107%と微増
- 2019年11月~2020年1月の求人数は同8月~10月に対し103と微増。リーダークラス・中堅層の採用が激化しており、対象範囲を拡大できるかがポイント
- (1)市況感に合わせた適切な要件定義 (2)応募者が安定した環境で就業できるイメージがわく求人内容 (3)短期集中型選考
経理・財務職の登録者動向
対象:2020年1月にdodaにご登録いただいた転職希望者
- 年齢
- 41歳以上の登録者が約40%を占めており、管理部門職種の中でも平均年齢が高い。経験豊富な即戦力人材の登録者数は引き続き好調に推移。
- 職種
- 「経理(財務会計)」の登録者が65%と多数を占め、「管理会計」14%、「財務」11%と続く。
実務経験者の獲得競争が激化しているため、経験年数の短いポテンシャル層・第二新卒層や、経験豊富なシニア層、あるいは事業会社以外のコンサルティング会社や会計事務所などの出身者まで対象者を幅広く見ていきたい。 - 業界
- トップはメーカーで29%、次いで建設・不動産が12%、その他業界と商社が11%で続いている。インターネット・広告系やIT・通信も合わせると10%と、無形業界の出身者の割合も少なくない。
- 志向性
- 経理職においては、仕事内容について、総じて経理領域における業務範囲を拡大させて専門性を高めることを前提とする転職希望者が多い。一部、海外経理やIPO準備、業務改善などを経験できる環境を積極的に勝ち取りに行こうとする転職希望者も見られる。また、安定志向の転職希望者が大多数を占める。
「働き方改革」の気運の高まりもあり、残業時間などの就業環境を重視し、安定した環境(あるいは安定したイメージのある業界)を選ぶ傾向が強い。
経理・財務職の求人動向
対象:2019年8月1日~2020年1月31日にdodaにご登録いただいた求人件数と登録者数。
8月の数値を「1」とした場合の変化を表しています。
積極的な海外展開や新規事業展開により、海外経理(国際税務、国際会計基準など)や新たな会計スキームの確立など「攻め」のニーズがあげられる。一方で、組織作りや仕組みづくりなども含めた増員ニーズ、大企業では不適切会計に端を発した内部統制の強化や業務フローの改善・整備など「守り」のニーズも見られる。各社のニーズは決算担当者や経理財務全般のとりまとめができるマネジメント・リーダー層に集中しており、この層は獲得競争が激化している。今後景況感が下がっていく中で、競合とのバッティングも避けられないことが予想される。また、知名度の高い上場企業であっても採用に苦戦する企業は多く、実務未経験でも簿記資格を持っている層へターゲットを広げるなどの観点で採用活動を進めている企業も目立つ。
経理・財務職の採用成功POINT
まずはマーケットに沿った現実的な要件定義の緩和や拡大を行うことが大前提。配属現場にマーケット感が乏しい場合、非現実的な採用条件であるがゆえに採用が数年スパンで長期化しがちな点を最初に注意したい。
また、志向性としては、専門性を高めることを求める方が多い一方で、それが安心して実現できる環境なのかどうかを求人票や面接で転職希望者は判断している。経理の方は特に慎重な方が多く、業務内容から業務範囲、配属組織や事業展開等、細かい点を含めて将来的なキャリアイメージが描けるのかを見ており、その点が応募判断に大きく影響されるため、求人票で明示していきたい。
選考に関しては、初回募集時の母集団内で絶対評価で判断し、競合他社に先駆けてスピード感を持って内定まですすめる「短期集中型選考」が実行できるかが採用成功を大きく左右する。
人事・総務職
- 登録者数はやや増加傾向。売り手市場を背景に、自由な働き方を望む層が増加
- 採用・給与社保・制度設計、いずれのポジションもニーズが高い
- 40代以上の経験者や現職での雇用形態や転職回数を考えずに検討を。経験者採用の場合は就業イメージの共有がポイントに
人事・総務職の登録者動向
対象:2020年1月にdodaにご登録いただいた転職希望者
- 年齢
- 36歳以上の登録者が47%、41歳以上も33%とマネジメントレベル・リーダーレベル以上の登録が目立つ。30歳以下の登録者は36%となっており増加傾向。また、25歳以下の若手の登録は約11%となっており、社会人1~3年目の登録も相変わらず一定数ある状況。
- 職種
- 採用・教育担当が全体の34%となり、割合はやや減少。採用の適正化・強化に伴い、働き方・年収・業態など自分にあった就職先を探したいと言うニーズが増えている。採用・教育に次いで総務→労務・人事制度→給与社保の順で登録者が多い。
総務は株主総会・ファシリティ関連業務から日常的な庶務業務担当者も含まれており、登録者も多くなっている。 - 業界
- メーカーが12%と最も多いが、前回からシェアは半分に。IT・通信やインターネット、人材サービスをはじめとした無形業界出身者や小売り・店舗・レジャーなどのサービス業界出身者も増加している。
- 志向性
- 「長く就業できるか」を大事に考える層は多く、評価制度や福利厚生などの条件に加え、働き方や勤務時間などを自由にキャリア選択できる企業を望む声も増加している。キャリアアップを目指す層は採用担当や人事制度担当者などに多く、オペレーションに留まらず人事制度や人事戦略・マネジメントを望む傾向にある。
人事・総務職の求人動向
対象:2019年8月1日~2020年1月31日にdodaにご登録いただいた求人件数と登録者数。
8月の数値を「1」とした場合の変化を表しています。
- 採用
- 「大量採用」「専門職種限定採用」など企業によって採用方針の幅が広く、また、以前にも増して社風へのフィット感や即戦力かどうかなど、慎重に採用を進める傾向があるため、採用力の高い人材が求められる傾向にある。
- 給与・社保
- 登録者の志向に合わせて、働き方や組織構成などの詳細を開示する企業が増加しているほか、ベテラン・シニア層の活用など採用ターゲットが広がってきている。
- 制度
- 女性活躍推進やリモートワーク導入、評価制度・賃金制度の見直し・改定に関して取り組み始める企業が増加している。この領域に特化している人材が少ないため、コンサルティング会社をはじめとし、それまでの経験と素養を鑑みて採用活動を行っている企業が多い。
人事・総務職の採用成功POINT
40歳以上の経験者や20代前半の若手層の登録が増えているため、組織構成や業務にあうようであれば採用も視野に入れたい。経験者には複数の内定が集中する傾向があり、類選考のスピードや面接での印象、内定の条件、オファー面談の実施有無などが入社意思決定に影響する。登録者は働き方や組織構成、ビジョンなど、あらゆる角度から「自分にあった会社かどうか」または「長く働ける会社なのか」を冷静に見極めている傾向がある。
法務・知的財産・内部監査職
- 依然として登録者は少なく、40歳以上の割合が増加
- 2019年11月~2020年1月の求人数は2019年8月~10月に対して微増
- 経験者は複数内定を獲得し他社と競合することが見込まれる。法律知識を持つ未経験層も積極的に検討したい
法務・知的財産・内部監査職の登録者動向
対象:2020年1月にdodaにご登録いただいた転職希望者
- 年齢
- 41歳以上の登録者が50%を占めており、管理部門職種の中で最も平均年齢が高い領域である。司法試験の勉強を続けてきた方や、他部門で経験を積んだ後に法務や知財に異動・転職をした方など、法務・知財・内部監査としてのキャリアスタートが遅い方が多い方が多く、大学卒業後のブランクがあるケースも多い。30歳以下の登録者は23%と一定数いるものの弁護士資格などは保有していない求職者が多く、契約書チェックなどの業務経験がメインであるため、即戦力とはいいがたい。
- 職種
- 法務職が55%を占め、内部監査、知財と続く。法務については、40代は法務業務全般の経験者、若手は契約関係の経験やサポート業務が中心のポテンシャル層が多く、弁護士資格保有者も微増傾向。商事法務経験者に関しては数が限られている。
- 業界
- メーカーが37%、金融業界が14%、ITが5%となっているほか、運輸・物流、公社・官公庁など、多方面の業界から登録がある状況。
- 志向性
- 法務としての担当範囲を広げたいという志向性が目立つ。特に、契約やコンプライアンスなど限られた分野中心の法務から、上場企業での商事法務や、戦略的な法務(アライアンス、新規ビジネス関連、M&A)にシフトしたいという希望が増えてきている。また働き方の改善や年収アップといった、より良い就業環境を得たいという希望も多い。若手では未経験から法務に挑戦したいという求職者も一定数存在する。
法務・知的財産・内部監査職の求人動向
対象:2019年8月1日~2020年1月31日にdodaにご登録いただいた求人件数と登録者数
8月の数値を「1」とした場合の変化を表しています。
法務機能の内製化や組織拡大、新事業展開に伴うビジネス法務のニーズに加え、法改正に対応するため、法務の求人数はやや増加傾向にある。大企業、ベンチャー企業に関わらず、新たなテクノロジーを活用したビジネスやネットとリアルの融合(IoT、ECなど)へ参入するケースにおける法対応や、前例のない事例の対応・リスクマネジメントやガイドラインの設定といった戦略的な法務のニーズは引き続きある。内部監査においてはESG経営への取り組みの加速や大手企業の不祥事も踏まえ、組織体制の整備などに関する採用熱度が高まっている。知財においては、これまでの理系のバックグラウンドが必要な技術系の発明発掘・特許化だけでなく、商標系の案件も増えている。
法務・知的財産・内部監査職の採用成功POINT
弁護士資格を保有している転職希望者には複数の企業からオファーが集中する傾向にあるため、採用難易度が高い。
資格保有者は、よりチャレンジングな仕事や自身にあった働き方・年収を求める傾向にあり、選考スピードや面接での印象、提示条件の内容、オファー面談での口説きなどが入社意思決定に影響する。
法務経験者は、法務や知財としての担当業務や担当範囲に関心があり、その希望が叶うのか、どの程度専門領域を経験できるのかを慎重に見定めている。グローバル・M&A・戦略などに希望があり、それが本当に実現するのか、また庶務や総務など他の管理部門業務の割合はどの程度なのかといった点も気にしている。長く働ける環境かを気にする応募者も多いので、その点をフォローできるような就業条件・働き方・会社の安定性などの情報提供も必要。
購買・物流職
- 2019年11月~2020年1月の登録者数は2019年8月~10月とほぼ同数。若手を中心に他業界への転職も視野に入れている
- 2019年11月~2020年1月の求人数は2019年8月~10月に対し97%と微減。労働力不足、業務改善をテーマとした採用ニーズが引き続き高い
- 採用要件定義は「業務遂行能力」にフォーカスすることが成功の秘訣。物流業界出身者やコンサルタントを積極的に検討したい
購買・物流職の登録者動向
対象:2020年1月にdodaにご登録いただいた転職希望者
- 年齢
- 30歳以下の登録者が38%、31歳~40歳以下も30%、41歳以上が32%と登録者は各世代に分散しており、40歳以上の登録者数が微増傾向。
倉庫管理や貿易実務などオペレーション中心の担当者は年齢層が若く、SCMや物流企画、メーカーの資材購買などでは30代・40代以上が中心。 - 職種
- 倉庫管理・在庫管理が34%、購買・調達・バイヤーが30%、物流管理が20%と続いている。ニーズが高まっている物流企画・SCMは全体の7%と希少で、求人数と登録者数のギャップが生じている。
- 業界
- 登録者数は、荷主側であるメーカーが40%、物流業界が35%、商社が12%。急速なEC化が進む小売業は7%と前期に比べ微減。
- 志向性
- 倉庫管理などの実務中心の若手登録者は働き方に不満をもっていることが多く、就業環境改善を志向する傾向が強い。
他業種への転職や、海外関連業務を希望するケースが目立つ。経験豊富なミドル層以降は、管理的業務から企画や戦略業務へ、プロセスの一部業務から物流網全体へのステップアップ、海外物流など、今の会社では経験できない領域へのチャレンジを志向しているケースが多い。
購買・物流職の求人動向
対象:2019年8月1日~2020年1月31日にdodaにご登録いただいた求人件数と登録者数。
8の数値を「1」とした場合の変化を表しています。
業界全体として、慢性的な労働力不足に加えて、働き方改革など生産性向上が急務となっており求人ニーズは活況。現場のオペレーション業務においては、物流の経験がなくとも調整や改善業務をおこなった経験があればターゲットとするケースが増えている。「原価低減」をテーマとした物流網の再構築(物流企画)や倉庫、生産拠点も含めた「グローバルSCM全体」の設計や見直しなど、物流を上流工程から変革したいというニーズが多い。それを実現する上で、ITやコンサルティングなど、業界外とのアライアンスを進めていくこともあり、他業界の方を歓迎するケースも出てきた。加えて、急速なEC化などを受け、取扱貨物量の増加に耐えうる物流網の必要性が増す中、倉庫の増設、倉庫の大型化や多機能化が進む。メーカー側も自社物流の改革に力を入れるケースもあり、倉庫内スタッフやセンター長、業務改善やBPRなどのニーズも高まっている。大手3PLなどでは、若手層の未経験者を採用する風潮が徐々に表れ始めている。
購買職では、交渉力のある若手未経験者採用が一部で増加。IoTの普及が進み、小型センサーや無線通信関連の求人の活発化が予想される。
購買・物流職の採用成功POINT
SCMや物流企画などを担う人材は希少で、採用が難航しがち。需給予測やコスト判断などの企画業務自体には業界特有の要素が薄いことから、企画力や推進力を評価し、「業界へのキャッチアップ」を入社後の導入研修で担保する企業の採用が上手くいっている。異業種の類似業務経験者や物流コンサルタント、3PLで物流企画をしている方なども検討に入れ、対象を拡大していきたい。倉庫スタッフでも作業効率などを重視する際には他業界でBPRや業務改善の経験者を登用するなど、できる限り対象範囲を広げておくことがポイント。また、キャリアパスを気にする方も多く、明確にするか、いくつかのルートがあるという選択肢を見せることもポイント。資材購買も同様で対象範囲を広く検討したい。
商材経験が必須であれば、同商材の営業経験者を検討するなど、視点を変えて採用を行っている企業が見受けられる。職種柄、面接時間のアレンジは柔軟に対応したい。日中~夕方は勤務を抜けられないケースが多いため、19時以降の面接や、土日の面接枠があると参加率は向上する。また、勤務地が遠隔地であることも多いため、Skypeなどを活用した遠隔面接も大変有効。若手~ミドルは特に将来を考え入社後の働き方や年収を気にする傾向が高いため、残業時間や勤務形態、昇給モデルなど他社優位性がある場合には適宜開示すると効果的。
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管理部門の中途採用市場レポート(2020年2月発行)ページです。【中途採用をお考えの法人様へ】dodaサービスのご案内 - 採用成功への扉を開く、総合採用支援サービス