モノづくりエンジニア
モノづくりエンジニア中途採用マーケットレポートは、dodaに登録いただいた求人・登録者から、下記の職種の登録者動向・求人動向・採用ポイントをまとめたレポートです。
機械設計
- 登録者数は横ばいで推移。30歳以下の登録が約半数を占め、若手層の転職活動は引き続き活発
- 2019年8月~10月の新規求人数は同5月~7月比で103%。前年同期比136%
- 採用要件の緩和を検討する一方でペルソナに対して情報を正しく訴求する。採用に苦戦する場合は、課題を明確にした上で打ち手を検討することが重要
機械設計の登録者動向
2019年8月1日~2019年10月31日にdodaにご登録いただいた方
引き続き、30歳以下の登録者が約半数を占めており、第二新卒層の転職活動が活発。「必ず転職したい」というよりは「より良い条件の企業を見てみたい」という方も多く、求人数も引き続き高水準であるため、売り手市場が続いている。働き方改革が進む中、残業規制に対する現職の対応に不満を感じたり、市況感に不安を感じたりしたことがきっかけとなり転職活動をスタートする方も多い。
30代以降の登録者も、働き方や将来への不安から転職活動に踏み切る方が多いが、年収や勤務地(転勤等含む)など自身を取り巻く環境への影響に対する懸念や、最後の転職にしたいという思いから、条件面の確認を含めて、慎重な決断をしている印象。
機械設計の求人動向
対象:2019年5月1日~2019年10月31日にdodaにいただいた求人件数と登録者数。
※5月の数値を「1」とした場合の変化を表しています。
モノづくりエンジニア全体の傾向ではあるが、人手不足状態は続いており求人数は高止まりの状況。引き続き事業環境好調による人手不足、増員ニーズが目立つ。機械設計職は幅広い業種においてニーズがあり、モノづくりエンジニア求人の中でも求人数が多い職種である。
トピックスとしては、単なる設計に留まらず、市場分析から企画立案など製品開発の上流を担うような求人や、部品単位やユニット単位に業務が分解・細分化された求人が発生するなど、引き続き求人内容の多様化が目立つ。採用活動の長期化に伴い、採用要件を見直す企業や、休日選考会など選考方法を工夫する企業も増えている。
機械設計の採用成功POINT
登録者数は相対的に多いものの、求人数も同様に多いのが機械設計領域。転職希望者への最大限のアプローチと、他社求人との差別化がポイントとなる。
母集団形成~書類選考~面接にかけては、可能な限り対象を広げ、転職希望者の経験・スキル(技術・製品領域など)と求人内容との親和性を見出す姿勢が求められる。母集団を広げる方法としては、技術・製品領域だけでなく、経験年数や転職回数などスキル以外での緩和も重要。対象者を広げることで採用成功につながるケースも多数ある。仕事内容のやりがいを求めて転職活動する方が増えている現在、募集する対象を緩和するだけではなく、採用背景、組織のミッション、担当する業務内容の詳細、必要な技術知識、入社後のキャリアなど求められている情報をしっかりと打ち出すことが必要である。
採用活動に苦戦する場合は、自社の求人・採用活動のどこに課題があるのかを見直し、採用要件、選考手法や採用チャネルなど、「何かを変える」ことが重要。(例:面接が調整できず辞退が多い、勤務地が遠方で応募が少ない場合には、休日に面接を行ったり、ダイレクト・ソーシングで直接転職者へアプローチを行うなど)大幅に何かを変えるだけでなく、可能な範囲で少しずつ変えていくことから始めたい。
回路設計
- 登録者数はやや右肩下がり、求人数は安定して多く、引き続き売り手市場
- 2019年8月~10月の新規求人数は同5月~7月比で108%。前年同期比131%
- 幅広い母集団形成が重要。スキルを限定しない採用や幅広い年齢層の採用と、面接での情報提供が成功のカギ 会社の安定性やマーケットの成長性をアピールすることが必要
回路設計の登録者動向
2019年8月1日~2019年10月31日にdodaにご登録いただいた方
年代別に見てみると、20代が44%、30代が27%、40代以上が29%と、第2新卒層が割合として多く、早いタイミングで自身のキャリアを見直している印象。また、転職回数については1回以下が8割近くを占めており、転職市場における市場価値も高く、求人も多いため現職と比較しながら慎重に活動している方が多い。将来に対する不安から転職を検討する方が多い印象で、業界の安定性や業績などから成長が見込める企業に応募が集まりやすい。
回路設計の求人動向
対象:2019年5月1日~10月31日にdodaにいただいた求人件数と登録者数。
※5月の数値を「1」とした場合の変化を表しています。
2~4月の新規求人数は減少が目立ったが、8月以降新規求人数が大幅に増加。前年同期比も131%と大幅増加となった。引き続きセンサーや信号処理、通信、画像処理、モーター、パワーエレクトロニクス分野の募集が継続。米中貿易摩擦の影響から引き続き自動車市場・産業機器向け市場は減速傾向が目立ったが、 5G向けのスマートフォン部品や高周波部品を対象とした求人が増加しており、アナログ回路設計の募集も増加している。
回路設計の採用成功POINT
有効求人倍率が高く採用難易度が高い職種の1つである。スキル・年齢に偏りはなく、幅広い層の転職希望者がいることが特徴。
- ベテラン層の採用や雇用形態を転職希望者の状況に合わせて柔軟に検討することや、今後のキャリアを具体的にイメージできるような情報提供が効果的。
- 会社の安定性を知りたいという登録者が増加していることから、取扱製品だけではなく事業戦略や成長性についても伝える工夫が必要。
- 育成を前提とした若手エンジニア採用の検討も必要であり、入社時のフォローアップ研修やOJTの詳細が意向醸成につながる。
- 転職意欲がそこまで高まっていない登録者にも進んでアプローチする採用手法や口説きを前提とした選考を行う。
組み込み・制御設計
- 登録数は右肩下がりに減少
- 2019年8月~10月の新規求人数は前年同期比で142%と増加傾向
- 柔軟なターゲット設定と採用手法の検討、転職希望者への情報提供の差別化がカギとなる
組み込み・制御設計の登録者動向
対象:2019年8月1日~2019年10月31日にdodaにご登録いただいた方
直近半年の登録者数は右肩下がりの状況。5月の登録者数と比較すると、10月の登録者数は約30%減少している。一方で転職回数0回の割合が約6割と、他モノづくり系エンジニア職種に比べると高く、初めて転職活動を行う方の登録が目立つ。初めて転職活動を行う場合、転職そのものに慎重であったり、売り手市場で求人の選択肢が多く、自身が携わりたい製品・サービスなどを吟味し応募する傾向が見られる。
組み込み・制御設計の求人動向
対象:2019年5月1日~2019年10月31日にdodaにいただいた求人件数と登録者数。
※5月の数値を「1」とした場合の変化を表しています。
直近3カ月(8月~10月)の新規求人数は、データ取得開始(2014年1月)以降で最大の件数を記録している。製品ニーズの多様化や各社製品の電動化・自動化に伴い、組み込み・制御設計エンジニアのニーズが急増している。
業界としては自動車・自動車部品メーカーや技術系アウトソーシング企業で求人の増加が顕著であるが、IT業界での採用意欲も高く、まさに異業種混合の採用激戦区。実務未経験者を教育・研修していく体制を取っている企業は採用に成功している確率が比較的高い。
組み込み・制御設計の採用成功POINT
母集団形成に苦戦するため、人材紹介サービス以外の手法(求人広告、転職フェアをはじめとしたリアル型イベントなど)の利用でアプローチ先を広げる必要がある。また、応募者の転職理由(比較的多いものは、先進的な技術開発に携わりたい・グローバルに活躍できるフィールドがある・企業安定性)に合わせた訴求を行う必要がある。
- 募集が集中する中堅層以外に、ベテラン層の採用や学歴不問など若手ポテンシャル採用も積極的に検討する。(登録者数としては26~30歳がボリュームゾーン)
- 事業の展望や期待するミッションの詳細など、職務内容に興味を持たせる十分な情報提供が必要である。
- 経験がマッチする希少な応募者に対しては選考期間や面接回数を短縮し、選考途中での辞退を防ぐ。(大手企業においても応募者に応じて土曜日面接を実施するなど採用手法を工夫する傾向あり。)
品質管理(品質保証)
- 登録者数は微減傾向。年齢別では36歳以上の割合が高い
- 2019年8月~10月の新規求人数は同5月~7月度と比較すると横ばい。前年同期比では126%
- 適切なネーミング(一般的な職種名の明記)および可能性を広げる採用、品質部門の立ち位置明記が採用成功のカギ
品質管理(品質保証)の登録者動向
対象:2019年8月1日~2019年10月31日にdodaにご登録いただいた方
直近10月の登録者数は5月と比較すると約20%減少。登録者の年齢別では、36歳以上の割合が42%を占めており、他モノづくり系エンジニア職種と比べても比較的年齢層が高い。最終学歴の割合は、大学卒・大学院卒合計で51%を占めるが、高校卒も29%を占めており、高卒者の割合は他モノづくり系エンジニア職種の中でも高め。高校卒の登録者は現職での業務範囲が制限されているケースはあるものの、総じて業務に対する意欲が高い若手層が多い。
品質管理(品質保証)の求人動向
対象:2019年5月1日~2019年10月31日にdodaにいただいた求人件数と登録者数。
※5月の数値を「1」とした場合の変化を表しています。
直近3カ月の求人数と比較するとほぼ横ばいで推移しているが、昨年度と比較すると求人数は増加傾向にあり、採用倍率は高い状況といえる。
求人の傾向としては従来の品質管理、品質保証だけでなく、品質部門のIT強化に向けた求人も増加。「業務効率化」「品質部門強化」を目的とした採用が目立ってきている。積極的な改善活動を社内・社外(サプライヤーなど)問わず先導・指導できるような人材を求める声も年々増えてきている。
品質管理(品質保証)の採用成功POINT
企業によって職務内容が同じでも部門の名前が違うケースがあるため、一般的な用語に合わせる必要がある。また品質部門の社内的な重要度や立ち位置も転職希望者が気にするポイント。
他エンジニア系職種と比較すると40代以上の登録者も多いため、採用背景や今後の戦略と照らし合わせた上で、ベテラン層の積極採用を検討できるかが採用成功のカギとなる。また若手であれば、機械、電気系のエンジニアからの職種転換で採用に成功している企業も少なくない。
働き方や給与条件はもちろんであるが、上述の通りその企業における「品質」の考え方や重要度を気にする転職希望者は多い。昨今あらゆる業界で品質に関わる問題が起きていることもあり、企業としての取り組み方や部門の重要性をアピールできるかが採用成功のポイントとなる。
生産技術・プロセスエンジニア
- 登録者数はほぼ横ばい
- 2019年8月~10月の新規求人数は同5月~7月比で98%。前年同期比118%
- 職種未経験者や異業種出身者など未経験者へ向けた魅力打ち出しと、採用競合の動向も注視した採用活動が重要
生産技術・プロセスエンジニアの登録者動向
対象:2019年8月1日~2019年10月31日にdodaにご登録いただいた方
登録者数は多少の増減はあるものの、全体としてはほぼ横ばい~微減となっている。年代別の構成をみると20代の登録が半数以上を占めており、他モノづくり系エンジニア職種と比較すると若年層の登録が目立っている。転職回数0回の登録者も全体の57%を占めている状況。業界の将来性への不安から転職を想起するケースが多く、技術者としての将来を見据え、「自動化(自働化)の推進」などのより効率的なモノづくりの知見を身に着けたいというキャリア志向の方が多い。
生産技術・プロセスエンジニアの求人動向
対象:2019年5月1日~2019年10月31日にdodaにいただいた求人件数と登録者数。
※5月の数値を「1」とした場合の変化を表しています。
新規求人数は直近3カ月比で微減するも昨年同時期比では増加。月別工作機械受注額(日本工作機械工業会調べ)が13カ月連続で前年を下回っていることからも、世界経済の不透明さなどから各製造業領域で設備投資をやや抑える動きもあり、求人増加数も鈍化傾向。しかし、2019年下期以降は、新工場設立やデータセンターへの投資など各業界で積極的な設備投資が見込まれる。
自動運転やIoT、AIにかかわる新製品の開発や効率化・設備自動化・省人化を背景に、中長期的には需要が増すことが見込まれる職種であり、求人数は下期および来年以降引き続き高止まりすると予想される。
生産技術・プロセスエンジニアの採用成功POINT
直近3カ月の全機電系技術職新規求人数のうち約17%が生産技術・プロセスエンジニアである中で、登録者における同職経験者の比率は約10%という状況。
ここ数年、製造業各社が同職の大量採用を実施した背景もあり、経験者の希少性が増してきており、職種未経験者や異業界出身者からの採用は避けて通れない状況となっている。同職の登録層は20代の比率が52%と増加傾向かつボリュームゾーンであり、電機・電子部品・半導体の各大手メーカーも異業種出身者や経験の浅い層も積極的に採用している。未経験に対象を広げるだけでは採用成功には至らないケースも多く、育成環境や中長期的なキャリアパスなど魅力も併せて打ち出すことがポイント。
求人動向の通り、一時的に採用を抑える企業も出てきている中で、採用競合の動向にも目を向けつつ、競合が動く前に採用を開始することも採用成功ポイントのひとつである。
フィールドエンジニア・カスタマーサポート
- 登録者数は横ばいで推移。登録者の不安を払拭できるかどうかが肝要
- 2019年8月~10月の新規求人数は同5月~7月比で100%。前年同期比147%
- 広く母集団を形成し、選考を通して「働くイメージ(扱う製品や就業環境、社内のサポート体制など)をもってもらうこと」が重要
フィールドエンジニア・カスタマーサポートの登録者動向
対象:2019年8月1日~2019年10月31日にdodaにご登録いただいた方
直近半年間の登録者数は、夏季休暇のタイミングで微増したが、以降は横ばいで推移している。求人数も横ばいで推移していることから、売り手市場が続いている状況。近年、就業者の価値観が非常に多様化しており、「仕事よりも家庭」「出世よりもプライベート」といった価値観が広く浸透してきている。
そのため特にフィールドエンジニア・カスタマーサポートの登録者においては、「休日日数や夜勤、急な呼び出しがないこと」「転勤や長期間の出張がなく勤務エリアが限定的なこと」といった福利厚生や就業環境の改善が見込まれる求人への応募が目立っている。また、個人および業界の将来に漠然とした不安を抱いている登録者も多い。そのため、入社後の働き方やどういったスキル・キャリアを身に着けることができるか、業界や企業の将来性について訴求し、安心して就業できるイメージを持たせられるかどうかが採用の成否を分けるポイントになっている。
フィールドエンジニア・カスタマーサポートの求人動向
対象:2019年5月1日~2019年10月31日にdodaにいただいた求人件数と登録者数。
※5月の数値を「1」とした場合の変化を表しています。
8月をピークに求人の増加ペースには鈍化がみられるものの、募集企業の絶対数は変わらず多い。引き続き、働き方改革における時間外労働を削減する取り組みの一環として、人員を確保している企業の採用が多い。しかし、直近で見られていた業績好調、受注好調を背景とした採用は落ち着き、欠員補充の採用も目立つ。
全体の求人数に大きな変動はないが、登録者の減少がみられるため、採用難易度は若干上昇。未経験者採用やスキル要件の見直しを行う求人も増えているが、一方で即戦力採用に振り切り、同業他社・ベテラン層をターゲットとした求人も目立つ。
フィールドエンジニア・カスタマーサポートの採用成功POINT
働く環境を改善するために転職を希望している方が多く、最終学歴に偏りがないことも同職種の特徴である。
昨今のエンジニア求人のトレンドとして、他職種(設計や生産技術職)の求人でも、若手の理系未経験者の採用を進めているため、母集団形成のためには、転職回数や学歴を幅広く検討し、人柄や意欲、バックグラウンドの知識・素養を重視したポテンシャル採用も検討する必要がある。同職種は求人サイトから直接応募する転職活動者も多くいるため、求人サイトも有効な採用手段として検討するとよい。
また選考の中では、扱う製品や就業環境、就業スタイル、休日日数、残業時間、社内のサポート体制、働き方、キャリアパスなどの詳細な情報をしっかりと訴求し、他社との差別化を図ることも重要である。場合によっては応募意志不問の面談や、選考要素を含まない面談、入社意向上げを目的とした面談などの実施も効果的である。
研究開発(化学)
- 登録者の転職に慎重なスタンスは変わらず、転職先や応募先の検討幅が狭い
- 2019年8月~10月の新規求人数は 前年同期比151%
- (1)採用ターゲットに合わせた複数の商材でアプローチをすること(2)転職希望者が求める情報を可能な限り求人票へ記載すること
研究開発(化学)の登録者動向
対象:2019年8月1日~2019年10月31日にdodaにご登録いただいた方
他モノづくりエンジニア職種と年齢層を比較すると20代の割合が多く、40代の割合が少ない。学歴に関しても特徴的で、大学院卒が53%で過半数、大卒以上で約8割を占める。
情報収集や応募書類の準備など、自ら転職活動の準備を行うことができる方は比較的多い。転職に対しては非常に消極的なスタンスの方が多く、転職回数0回の方で約7割、1回以下で8割を超え、転職活動においても特に活動初期は興味のある求人だけに応募を絞るなど、慎重な方が多い。新卒の就職活動当時から、学生時代の研究になんらか関連する業界や職種のみに絞っている場合が多く、ほとんど就職活動を行ったことがない方も珍しくない。その結果、転職活動においても特に若手の登録者は知名度の高い企業や勤務地の希望が叶う求人に絞って応募するような、新卒の就職活動に近い進め方になってしまいがちで、活動が進展しにくい。
特定の条件に固執せず早い段階でいかに興味や検討の幅を広げられるかが転職活動の成否を分けている。
また、登録者がほとんどが在職中のため休暇を取得しづらい、採用面接会場となる研究開発拠点が地方にあることが多いといった理由で面接の調整が難航したり、複数社選考を進める中で取捨選択を余儀なくされてしまうこともある。そのため、対面面接だけでなく電話やSkypeで面接を行う事例も散見される。
研究開発(化学)の求人動向
対象:2019年5月1日~2019年10月31日にdodaにいただいた求人件数と登録者数。
※5月の数値を「1」とした場合の変化を表しています。
業界全体として業績が好調であり、売上増に伴う増員を目的とした採用を加速させる動きが強い。新卒採用の文化が強い業界であるが、データサイエンティストやポスドク研究員などスキルマッチ要素が高い求人が増えてきているため、即戦力人材を求める企業が多く苦戦をしている。各社が掲げる注力分野のなかでもとりわけ、「自動車領域」「ヘルスケア領域」「電池材料領域」で求人増の傾向が強い。
研究開発(化学)の採用成功POINT
化学マーケットは分野が多岐にわたり、求める経験・能力が限定的かつ登録者が微減していることから「求めるターゲットが見つからない、見つかっても応募が来ない」ことが予想される。そのため人材紹介と並行してダイレクト・ソーシング、求人広告、イベントなどの複数商材を活用し、アプローチ先や方法を変えることが重要。以下の情報を求人票に盛り込むと効果的。
- 採用部署の現場社員と採用要件をしっかりとすり合わせ、要件を言語化し、求人票へ落とし込む。キーワードで求人を探す方が多いため、できるだけ専門用語を盛り込むことも大事。
- 研究開発のテーマ、研究環境、研究の進捗(好調な場合は特に記載)、就業環境、キャリアパス、社風など、会社HPでは確認できないようなリアルで詳細な情報を提供する。
- 転職意欲が高くない方も多いため、見極める選考だけではなく、面談形式の情報提供ができるような場を作ることも大切。
設計職(建築・土木)
- 9月・10月の登録者数は5月比で20%減少。登録者属性は転職回数1回以内が64%、20代が50%弱を占める
- 2019年8月~10月の新規求人数は、同5月~7月比で106%。前年同期比155%
- 他社との違い・自社の強みを明確に言語化して訴求し、転職マーケットの状況を踏まえ幅広く採用ターゲットを検討していくことが重要
設計職(建築・土木)の登録者動向
対象:2019年8月1日~2019年10月31日にdodaにご登録いただいた方
登録者数は5月をピークに若干減少傾向にあるが、求人数は依然伸長しており、売り手市場が引き続き継続している。
SNSの普及により転職希望者が企業の情報を得やすい状態となっており、求人票に記載されている業務内容や労働環境(残業時間や就業条件など)を懐疑的に見る方も多い。そのため、会社内(支店内)の組織体制(人員構成など)や業務範囲など、「このような体制や取り組みをしているから残業が少ない、このような働き方ができる」といった具体的な根拠となる情報を記載できると応募が集まりやすい。
設計職(建築・土木)の求人動向
対象:2019年5月1日~2019年10月31日にdodaにいただいた求人件数と登録者数。
※5月の数値を「1」とした場合の変化を表しています。
業界全体の人手不足状態は続いているが、採用難易度の高さから採用を充足させることが難しいため、既存求人の継続募集が多い。新規求人数自体は微増。特に一級建築士などの資格取得者の採用難易度は高く、設計補助・CADオペレーター等設計業務を少しでも経験したことのある人材を育成していく方針にシフトする企業は増加傾向。
また、中途採用においては中堅のベテラン層のニーズが最も高く、各社の求める人材が重複しており、求人倍率が高まる傾向にある。プラント設計などは特に採用難易度が高く、プラント業界未経験者でも積極的に採用していく企業が増加傾向。
設計職(建築・土木)の採用成功POINT
- 採用競争率の高い職種となるので、自社の強みは何か、中途入社者は自社のどこに魅力を感じて入社しているのか、情報を棚卸しし、積極的に転職マーケットに訴求し自社の存在感を高める必要がある。
- 特に設計職の場合、ビジュアライズされた情報(物件の写真など)がある方が応募につながりやすく、自社HPの改修、求人広告の利用など多角的な採用手法も検討すべきである。
- 採用難易度の高さ・競合他社の動向を踏まえた上で、想定しているターゲットのスキル・資格・経験は本当に全て必要であるのか、どの要件を優先度高く定義するか、ターゲットのペルソナを整理し再定義する。雇用形態、処遇条件のみならず、「自社の業務内容はそのターゲットに魅力的に見えるのか?」など客観的な視点で考えることが重要となる。
- 本職種における応募者は、複数社で書類選考が通過しているケースがほとんどのため、業務時間外・休日を含めた柔軟な日程調整も必要である。
施工管理(建築・土木)
- 登録者数はお盆期間の8月に平均よりも増加するもその後戻り、直近は台風の影響などもあり10月はやや減少
- 2019年8月~10月の新規求人数は同5月~7月比で110%。前年同期比183%
- 幅広い採用ターゲットの検討、あらゆる採用手法を活用し転職マーケットでの存在感を高めることが重要
施工管理(建築・土木)の登録者動向
対象:2019年8月1日~2019年10月31日にdodaにご登録いただいた方
直近半年間の登録者数は長期休暇前後を除くとほぼ横ばい状態になっており、大きな変化は見られない。登録の約6割を占める20代をはじめとした若手層は労働環境や処遇改善だけでなく、現場で長年の熟練工である職人との折衝に対する精神的な疲労や東京オリンピック後の建設業界に懸念を感じ、施工管理以外の職種への転職を希望する傾向にある。
シニア層については、企業からのニーズは継続的にある中で、定年の時期やその後の処遇など、業務内容よりも労働条件を重視する登録者が増えている。
他のモノづくり系エンジニア職種と比べ、転職回数1回以下の登録者が比較的少なく、複数回数の転職が常態化している。転職経験者が多いため求人票と現場は異なるという認識の方が多く、特に労働時間、残業代、休日については懐疑的に見る傾向が強い。
施工管理(建築・土木)の求人動向
対象:2019年5月1日~2019年10月31日にdodaにいただいた求人件数と登録者数。
※5月の数値を「1」とした場合の変化を表しています。
施工管理職は全技術系職種の中でも求人数が多く、採用激戦区。景況の波はあれど業界全体での人手不足感は変わらず、求人は増加傾向。大手企業を含め、全分野で一級施工管理技士などの高位資格取得者の採用は特に難航を極め、未経験を育成していく方針にシフトする企業も増えており、未経験者を対象とした求人の割合は増加傾向にある。また、経験者採用の場合も、長期に渡り採用充足ができていない状況を踏まえ応募時の資格要件・必須要件の緩和を検討する企業も増えつつある。
施工管理(建築・土木)の採用成功POINT
- 全技術系職種の中でも求人数が多いため、求人が目に留まりやすいよう、自社の何が強みでどの点を転職希望者に訴求していくかをしっかり言語化し、他社と差別化していく必要がある。(働き方、案件内容・規模、技術力、スキルアップなど)
- 経験者採用であれば、資格・スキル・経験年数を限定しない幅広い採用ターゲットの検討、未経験採用であれば、育成体制・今後のキャリアパスなどの入社後の活躍がイメージできるような情報を応募者にしっかり訴求していきたい。
- ただ求人を出すだけではなく、人材紹介エージェントに対し積極的に情報提供していくこと、求人広告、ダイレクト・ソーシング、転職フェア、社員紹介・知人紹介などあらゆる採用チャネルを活用し、母集団形成のために待つのではなく、攻めの採用姿勢をとることが他職種に比べ特に強く求められる。
- 面接は「選考をする」という視点のみならず、「応募者の意向醸成の場」でもあるという意識を持ち、面接官トレーニングや訴求すべき情報を精査し、限られた時間を有効活用したい。また、応募者は日中の面接調整が困難なことが多く、複数社で書類選考が通過しているケースがほとんどのため、業務時間外・休日を含めた柔軟な日程調整も必要である。
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モノづくりエンジニア中途採用マーケットレポート(2019年11月発行)ページです。【中途採用をお考えの法人様へ】dodaサービスのご案内 - 採用成功への扉を開く、総合採用支援サービス