企画・マーケティング部門の中途採用市場レポート(2019年2月発行)

2019年2月発行
職種別マーケットレポート

企画・マーケティング部門

企画・マーケティング部門中途採用マーケットレポートは、dodaに登録いただいた求人・登録者から、下記の職種の登録者動向・求人動向・採用ポイントをまとめたレポートです。
※該当職種:マーケティング・広報職、企画職(経営企画・事業企画・営業企画・商品サービス企画)、社内SE職

求人の増加傾向が続き獲得競争が激化。
採用成功のカギは要件定義と絶対評価。

マーケット概況

管理部門、企画・マーケティング部門の求人数は、すべての職種において増加が見られました。
3カ月対比では「8月~10月」に対して「11月~2019年1月」では、求人数が105%、転職希望者数が103%となり、転職マーケットの拡大がさらに進みました。
dodaの管理部門、企画・マーケティング部門において、さらに売り手市場が加速しています。
企業サイドから見ると、転職希望者の獲得競争が以前にも増して激化しており、知名度のある企業であっても市場に合わせた応募要件の緩和や拡大をしないまま一方的な募集活動を進めてしまうと、結果的に採用が長期化・難航する声をよく耳にします。求人数が増加している背景は、退職者や異動者による欠員募集に加え、管理部門体制強化や新規事業開発・上場など組織構造の変化により新たな機能が社内で必要とされる増員のケースも多々見られます。
また、転職希望者については、景況感が悪くならないうちに、希望業界・企業へ早期にキャリアチェンジしたいという要望や、「働き方改革」の気運の高まりを受けて少しでも柔軟な就業環境を勝ち取りたいという希望がよく見られます。

採用成功のポイント

ポイントは「要件定義」と「短期集中型の選考」

管理・企画・マーケティング部門の募集は、通常、配属現場から増員要請がくるケースが大半だと思います。配属部門からあがってくる採用要件(経験や能力)は高く、細かく設定する傾向があり、採用マーケットとのズレが生じるケースが多く見受けられます。募集時には現場と適切に採用要件をすりあわせ、採用マーケットを考慮した要件で進めていくことが採用成功のポイントです。
また、営業職や技術職と比べて対象となる母集団が小さいため、継続的に採用候補者があがってくるという状態にはなりにくく、初回の母集団の中で内定に至らない場合は採用が長期化するケースが多くなっています。

  • 募集を行うタイミングで、現場と適切な要件定義をする必要がある。
  • 募集後の初回の母集団で、内定・入社まで進める「短期集中型」の選考が理想的。
当社では、管理・企画・マーケティング部門専門担当者が採用成功に向けた以下のような支援を行っています。ぜひご相談ください。
・求人発生時の現場配属先とのヒアリング/適切な要件定義/採用マーケットの共有/採用成功につながる面接の進め方など

マーケティング・広報職

ここがポイント
  • 2018年8月~10月に対し2018年11月~2019年1月は108%と減少。市況の良さを感じ取り、キャリアチェンジも視野に入れて活動する層が引き続き目立つ。
  • 2018年8月~10月に対し2018年11月~2019年1月は103%と増加。特にデジタル経験者の熾烈な獲得競争が、過去にない水準で激化。
  • 優秀な経験者・若手の採用は激戦区。コンサルティング業界や企画職などとも競合するため、適切な要件で採用スピードを高められるかカギ。

マーケティング・広報職の登録者動向

登録者詳細
マーケティング・広報職の登録者詳細(2019年2月)

対象:2019年1月にdodaにご登録いただいた方。

年齢
30歳以下の登録者が43%、35歳以下では60%と、若手~ミドルが登録層の過半を占める。傾向としては、30代に差し掛かる手前の20代や、好景気のうちに異業界も視野に入れて転職を検討する層が目立った。
職種
販売促進・PR系の登録者数が最も多いほか、Webマーケティング経験者の動きも活発に見受けられる。景況感がよいタイミングで条件がよい企業へ移っておきたい、もしくはスキルを高められる環境に身を置きたいと考える優秀なマーケターが多い印象。経験者においては、扱える広告予算の規模や手法の幅を拡大させたい成長志向の登録者が多いほか、自身が好きな大手サービス・ブランドに携わりたいと考えるケースも目立つ。代理店側でのマーケターの転職も多くなっており、働き方改革(テレワークやフレックスなど)とやりたい仕事とのギャップに葛藤を抱える登録者が多い傾向。
志向性
引き続き、代理店(広告代理店、PR代理店)から事業会社のマーケター、リサーチ会社から事業会社のマーケターへの転職を考える方は多い。若手に関しては、大きなサービスあるいは商品力が強いプロダクトに携わることで、市場価値を上げたいという志向がいっそう強まっている。ミドルに関しては、マネジメントよりもプレイヤーとして最前線でスキルを高めていくことに価値を感じている層が依然として多い。

マーケティング・広報職の求人動向

求人マーケット動向
マーケティング・広報職の求人マーケット動向(2019年2月)

対象:2018年8月1日~2019年1月31日にdodaにいただいた求人件数と登録者数。
8月の数値を「1」とした場合の変化を表しています。

引き続き、Webマーケティング、データ分析経験者などデジタル人材を求める企業側のニーズがいっそう強まっている。企業によっては、求人の要件があいまいな状況においても、将来への投資という意味合いで、デジタルのスペシャリスト人材を早期に社内に抱え込もうとする動きも散見される。
特に会員登録制のWebサービスでは、Web広告による集客やCRM(顧客管理)が直接売上拡大へとつながることを上層部も理解しているため、他社を上回る年収を提示してでも、有力者の採用を早期に成功させたい考えが強い。一方で、スタッフクラスの採用については、代理店出身者の採用を進める企業が増えている。さらには未経験でもポテンシャルのある若手を採用し、一定期間育てる覚悟を持つ企業も見受けられる。優秀な若手未経験者を採用する傾向は今後いっそう強まる可能性が高い。

マーケティング・広報職の採用成功POINT

事業成長におけるマーケティング、特にデジタル領域の重要性は日に日に増している。マーケターとしての成長のために自己研鑽をしている登録者は一定いるものの、実務経験が豊富な方や、業界やトレンド全体にアンテナを張り巡らせている人材は未だ希少。経験者は引く手あまたで企業のブランド力や処遇、ポストをドライに見比べる傾向が非常に強いため、条件面や中長期のキャリアパスで頭一つ飛び抜けた何かを訴求する求人にすることが、早期採用成功のポイントのひとつ。
一方で、ポテンシャル採用まで枠を広げる際には、他業種と競合する可能性が非常に高い。最低限必要な素地(数値に強い、折衝能力があるなど)を社内で明確に定義し、適切な採用条件のもとで採用スピードを上げる(選考回数、結果通知の期間日数など)を減らして採用スピードも上げることが成功のポイントとなる。この領域はスピードで見劣りすると、他社に先に口説かれて負けてしまう。また、マーケターとしてキャリアを上げるために複数の企業を渡り歩いたり、職種を転換してきたマーケターも多くいるため、転職回数などの経歴だけでは判断しないことも母集団形成上のポイントになる。

企画職(経営企画・事業企画・営業企画・商品サービス企画)

ここがポイント
  • 2018年8月~10月に対し2018年11~2019年1月は104%と増加。事業の非連続な成長を生み出す企画や仕組み構築が求められている
  • 2018年8月~10月に対し2018年11月~2019年1月は105%と増加。0ベースの新たな発想や数値分析力を特に期待するケースが増えている
  • 若手ポテンシャル層は引き続き熾烈な獲得競争。データドリブンの流れが顕著であり、リサーチャーやIT系人材など、数値に強みを持つ人材を企画職に登用することも検討したい

企画職(経営企画・事業企画・営業企画・商品サービス企画)の登録者動向

登録者詳細
企画職(経営企画・事業企画・営業企画・商品サービス企画)の登録者詳細(2019年2月)

対象:2019年1月にdodaにご登録いただいた方。

年齢
年齢層は分散しているが、40代以降ミドルの登録者数が引き続き多い。一方で、20~30代の企画系職種では、これまで転職活動に対して積極的ではなかったメーカーや金融などの出身者を中心に、業界を飛び越えて転職を試みたいというチャレンジの声を耳にする機会が増えている。
職種
商品・サービス企画→事業企画→営業企画→経営企画と続いている。
志向性
大きく分けて、「①ある特定の領域で重宝される専門性を身に付けたい」層と「②領域を問わず広く通用する汎用的なビジネススキルを身に付けたい」層に分かれる。
(1)に関しては短期・中期的にやりたいことや属したい業界・企業がおおよそ定まっており、特定の事業会社への転職希望が多い。一方で、(2)に関しては、現時点ではやりたいことが定まっていないケースが多く、長期目線で考え、将来的にやりたいことが明らかになった際に備えて力を身につけるという目的で、コンサルティング会社や広告代理店、スピード感のある成長企業への転職を希望することが多い。競合となりうるコンサルティング業界や広告代理店の求人ニーズが日に日に高まっているため、事業の将来的な展望と中長期のキャリアプランを明確に訴求することが求められる。また、働き方改革の気運の高まりを受けて、フレックスやテレワークなど柔軟な就業環境を求める登録者も増えてきている。

企画職(経営企画・事業企画・営業企画・商品サービス企画)の求人動向

求人マーケット動向
企画職(経営企画・事業企画・営業企画・商品サービス企画)の求人マーケット動向(2019年2月)

対象:2018年8月1日~2019年1月31日にdodaにいただいた求人件数と登録者数。
8月の数値を「1」とした場合の変化を表しています。

引き続き市場の変化スピードが加速。各職種において新たな動きが見られる。
新規事業を開発するようなニーズはもちろん、事業成長のロードマップを描き、予実を分析しながら戦略をブラッシュアップしていくような事業企画、サービス・商品企画のニーズが活況。
営業企画では、引き続き、自社保有データや解析ツールを活用し、施策を立てたり業務プロセスを改善する求人のニーズが多い。数値管理に強みがある人材や無形サービス企業の提案営業経験者など、未経験であっても高い素地を有する人材を採用するケースも見受けられる。
事業企画やサービス・商品企画では、引き続き、プロダクトアウト型からマーケットイン型へシフトしているため、市場調査に長けているリサーチ会社出身者を求める企業ニーズが以前より目立つ。
経営企画は、経験があまりない若手であっても、財務系の経営戦略やM&Aなど、ビジネスサイドの企画・戦略業務へとチャレンジできるケースがベンチャー企業を中心に増えている。
いずれの職種においても、優秀な素地を持つ若手(第二新卒)を採用するケースが増えており、今後もいっそうポテンシャル採用が加速していることが予測される。

企画職(経営企画・事業企画・営業企画・商品サービス企画)の採用成功POINT

若手のポテンシャル層を中心に、人材の獲得競争が激化。特に20代の若手登録者の伸びが著しいため、他社に先駆けて積極的に母集団形成に役立てたいところ。コンサルティング業界や広告代理店などの大手企業が優秀な若手層を採用する動きが加速しており、企画職の採用において大変な脅威ではある。経験よりも能力を重視する若手採用であれば、コンサルティング業界や、若くして事業会社の企画・マーケティング部門に籍を置く方など、スキルが完全にマッチしなくても将来への期待が高く持てる方を狙っていきたい。
その他、新規事業企画や商品・サービス企画においては引き続きデータドリブンで進めることも多く、データ分析ができるリサーチャーや、事業会社側で計数管理や分析をしてきた営業企画系の人材もデータ解析系ツールの取り扱いに長けていることがあるため、母集団形成のため視野に入れたい。また、業界としてはIT業界や金融業界出身者など、自社における新規事業を推進する上で絶対的に必要となる注目業界の知見を持つ人材とも積極的に接点を持っていきたい。
また、柔軟な就業環境を求める登録者も増えているため、働き方の改善への取り組みや企業姿勢(女性が働きやすい環境作りなど)を求人を通して訴求することも重要となる。

社内SE職

ここがポイント
  • 登録者数は横ばい傾向、景気動向が大きく動かない限り、今後も安定した推移が見込まれる
  • 求人数は過去最大ボリュームで推移、転職希望者側に有利な状況となり、採用側は争奪戦となる傾向
  • 幅広い年齢層の登録者に合わせた採用の工夫が求められる

社内SE職の登録者動向

社内SE職の登録者詳細(2019年2月)

対象:2019年1月にdodaにご登録いただいた方。

登録者数は直近半年間の動向を見た際にも横ばい傾向。景気動向が大きく動かない限り、今後も安定した推移が見込まれる。
登録者の年齢層としても、25歳以下:12%、26歳~30歳:20%、31歳~35歳:20%、36歳~40歳:16%、41歳~:32%と年齢層は多岐に渡る。
経験者の採用競争は激化しており、採用成功のためには、育成を前提とした若手エンジニア採用や、約半数を占める36歳以上のミドル・シニア層へのアプローチがポイントとなりそうだ。

社内SE職の求人動向

求人マーケット動向
社内SE職の求人マーケット動向(2019年2月)

対象:2018年8月1日~2019年1月31日にdodaにいただいた求人件数と登録者数。
8月の数値を「1」とした場合の変化を表しています。

社内SEの求人総数は過去最大ボリュームで推移。
業界問わず各事業会社においてIT化は必要不可欠となっており、現行システムの機能追加やリプレイス、コンシューマーにリーチするためのECサイトの立ち上げなどの動きが多く見られる。
そのため、情報システム部門の人員増加が求められており、今後も求人数は増加が見込まれる。
一方で、登録者数は横ばいの傾向にあるため、採用競争は一層激化する模様。

社内SE職の採用成功POINT

登録者数は横ばいで推移しているが、求人動向は増加傾向が続く。
中でも経験者の採用競争は熾烈化しており、採用成功のためには、他社に負けない魅力化を図り、採用力を強化する方針をとるか、育成を前提とした若手エンジニア採用など、これまでターゲットとしてこなかった層にいかにアプローチ先を拡大できるかが重要なポイントとなりそう。

過去のレポート

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