企画・マーケティング部門の中途採用市場レポート(2019年5月発行)

2019年5月発行
職種別マーケットレポート

企画・マーケティング部門

企画・マーケティング部門中途採用マーケットレポートは、dodaに登録いただいた求人・登録者から、下記の職種の登録者動向・求人動向・採用ポイントをまとめたレポートです。
※該当職種:マーケティング・広報職、企画職(経営企画・事業企画・営業企画・商品サービス企画)

求人の増加傾向が続き獲得競争が激化。
採用成功のカギは要件定義と絶対評価。

マーケット概況

2019年2月~2019年4月における管理部門、企画・マーケティング部門の求人数は、2018年11月~2019年1月と比較するとほぼ同数で推移。
依然としてdodaの管理部門、企画・マーケティング部門において、売り手市場が続いています。

求人数が増加している背景は、退職者や異動者による欠員募集に加え、管理部門体制強化や新規事業開発、デジタルビジネスの強化、営業戦略の再構築など組織構造の変化に伴い、新たな機能が社内で必要とされる増員のケースが多々見られます。
採用競争が以前にも増して激化している中、知名度のある企業であっても市場に合わせた応募要件の緩和や拡大をしないまま一方的な募集活動を進めてしまうと、結果的に採用が長期化・難航する声をよく耳にします。

また、転職希望者については、景況感が悪くならないうちに、希望業界・企業へ早期にキャリアチェンジしたいという要望や、「働き方改革」の気運の高まりを受けて少しでも柔軟な就業環境を勝ち取りたいという希望がよく見られます。「理想に少しでも近い環境」を求めて転職活動をしているため、最終面接実施時の入社意向が、採用条件の提示を受けて変動するケースも増えている状況です。

採用成功のポイント

ポイントは「要件定義」と「短期集中型の選考」

管理・企画・マーケティング部門の募集は、通常、配属現場から増員要請がくるケースが大半だと思います。配属部門からあがってくる採用要件(経験や能力)は高く、細かく設定する傾向があり、採用マーケットとのズレが生じるケースが多く見受けられます。募集時には現場と適切に採用要件をすりあわせ、採用マーケットを考慮した要件で進めていくことが採用成功のポイントです。

また、営業職や技術職と比べて対象となる母集団が小さいため、継続的に採用候補者があがってくるという状態にはなりにくく、初回の母集団の中で内定に至らない場合は採用が長期化するケースが多くなっています。総じて、当該領域の採用に成功している企業に共通するポイントは以下3つです。

  • 募集を行うタイミングで、現場と適切な要件定義をする
  • 募集後の初回の母集団で、内定・入社まで進める「短期集中型」の選考を進める
  • 選考からオファー提示に至るまで、常に求職者の希望に沿う情報を提供する
管理・企画・マーケティング部門の転職支援経験豊富なキャリアアドバイザーチームが、
貴社の担当営業と連携し、貴社の採用を支援します。お気軽に貴社担当営業にお問い合わせください。

マーケティング・広報職

ここがポイント
  • 登録数は横ばい。市況の良さを感じ取りキャリアチェンジも視野に入れて活動する層が引き続き目立つ
  • 2018年11月~2019年1月に対し2019年2月~4月は横ばい。デジタル経験者の熾烈な獲得競争は依然として続く
  • コンサルティング業界や企画職なども採用競合となる激戦区。適切な要件で採用スピードを高められるかがカギ。Webマーケティング人材は転職回数+1を前提として考えるべき

マーケティング・広報職の登録者動向

マーケティング・広報職の登録者詳細(2019年5月)

対象:2019年4月にdodaにご登録いただいた方。

年齢
30歳以下の登録者が41%、35歳以下では60%と、若手~ミドルが登録層の過半を占める。傾向としては、30代に差し掛かる手前の20代や、好景気のうちに異業界も視野に入れて転職を検討する層が目立つ。
職種
販売促進・PR系の登録者数が最も多いほか、Webマーケティング経験者の動きも活発に見受けられる。景況感がよいタイミングで条件がよい企業へ移っておきたい、もしくはスキルを高められる環境に身を置きたいと考える優秀なマーケターが多い印象。
志向性
代理店(広告代理店、PR代理店)から事業会社のマーケター、リサーチ会社から事業会社のマーケターへの転職を考える方は多い。事業会社のマーケターは、より身近に感じられるサービスや商品、プロダクトに携わりたいという志向に加え、マーケティング施策運用に留まらずコミュニケーション戦略企画などに携わることで、市場価値を上げたいという志向が強まっている。ミドルに関しては、マネジメントよりもスペシャリストとして最前線でスキルを高めていくことに価値を感じる層が多い。

マーケティング・広報職の求人動向

求人マーケット動向
マーケティング・広報職の求人マーケット動向(2019年5月)

対象:2018年11月1日~2019年4月30日にdodaにいただいた求人件数と登録者数。
11月の数値を「1」とした場合の変化を表しています。

Webマーケティング、データ分析経験者などデジタル人材を求める採用ニーズがいっそう強まっている。企業によっては、求人の要件があいまいな状況においても、将来への投資という意味合いで、デジタルのスペシャリスト人材を早期に社内に抱え込もうとする動きも散見される。また、機械部品メーカーなどでECビジネスの強化・投資を行う動きや、Webマーケティングによる潜在法人顧客リード獲得のための動きも活発化し、BtoBビジネス主体の企業がWebマーケティング人材の採用を開始してきた。

特に会員登録制のWebサービスでは、Web広告による集客やCRM(顧客管理)が直接売上拡大へとつながることを上層部も理解しているため、他社を上回る年収を提示してでも、有力者の採用を早期に成功させたい考えが強い。リスティングなどのWebマーケティングの手法に明るい代理店出身者は引く手あまた。さらには未経験でもポテンシャルのある若手を採用し、一定期間育てる覚悟を持つ企業も見受けられる。若手未経験者を採用し育成する傾向は今後いっそう強まる可能性が高い。

マーケティング・広報職の採用成功POINT

マーケターとしての成長のために自己研鑽をしている登録者は一定いるものの、実務経験が豊富な方や、業界やトレンド全体にアンテナを張り巡らせている人材は未だ希少。一方で、マーケティング領域の課題解決をする人材を積極採用するコンサルティング会社、広告代理店、事業会社の企画職なども採用競合となるため競争率が非常に高いマーケット。経験者は引く手あまたで企業のブランド力や処遇、ポストをドライに見比べる傾向が非常に強いため、条件面や中長期のキャリアパスで頭一つ飛び抜けた何かを訴求する求人とすることが、早期採用成功のポイントのひとつ。

一方で、ポテンシャル採用まで枠を広げる際には、他業種と競合する可能性が非常に高い。最低限必要な素地(数値に強い、折衝能力があるなど)を社内で明確に定義し、適切な採用条件のもとで採用スピードを上げる(選考回数、結果通知の期間日数を減らす)ことが成功のポイントとなる。この領域はスピードで見劣りすると、他社に先に口説かれて負けてしまう。特にWebマーケティング領域は数年前の未経験採用の波に乗ってキャリアチェンジしたマーケターが転職を検討しはじめており、転職回数などの経歴だけでは判断しないことも母集団形成上のポイントになる。

企画職(経営企画・事業企画・営業企画・商品サービス企画)

ここがポイント
  • 2018年11月~2019年1月に対し2019年2月~4月は横ばい。成長・自由を求める若手、挑戦を求めるミドルに分かれる
  • 2018年11月~2019年1月に対し2019年2月~2019年4月は横ばい。変化を生み出せる人材の採用ニーズは依然堅調
  • 経験・実績以上に「能力」を評価した選考、挑戦心をくすぐる訴求を行うことがカギ

企画職(経営企画・事業企画・営業企画・商品サービス企画)の登録者動向

登録者詳細
企画職(経営企画・事業企画・営業企画・商品サービス企画)の登録者詳細(2019年5月)

対象:2019年4月にdodaにご登録いただいた方。

年齢
年齢層は分散しているが、40代以降の登録者数が比較的多い。一方で、20~30代の企画系職種では、これまで転職活動に対して積極的ではなかったメーカーや金融などの出身者を中心に、業界を飛び越えて転職を試みたいという声を耳にする機会が増えている。
職種
商品・サービス企画→事業企画→経営企画→営業企画と続いている。「オープンイノベーション」「アライアンス」「M&A」「新規事業開発」といったキーワードの業務経験者は稀少。
志向性
30代前半までの若手は「組織上層部が詰まっている組織から、より若いうちに裁量が持て挑戦できる組織へ」という希望、30代中盤以降は「現職でやりきったため、これまでの経験を活かし新たな挑戦ができる組織へ」という希望で転職活動をするケースが多い。また、働き方改革の気運の高まりを受けて、フレックスやテレワーク、パラレルキャリアなど柔軟な就業環境を求める登録者も増えてきている。

企画職(経営企画・事業企画・営業企画・商品サービス企画)の求人動向

求人マーケット動向
企画職(経営企画・事業企画・営業企画・商品サービス企画)の求人マーケット動向(2019年5月)

対象:2018年11月1日~2019年4月30日にdodaにいただいた求人件数と登録者数。
11月の数値を「1」とした場合の変化を表しています。

新規事業を開発するようなニーズはもちろん、事業成長のロードマップを描き、予実を分析しながら戦略をブラッシュアップしていくような事業企画、サービス・商品企画のニーズが活況。

サービス・商品企画では、プロダクトアウト型からマーケットイン型へシフトしているため、市場調査に長けているリサーチ会社出身者を求める企業ニーズが以前より目立つ。
営業企画では、自社保有データや解析ツールを活用し、業務プロセスを改善する求人のニーズが多い。また「カスタマーサクセス」や「BtoBマーケティング」などの要素を求める求人が増加傾向。数値管理に強みがある人材や無形サービス企業の提案営業経験者など、未経験であっても高い素地を有する人材を採用するケースも見受けられる。
経営企画は、経験があまりない若手であっても、財務系の経営戦略やM&Aなど、ビジネスサイドの企画・戦略業務へとチャレンジできるケースが増えている。M&A経験者の採用は総じて苦戦。
いずれの職種においても、優秀な素地を持つ若手やコンサルティング業界出身者などを採用するケースが増えている。

企画職(経営企画・事業企画・営業企画・商品サービス企画)の採用成功POINT

事業会社の企画職のみならず、若手から経営層への提案機会を作れるコンサルティングファームや、大手クライアントに対する直接提案などの経験が得られる大手広告代理店などが採用競合となる市場。競合企業に打ち勝ち、採用を成功させるためには、「得られる成長機会」「任せたいミッション」など挑戦心をくすぐる訴求が必須。
企画者に求められる課題解決能力・仮説思考力・業務推進力はポータビリティが高いビジネススキルであるため、業務経験が合致していなくても入社後活躍しているケースが多い。総じて、「ミッション実現のために行った課題解決プロセス」にフォーカスして人材を見極めることがポイント。

データドリブンで企画を進めることが求められる求人では、データ分析ができるリサーチャーや、事業会社側で計数管理や分析をしてきた営業企画系の人材もデータ解析系ツールの取り扱いに長けていることがあるため、母集団形成のため視野に入れたい。所属組織の風土などによっても事業グロースの成功可能性が左右される新規事業企画経験者については、実績で判断するよりも「コトを作るプロセスで得た思考能力」で判断する方が機会損失リスクが低減できる。

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