管理・企画・マーケティング部門
管理(人事、経理等)・企画・マーケティング部門中途採用マーケットレポートは、dodaに登録いただいた求人・登録者から、下記の職種の登録者動向・求人動向・採用ポイントをまとめたレポートです。
※該当職種:経理・財務・経営企画、人事・総務、法務・知財、購買・物流、企画・マーケティング職、社内SE職
採用成功のカギは要件定義と絶対評価。
マーケット概況
管理部門、企画・マーケティング部門の求人数は、すべての職種において増加が見られました。
3ヵ月対比では「5~7月」に対して「8月~10月」では、求人数が113%、転職希望者数が100%となり、転職マーケットの拡大が進みました。
dodaに登録されている求人数と転職希望者数の比率は、約「6:1」となっており、管理部門、企画・マーケティング部門においては売り手市場化がより加速しているように見受けられます。
法人側から見ると、獲得競争がより激戦化しており、知名度のある企業であっても応募要件の最適化をしないまま募集を進めると採用が長期化・難航するケースが目立ちます。求人が増加している背景は、退職者や異動者の発生による欠員募集に加え、管理部門体制強化や新規事業開発・上場など組織構造の変化によりこれまでにない新たな機能が社内で必要とされる増員のケースも多々見られます。
また、転職希望者については、市況感が悪くないうちに、より良い条件の企業へ早期に転身(場合によってはより市場価値の高まる職種にキャリアチェンジ)したいという要望や、「働き方改革」の気運の高まりを受けて少しでも柔軟な就業環境を勝ち取りたいという希望がよく見られます。
採用成功のポイント
◆ポイントは「要件定義」と「短期集中型の選考」
管理・企画・マーケティング部門の募集は、通常、配属現場から増員要請がくるケースが大半だと思います。配属部門からあがってくる採用要件(経験や能力)は高く、細かく設定する傾向があり、採用マーケットとのズレが生じるケースが多く見受けられます。募集時には現場と適切に採用要件をすりあわせ、採用マーケットを考慮した要件で進めていくことが採用成功のポイントです。
また、営業職や技術職と比べて対象となる母集団が小さいため、継続的に採用候補者があがってくるという状態にはなりにくく、初回の母集団の中で内定に至らない場合は採用が長期化するケースが多くなっています。
(1)募集を行うタイミングで、現場と適切な要件定義をする必要がある。
(2)募集後の初回の母集団で、内定・入社まで進める「短期集中型」の選考が理想的。
当社では、管理・企画・マーケティング部門専門担当者が採用成功に向けた以下のような支援を行っています。ぜひご相談ください。
・求人発生時の現場配属先とのヒアリング/適切な要件定義/採用マーケットの共有/採用成功につながる面接の進め方など
経理・財務職
ここがポイント
◆登録者数は2018年5~7月に対し2018年8月~10月は94%と減少。熾烈な獲得競争はポテンシャル層・第二新卒層まで広がる気配
◆求人数は2018年5~7月に対し2018年8~10月は114%と増加。登録者の伸びを大幅に上回る求人数の伸びが、売り手市場を加速させている
◆①応募者が安心して就業イメージをもてる求人内容 ②市況感に合わせた適切な要件定義 ③絶対評価での短期集中型選考
経理・財務職の登録者動向
・年齢:36歳以上の登録者が52%を占めており、管理部門職種の中でも平均年齢が特に高い。経験豊富な即戦力人材の登録者数は引き続き好調に推移。
・職種:「経理(財務会計)」の登録者が67%と多数を占め、「管理会計」15%、「財務」11%と続く。実務経験者の獲得競争が激化しているため、経験年数の短いポテンシャル層・第二新卒層や、一方では経験豊富なシニア層、コンサルティング会社や会計事務所などの出身者まで対象者を幅広く検討していきたい。
・業界:トップはメーカーで27%、次いで建設・不動産が14%、商社が10%と続いている。前回に比べ、IT・インターネット系など無形業界出身者の割合が増えてきている。
・志向性:経理職においては、総じて経理領域における経験範囲を拡大させて専門性を高めることを希望する転職希望者が多い。また、安定志向の転職希望者が大多数を占める。一部、海外経理やIPO準備、業務改善などを経験できる環境を積極的に勝ち取りに行こうとする転職希望者も見られる。「働き方改革」の気運の高まりもあり、残業時間などの就業環境を重視し、安定した環境を選ぶ傾向が強い。
経理・財務職の求人動向
【データ概要】
▼求人マーケット動向
対象:2018年5月1日~2018年10月31日にdodaにいただいた求人件数と登録者数。
5月の数値を「1」とした場合の変化を表しています。
積極的な海外展開や新規事業展開により、海外経理(国際税務、国際会計基準など)や新たな会計スキーム(新たな事業領域に合わせた会計スキームの構築など)の確立など「攻め」のニーズがあげられる。一方では、組織作りや仕組み作りなども含めた増員ニーズ、大企業では不適切会計に端を発した内部統制の強化や業務フローの改善・整備など「守り」のニーズがみられる。システム導入や運用の経験を求める経理求人も目立つ。大企業の体制強化においても、現体制でオペレーションは対応できているため、プラスαの改善経験やポテンシャルの高さを求めており、どうしても採用要件は高くなりがち。
各社のニーズは決算担当者や経理財務全般のとりまとめができるマネジメント・リーダー層に集中しており、この層は獲得競争が日々激化している。採用ターゲットが限定的なため採用に苦戦し、1年以上経っても採用枠が充足しないケースも増えており、危機感を抱く企業は多い。一般的に名の知れた上場企業であっても採用に苦戦するケースが目立ち、実務未経験でも簿記資格保持者、経験豊富なシニア層、時短勤務の主婦層など、経験や知識をベースに対象範囲を大幅に広げ、早期の採用実現を最優先に目指す求人も目立つ。
経理・財務職の採用成功POINT
経理としての専門性を高めることを志向する転職希望者が多く、それが実現できる環境なのかどうかを求人票や面接で判断している。特に慎重な方が多く、業務内容や業務範囲、事業展開に紐づいた将来的なキャリアイメージが描けない場合、応募に躊躇してしまうことがある。どのような経験ができて、どのようなスキルが身に付くのか、将来的にはどういった事業の展望のなかでどのような役回りになることができる可能性があるのかを具体的に求人票、面接にて明示したい。残業時間など就業環境や部門の人員構成を明記することも安心材料として応募促進につながりやすい。
また、採用マーケットに応じた現実的な要件定義を行うことが重要。配属現場に採用マーケット感が乏しい場合、非現実的な採用条件であるがゆえに採用が数年スパンで長期化しがちな点は注意したい。
選考に関しては、初回募集時の初期母集団内で絶対評価で判断し、スピーディーに内定まで進める「短期集中型選考」が実行できるかどうかが大きなポイントになっている。
加えて、面接後の評価に対するフィードバックに敏感に反応する応募者が多く、良い点、課題点に関わらず面接評価を率直に返すことで入社意向が高まる傾向がある。
人事・総務職
ここがポイント
◆登録者数は2018年5~7月に対し2018年8月~10月は105%と増加。現業が多忙で転職活動に時間が割けないケースも一部みられる。
◆求人数は2018年5~7月に対し2018年8月~1月は109%と増加。「働き方改革」などを背景として、人事職全般のニーズは高まり続けている。
◆面接のポイントは、できる限り本音でオープンに。さまざまな企業で経験者やコンサルティング経験者なども含め対象範囲を拡大することがポイント。
人事・総務職の登録者動向
・年齢:36歳以上の登録者が50%と過半を占めており、他職種と平均年齢は同水準。採用系は年齢層が低く、労務・制度や人事全般の経験者ほど年齢層は高い。
・職種:人事の中では、採用・教育→労務・制度→給与社保の順で登録者数が多い。総務は、株主総会や規程などを扱う方から、備品管理やファイリングなど日常的な庶務担当の方も含まれており、登録者数も多くなっている。
・業界:メーカー(25%)、IT・インターネット・メディア(合わせて14%)と続くが、全体的に出身業界は分散している。そのため、出身業界にこだわりすぎると母集団が限られ、採用が苦戦する傾向が強い。人事に関しては企業の成熟段階(成長期、安定期など)によって課題が異なるため、出身業界ではなく出身企業の成熟段階や規模感をマッチングポイントにしたい。
・志向性:「①安定性を求める層」と「②キャリアアップを求める層」に二分化される。①については、給与社保担当や労務担当などに多く、社風(現社員とのマッチング)や就業環境など、安心・安全面を慎重に見極める傾向にある。②については、採用・教育担当や人事制度担当に多く見られる。会社のビジョンや中長期的に進む方向性に共感できる組織環境で、制度や仕組みを企画・構築する経験を身に付けたい方やマネジメントとしてキャリアップを目指すなど、成長志向の登録者が多く見受けられる。
人事・総務職の求人動向
【データ概要】
▼求人マーケット動向
対象:2018年5月1日~2018年10月31日にdodaにいただいた求人件数と登録者数。
5月の数値を「1」とした場合の変化を表しています。
・積極的な事業拡大や組織革新に伴う採用の強化は続いている。ビジネスモデルを変革したり、新規ビジネスに参入する企業も増えているので、今まで採用をしてこなかった層の採用や、新たな採用手法・チャネルの活用など、採用職のニーズは強い。
・自社の採用は未経験であってもスピード感があったり積極的に何かにチャレンジした経験があるなど、人材業界や広告業界、IT業界出身者など、能力や意欲の高い方を採用するケースが増えている。
・働き方改革に代表される人事(組織・制度)改革により、人事企画や戦略人事に注目が集まっている。特に無形サービス企業を中心に、RPAなどによる「労働時間の短縮」や「生産性の向上」といった変革が徐々に推し進められている。一方で、有形サービス企業など大手の老舗企業は人事・労務面ではまだペーパーレス化が浸透していない組織も一部あり、効率化や業務改革の知見を持つ人材の確保が急務となっている。責任者クラス以外のスタッフクラスであれば、実務経験の長さよりもITリテラシーや効率化の意識などが優先されるケースもある。
また、英語力を有する人材を求めるケースがよく見受けられるが、各社のニーズが集中し、年収水準も高いため、採用条件を緩和しないまま採用を進めると苦戦しがち。
人事・総務職の採用成功POINT
人事の転職希望者は自分自身も人事・採用のプロであるため、募集の背景には本音と建前が混在していることを熟知している。また、正直さや真摯さを大切にする方が比較的多いため、本音の課題や募集背景などをできるだけオープンに伝える方が好感を持たれる傾向がある。企業が将来的に進む方向性を可能な範囲で伝えたうえで、求める人物像も明確に定義して採用に臨みたい。売り手市場により転職希望者は転職先を選べる状況がいっそう強まっているため、対象範囲を拡大することも検討したい。採用職は営業・販売職や人材業界出身者なども含めた未経験層への拡大、新たな制度や企画の立案経験を求める人事企画・改革を担う人材については、広く人事経験を持つ方、転職回数が多めの方や、人事未経験の企画職、コンサル出身の方などを積極的に登用していくことも検討したい。
加えて、働き方改革の気運の高まりを受けて、就業環境についても敏感に察知する登録者が多い。働き方改革や生産性向上に関するトップの考え方や企業全体としての姿勢など、リアルな情報を求人に盛り込むことでスムーズな意思決定に結び付けたい。
法務・知的財産・内部監査職
ここがポイント
◆登録者数は2018年5~7月に対し2018年8~10月は108%と増加。メーカー出身者は若干減少したが、全体に占める割合は一番高い。
◆求人数は2018年2018年5~7月に対し2018年8~10月は110%と増加。法務内製化の波を受けて、戦略法務や内部監査などの法人ニーズが高まっている。
◆選考は詳細な情報提供がポイント。対象範囲は事務所出身者や法律知識を持つ未経験層も積極的に検討したい
。
法務・知的財産・内部監査職の登録者動向
・年齢:36歳以上の登録者が63%を占めており、管理部門職種の中で最も平均年齢が高い領域である。司法試験の勉強を続けてきた方や、他部門で経験を積んだ後に法務や知財に異動・転職をした方など、法務・知財・内部監査としてのキャリアスタートが遅い方が多いことが影響している。
・職種:法務が40%と半数を占め、内部監査、知財と続く。法務については、契約関係の経験やサポート業務が中心の若手層が目立つ。
・業界:知財を含む領域であることも影響して、メーカー出身者が最も多く34%、金融出身者が12%と続く。特筆すべきは、法律事務所や税理士法人など事業会社以外の登録者が7%と大幅に伸長したこと。以前は心理的な障壁が高かった法律事務所事業会社への転職事例が近年増えており、以前よりも転身に意欲的な登録者が目立つ。
・志向性:法務としての担当範囲を広げたいという志向性が目立つ。特に、契約やコンプライアンスなど限られた分野中心の法務から、上場企業での商事法務や、戦略的な法務(M&Aやアライアンス、新規ビジネスに関わる法務)にシフトしたいといったケースがよく見られる。
内部監査においては、上場する企業やグローバル展開を行う企業が増える中で求人が増えていることもあり、運用から構築などより主体的な業務を志向している。
法務・知的財産・内部監査職の求人動向
【データ概要】
▼求人マーケット動向
対象:2018年5月1日~2018年10月31日にdodaにいただいた求人件数と登録者数。
5月の数値を「1」とした場合の変化を表しています。
法務機能の内製化や組織拡大、ガバナンス強化に伴う内部監査やコンプライアンス、新事業展開に伴うビジネス法務のニーズが牽引しており、求人数は増加が続いている。
大企業、ベンチャー企業に関わらず、新たなテクノロジーを活用したビジネス(●●テック)やネットとリアルの融合(IoT、ECなど)へ参入するケースが増え、リスクマネジメントやガイドラインの設定といった戦略的な法務のニーズは非常に旺盛になっている。
一方で、不祥事やガバナンス欠如による問題が社会的に取り沙汰されることに端を発し、内部監査やコンプライアンスの強化に乗り出す企業が多く見られる。
また、海外M&Aに関わる海外案件対応や高度な法対応のニーズが高まっており、事業会社での就業経験がない弁護士や司法修習生を積極的に採用しようという企業も増加している。
法務・知的財産・内部監査職の採用成功POINT
転職希望者は法務としての担当業務や担当範囲に関心があり、その希望が叶うのか(将来的なものも含めて)を慎重に見定めている。戦略的な法務へのシフトを志向する方が多いが、それが本当に実現するのか、また、庶務や総務など他の管理部門業務の割合はどの程度なのかといった点も気にしている。対象者の範囲としては、前述した通り法務としてのキャリアスタートが遅いため年齢層はミドル~シニア層を含めて幅広く選定することがポイント。事務所側から事業会社の法務や知財に転身したい転職希望者は以前にも増して多く、弁護士や弁理士を中心に、知見が豊富な事務所出身者は積極的に検討したい。また、実務経験はないが法律の知識を持つ若手が未経験で転職を実現するケースも目立ち、今後さらに加速する見込み。ポテンシャル層への対象拡大も視野に積極的に入れたい。
購買・物流職
ここがポイント
◆登録者数は2018年5~7月に対し2018年8~10月は104%と増加。若手を中心に他業界への転職も視野に入れている。
◆求人数は2018年5~7月に対し2018年8~10月は113%と増加。労働力不足、生産性向上などをテーマとした採用ニーズが引き続き高い。
◆採用要件定義は「業務遂行能力」にフォーカスすることが成功の秘訣。物流業界出身者やコンサルタントを積極的に検討したい。
購買・物流職の登録者動向
・年齢:30歳以下の登録者が33%、31歳~40歳までも33%、41歳以降が34%と登録者は各世代に分散しているが、引き続きミドル・シニア層が多い。倉庫管理や貿易実務などオペレーション中心の担当者は年齢層が若く、SCMや物流企画、メーカーの資材購買などでは30代・40代以降が中心。
・職種:登録者数は、倉庫管理・在庫管理、購買・調達・バイヤー、物流管理と続く。ニーズが高まっているSCM企画・物流企画の登録者は全体の7%と極めて希少で、需給のギャップが生じている。
・業界:登録者数は、荷主側であるメーカーが43%、物流業界が32%、商社が11%。急速なEC化が進む小売業が6%と増加傾向。
・志向性:倉庫管理などの実務中心の若手登録者は働き方に不満をもつ方が多く、就業環境改善を志向する傾向が強い。他業種への転職や、海外関連業務への就業希望が目立つ。経験豊富なミドル以降は、管理的業務から企画・戦略業務、プロセスの一部業務から物流網全体へのステップアップ、海外物流など、今の会社では経験できない領域へのチャレンジを志向する方が多い。
購買・物流職の求人動向
【データ概要】
▼求人マーケット動向
対象:2018年5月1日~2018年10月31日にdodaにいただいた求人件数と登録者数。
5月の数値を「1」とした場合の変化を表しています。
業界全体として、慢性的な労働力不足に加えて、働き方改革など生産性向上が急務となっており求人ニーズは活況。
「原価低減」をテーマとした物流網の再構築(物流企画)や倉庫、生産拠点も含めた「グローバルSCM全体」の設計や見直しなど、物流を上流工程から変革したいというニーズが多い。
それを実現する上で、ITやコンサルティング業界など、業界外とのアライアンスを進めていくこともあり、他業界出身者を歓迎するというケースも出てきた。
加えて、急速なEC化などを受け、取扱貨物量の増加に耐えうる物流網の必要性が増す中、倉庫の増設、倉庫の大型化や多機能化が進む。メーカー側も自社物流の改革に力を入れるケースもあり倉庫内スタッフやセンター長、業務改善やBPRなどのニーズがともに高まっている。大手3PLなどでは若年層の未経験者を採用する風潮が徐々に表れ始めている。
購買職では、交渉力のある若手未経験者採用が一部で推進中。IoTの普及が進み小型センサーや無線通信関連の求人の活発化が予想される。
購買・物流職の採用成功POINT
SCMや物流企画などを担う人材は希少で、競争率が高く採用が難航しがち。需給予測やコスト判断などの企画業務自体には業界特有の要素が薄いことから、企画力や推進力を評価し、「業界へのキャッチアップ」を入社後の導入研修で担保する企業の採用がうまく進んでいる。異業種の類似業務経験者や物流コンサルタント、3PLで物流企画をしている方なども検討に入れ範囲を拡大しておきたい。
倉庫スタッフでも、作業効率などを重視する場合には他業界でBPRや業務改善の経験者を登用するなど、できる限り対象範囲を広げておくことがポイント。また、キャリアステップを気にする方も多く、いくつかのルートがあるという選択肢を見せることもポイント。
資材購買も同様で対象範囲を広く検討したい。商材経験が必須であれば、同商材の営業経験者を検討するなど、視点を変えて採用を行っている企業が見受けられる。
マーケティング・広報職
ここがポイント
◆登録者数は2018年5~7月に対し2018年8~10月は95%と減少。市況の良さを感じ取り、キャリアチェンジも視野に入れて活動する層が引き続き目立つ。
◆求人数は2018年5~7月に対し2018年8~10月は108%と増加。特にデジタル経験者の熾烈な獲得競争が、過去にない水準で激化している。
◆優秀な経験者・若手の採用は極めて激戦の傾向。コンサルティング業界や企画職などとも競合するため、正しい要件で採用スピードを高められるかカギ。
マーケティング・広報職の登録者動向
・年齢:35歳以下が61%と、若手~ミドルが登録層の過半を占める。傾向としては、30代に差し掛かる手前の20代、好景気のうちに異業界も視野に入れて転職を検討する層が目立った。
・職種:販売促進・PR系の登録者が最も多く、Webマーケティング職の方の動きも活発に見受けられる。景況感がよいタイミングで条件がよい企業へ転職したい、もしくはスキルを高められる環境に移りたい考える優秀なマーケターが多い印象。一定経験を有する層の転職においては、扱える広告予算の規模や手法の幅を拡大させたい成長志向の方が多いほか、自身が好きな大手サービス・ブランドに携わりたいと考える登録者も目立つ。代理店(支援側)でのマーケターの登録者数も多くなっており、働き方改革(テレワークやフレックスなど)とやりたい仕事とのギャップに葛藤を抱える登録者が多い傾向。
・志向性:引き続き、代理店(広告代理店、PR代理店)から事業会社のマーケター、リサーチ会社から事業会社のマーケターへの転職を考える方は多い。若手に関しては、大きなサービスあるいは商品力が強いプロダクトに携わることで、市場価値を上げたいという志向がいっそう強まっている。ミドル層に関しては、マネジメントよりもプレイヤーとしてスキルを高めることに価値を感じている層が依然として多い。
マーケティング・広報職の求人動向
【データ概要】
▼求人マーケット動向
対象:2018年5月1日~2018年10月31日にdodaにいただいた求人件数と登録者数。
5月の数値を「1」とした場合の変化を表しています。
引き続き、Webマーケティング、データ分析経験者などデジタル人材を求める企業側のニーズがよりいっそう強まっている。企業によっては、採用要件があいまいな状況においても、将来への投資という意味合いで、デジタルのスペシャリスト人材を早期に社内に抱え込もうとする動きも散見されるようになってきた。
特に会員登録制のWebサービスでは、デジタルにおける集客やCRM(顧客管理)が直接的に売上拡大へとつながることを上層部も理解しているため、他社よりも上回る年収を提示してでも、有力者の採用を早期に成功させたい考えが強い。一方で、スタッフクラスの採用については、代理店出身者の採用を進める企業が増えている。さらには未経験者でポテンシャルのある若手を採用し、一定期間育てる覚悟を持つ企業も見受けられる。優秀な若手未経験者を採用する傾向は今後いっそう強まる可能性が高い。
マーケティング・広報職の採用成功POINT
事業成長におけるマーケティング、特にデジタル領域の重要性は日々増している。マーケターとしての成長のために自己研鑽をしている登録者は一定数いるものの、実務経験が豊富な方や、業界やトレンド全体にアンテナを張り巡らせている人材は未だ希少。経験者は引く手あまたで企業のブランド力や処遇、ポストをドライに見比べる傾向が非常に強いため、条件面や中長期のキャリアパスで頭一つ飛び抜けた何かを訴求することが、早期採用成功のポイントの一つ。
一方で、ポテンシャル採用まで枠を広げる際には、他業種で競合する可能性が非常に高い。最低限必要な素地(数値に強い、折衝能力があるなど)を社内で明確に定義し、適切な採用条件のもとで採用スピードも上げる(選考回数削減、結果通知の期間日数短縮など)ことが成功のポイントとなる。この領域はスピードで見劣りすると、他社に先に口説かれて負けてしまう。
また、マーケターとしてキャリアをアップするために複数の企業を渡り歩いたり、職種を転換してきたマーケターも多くいるため、転職回数などの経歴だけでは判断しないことも母集団形成上のポイントになる。
企画職(経営企画・事業企画・営業企画・商品サービス企画)
ここがポイント
◆登録者数は2018年5~7月に対し2018年8~10月は99%と微減。
◆求人数は2018年5~7月に対し2018年8~10月は109%と大きく増加。0ベースの新たな発想や数値分析力を特に期待するケースが増えている。
◆若手ポテンシャル層は引き続き熾烈な獲得競争。データドリブンの流れが顕著であり、リサーチャーやIT業界出身者など、数値に強みを持つ人材も検討したい。
企画職(経営企画・事業企画・営業企画・商品サービス企画)の登録者動向
・年齢:年齢層は分散しているが、40代以降の登録者数が引き続き大きい。一方で、20代や30代の企画系職種では、メーカーや金融など、これまで転職活動に対して腰が重い方が多い業界出身者を中心に、業界を飛び越えて転職を試みたいというチャレンジの声を耳にする機会が増えている。
・職種:商品・サービス企画→事業企画→営業企画→経営企画と続いている。
・志向性:「①ある特定の領域で重宝される専門性を身に付けたい」層と「②領域を問わず広く通用する汎用的なビジネススキルを身に付けたい」層に分かれる。①に関しては短期・中期的にやりたいことや属したい業界・企業がほぼ定まっており、ある特定の事業会社への転職希望が多い。一方で、②に関しては、現時点ではやりたいことが定まっていないケースが多く、長期目線で考え、将来に備えて力を身につけるという目的で、コンサルティング会社や広告代理店、スピード感のある成長企業への転職を希望することが多い。競合となりうるコンサルティング業界や広告代理店の採用ニーズが日々高まっているため、事業の将来的な展望と中長期のキャリアプランを明確に訴求することが重要。また、働き方改革の気運の高まりを受けて、フレックスやテレワークなど柔軟な就業環境を求める登録者数も増えてきている。
企画職(経営企画・事業企画・営業企画・商品サービス企画)の求人動向
【データ概要】
▼求人マーケット動向
対象:2018年5月1日~2018年10月31日にdodaにいただいた求人件数と登録者数。
5月の数値を「1」とした場合の変化を表しています。
引き続き市場の変化スピードが加速。各職種において新たな動きが見られる。
新規事業開発のニーズはもちろん、事業成長のロードマップを描き、予実を分析しながら戦略をブラッシュアップしていくような事業企画、サービス・商品企画のニーズが活況。
営業企画では、引き続き、自社保有データや解析ツールを活用し、施策を立てたり業務プロセスを改善する求人が多い。数値管理に強みがある人材や無形サービス企業の提案営業経験者など、未経験であっても高い素地を有する人材を採用するケースも見受けられる。
事業企画やサービス・商品企画では、引き続きプロダクトアウト型からマーケットイン型へシフトが進んでいる。ゆえに、市場調査に長けているリサーチ会社の出身者を求める企業ニーズが以前より目立つ。経営企画は、経験があまりない若手であっても、財務系の経営戦略やM&Aなど、ビジネスサイドの企画・戦略業務へとチャレンジできるケースがベンチャー企業を中心に増えている。
いずれの職種においても、優秀な素地を持つ若手(第二新卒)を採用するケースが増えており、今後もいっそうポテンシャル採用が加速していることが予測される。
企画職(経営企画・事業企画・営業企画・商品サービス企画)の採用成功POINT
若手のポテンシャル層を中心に、人材の獲得競争が激化。特に20代の登録者数の伸びが著しいため、他社より先駆けて積極的に母集団形成に役立てたい。コンサルティング業界や広告代理店をはじめとする大手企業が優秀な若手層を採用する動きが加速しており、企画職の採用において大変な脅威ではある。経験よりも能力を重視する若手採用であれば、コンサルティング業界や、若くして事業会社の企画・マーケティング部門に籍を置く方など、スキルが完全にマッチしなくても将来への期待が高く持てる方を狙っていきたい。
その他、新規事業企画や商品・サービス企画においては引き続きデータドリブンで進めることも多く、データ分析ができるリサーチャーや、事業会社側で計数管理や分析をしてきた営業企画系の人材もデータ解析系ツールの取り扱いに長けていることがあるため、母集団形成のため視野に入れたい。また、業界としてはITや金融出身者など、自社における新規事業を推進する上で絶対的に必要となる知見を持つ人材も積極的に検討したい。また、社会的な動向から、柔軟な就業環境を求める方も増えているため、働き方の改善に関する取り組みや企業姿勢(女性が働きやすい環境作りなど)を求人を通して訴求することも重要となる。
社内SE職
ここがポイント
◆登録者動向は横ばい傾向、景気動向が大きく動かない限り、今後も安定した推移が見込まれる想定。
◆求人数は微増傾向、転職者側に有利、採用側は争奪戦となる傾向。
◆登録者の幅広い年齢層に合わせ、採用要件の適正化は有効な打ち手となり得る。
社内SE職の登録者動向
登録者数は横ばい、直近半年間の動向を見た際にも、景気動向が大きく動かない限り、今後も安定した推移が見込まれる。
登録者の年齢層としても、25歳以下:10%、26歳~30歳:19%、31歳~35歳:20%、36歳~40歳:17%、41歳~:34%と年齢層は多岐に渡る。
経験者の採用競争は熾烈化しており、採用成功のポイントのひとつとして、育成を前提とした若手エンジニア採用や、ミドル・シニア総への採用拡大が大事なポイントとなりそうだ。
社内SE職の求人動向
【データ概要】
▼求人マーケット動向
対象:2018年5月1日~2018年10月31日にdodaにいただいた求人件数と登録者数。
5月の数値を「1」とした場合の変化を表しています。
社内SEの求人総数は過去最大ボリュームで推移。
業界問わず各事業会社においてIT化は必要不可欠となっており、現行システムの機能追加やリプレイス、コンシューマーにリーチするためのECサイトの立ち上げなどの動きが多く見られる。
そのため、情報システム部門の人員増加が求められており、今後も求人数は増加が見込まれる。
一方で、登録者数は横ばいの傾向にあるため、採用競争は一層激化する模様。
社内SE職の採用成功POINT
登録者数は横ばいで推移しているが、求人動向は増加傾向が続く。
中でも、経験者の採用競争は熾烈化しており、採用成功のためには、他社に負けない魅力化を図り、採用力を強化する方針を図るか、育成を前提とした若手エンジニア採用やミドル・シニア層への採用拡大が、重要なポイントとなりそうだ。
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管理・企画部門の中途採用市場レポート(2018年11月発行)ページです。【中途採用をお考えの法人様へ】dodaサービスのご案内 - 採用成功への扉を開く、総合採用支援サービス