管理部門
管理(人事、経理など)部門中途採用マーケットレポートは、dodaに登録いただいた求人・登録者から、下記の職種の登録者動向・求人動向・採用ポイントをまとめたレポートです。
※該当職種:経理・財務職、人事・総務職、法務・知的財産・内部監査職、購買・物流職
マーケット概況
2023年2月~4月における管理部門の登録者数は、2022年11月~2023年1月対比で102%と微増。
求人数も、2022年11月~2023年1月対比で101%の微増となっており、登録者・求人数ともに堅調に推移した。要因としてコロナ対策における組織改編のための採用や、新しい人材確保の需要が徐々に落ち着いてきたことが背景にあると見られている。
登録者側は、自身のスキルやキャリアステップ、長期的な就業を考えた際、これらに対して将来への不安を抱き、今後の見通しが立たない現況を打破すべく転職活動を開始するケースが増えている。
その一方で、「現職以上に良いところがあれば転職を考えたい」「よりキャリアを高められる環境への転職を考えたい」といった慎重に転職活動を行う層も、一定の割合で存在している。
さらに、40代以上で専門スキルやマネジメント経験を持った方の登録も増加しており、即戦力として採用されるケースも増えている。
昨今の就業環境の変化を受け、リモートワークが可能な環境を転職条件の1つとして考える求職者の割合が相当数増えてきた。リモート環境下においてのWeb面接が定着しつつあり、採用活動においては柔軟かつスピーディーな選考が求められる時代となった。
採用成功のポイント
ポイントは「採用要件適正化」「スピード」「意向醸成」
配属部門からの増員要請で上がってくる採用要件には、任せたい業務内容に対してオーバースペックであるケースや、採用マーケットとのズレが生じているケースが多く見受けられる。
募集時には現場と適切に採用要件をすり合わせ、採用マーケットを考慮した要件で進めていくことが採用成功のポイントとなる。
また、管理部門や企画・マーケティング部門というカテゴリでは、営業職や技術職と比べて対象となる母集団が小さく、継続的に求職者から応募がある状態にはなりにくいため、初回の母集団形成の中で内定に至らない場合は、採用活動が長期化することが多い。
求人も採用枠が少ないケースが多く、求職者側は複数社へ併願している場合も多い。そうなると他社との差別化や企業の魅力訴求が重要となり、面接通過者には都度、評価点をフィードバックすることや事業・職務の魅力を伝えることが有効となる。
総じて、当該領域の採用に成功している企業に共通するポイントは以下の3つである。
(1)募集を行うタイミングで、現場と適切な要件定義をする
(2)募集後の初回の母集団形成で、内定・入社まで進める「短期集中型」の選考を進める(Web面接の導入、書類選考の早期回収、選考回数の削減など)
(3)選考からオファー提示に至るまで、常に求職者の希望に沿う情報を提供する
加えて、Web面接導入により転職希望者の面接場所への移動コストが軽減され、面接が受けやすい状況下にあることから、選考期間は従来と比べ短くするほうが採用成功につながりやすいだろう。
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経理・財務職
- 2023年2月~4月の登録者数は、2022年11月~2023年1月対比で102%と微増
- 2023年2月~4月の求人数は、2022年11月~2023年1月対比で103%と増加傾向
- 転職理由(希望や不安・不満)に対して、自社の魅力をアピールできる体制づくりを
経理・財務職の登録者動向
対象:2023年2月~4月にdodaにご登録いただいた転職希望者
経理・財務職にとって繁忙期となるのは年度末・年度初め。一般的にこの期間は業務に集中する方が多い中、所属する企業の将来性や自身のキャリアを見直す方なども多かった。こうした背景により2023年2月~4月の登録者数は微増する結果となった。
登録年齢層は30歳以下が28%、31~40歳が29%、41歳以上が43%の割合となっており、若手層がやや減少し、ベテラン層の登録割合が増えている。
職種別としては、「経理(財務会計)」の割合がもっとも高く67%。次いで「管理会計」が15%。「財務」が10%と続く。
出身業界別で見ると、「メーカー」出身者が29%を占めており最も多い。次に「建築・プラント・不動産」が12%と続いている。また、会計事務所や税理士法人・監査法人など、専門性の高い実務を経験している人材が、経理・財務の領域で、新たなキャリアを目指して転職活動を行うケースも増えている。
経理・財務職の求人動向
対象:2022年11月~2023年4月にdodaにご登録いただいた求人件数と登録者数
※2022年11月の数値を「1」とした場合の変化を表しています。
求人数は全体的に増加傾向が続いている。同ポジションは、景気の動向など事業を取り巻く環境の影響を大きく受けるものの、下半期(10月以降)に求人数が増加するという傾向が顕著である。今回もこのトレンドに則り11月以降は大幅に求人数が増加することとなった。
過去の傾向を見ても、求人数は今後も増加が予想されるため、経理・財務職は「売り手市場」と言っても差し支えがない状況だ。
経理・財務職の採用成功POINT
採用したい人材のスキル・経験やペルソナを想定し、その人材が抱えている転職理由(希望や不安・不満)に対して自社の魅力が刺さるようなアピールをすることが重要である。
特に同ポジションの転職理由は2点の大きなトレンドがある。
一つは、安定志向の強さ。例えば、「会社・業界の先行きが不安」「給与に不満がある」「会社の評価方法に不満がある」「恒常的な残業や休日出勤」といった、就業環境や処遇に関する不安・不満から転職活動を始めるケースである。
「長く安定して就業できるかどうか」を応募の判断基準にする傾向が強いため、「会社の業績やビジネスモデルの特長をアピールする」、「商品やサービスの優位性を数字やデータなどの根拠を踏まえて伝える」、「給与・評価といった制度面での情報をできる限りオープンにする」などによって採用成功に近づくだろう。
また、過去に中途採用で入社した方の情報や、配属部署の人数・構成、年齢層や男女比など、職場の雰囲気や人間関係が感じられる情報は、応募や入社を決断する後押しとなるので押さえておきたい。
もう一つは、「専門知識を習得したい」「新たな業務に挑戦したい(業務範囲を広げたい)」「管理職・マネジメントを目指したい」といった、スキルや能力向上に関する意欲を高く持っているケースだ。そこで求人票などには、業務内容の詳細(業務範囲・専門性・役割<リーダーやマネジメント>など)を分かりやすく具体的に記載できるかが重要なポイントとなる。
また、大手企業出身の転職希望者の中には、「上場企業での連結決算・開示業務」や「IPO準備(組織体制の整備や各種申請業務など)」といった業務内容に魅力に感じる方もいれば、「社長や経営層に近い立場で事業推進や新規事業立ち上げに参画できる」といった、環境面に魅力を感じる方も一定数存在する。選考時に将来のキャリアパスや期待する役割についての情報提供をしっかりすることで、求める人材を獲得しやすくなるだろう。
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人事・総務職
- 2023年2月~4月の登録者数は、2022年11月~2023年1月対比で101%の微増
- 2023年2月~4月までの求人数は、2022年11月~2023年1月対比で96%と微減
- 「働き方の柔軟性」や「キャリアパスの豊富さ」訴求が採用成功のカギ
人事・総務職の登録者動向
対象:2023年2月~4月にdodaにご登録いただいた転職希望者
- 年齢
- 30歳以下が34%、31~40歳が31%、41歳以上が35%となっている。40歳以下の若手層・中堅層の登録者が半数以上を占めているが、管理職や専門スキルを保有する41歳以上のベテラン層の登録も増加傾向である。
- 職種
- 「人事(採用・教育)」が39%、「総務」が28%、「人事(労務・人事制度)」が16%、「人事(給与社保)」が10%と続く。
- 出身業界
- 「メーカー」が21%、「IT・通信」が10%を占める。他にも「人材サービス・アウトソーシング・コールセンター」、「建築・プラント・不動産」など幅広い業界出身者が登録している。
- 志向性
- 大きくキャリアチェンジを希望するというよりは、現在の業務に加えて「+αでチャレンジできる」、「幅を広げたい」と考える方が多い。また、年度の節目の中で、異動やキャリアチェンジを余儀なくされた方が、自分の経験を活かせる職業への転職を希望するケースも目立つ。
人事・総務職の求人動向
対象:2022年11月~2023年4月にdodaにご登録いただいた求人件数と登録者数
※2022年11月の数値を「1」とした場合の変化を表しています。
年度末から年度初めという時期的な要因もあり、求人数は2022年11月~2023年1月と比べると約4%減少した。しかし5月以降はさまざまな業務が落ち着く期間でもあるため、今後は求人数の増加が期待されている。
同職種は、即戦力としての活躍を期待するポジションから、ポテンシャル層、リーダー・マネジメント向けポジションなど幅広い採用ターゲットに向けての求人が数多くあることが特徴だ。特に総務職においては、自社の生産性向上をミッションに据える企業もあることから、庶務はもちろん業務改善などの戦略総務的な立ち位置の求人が増えていることもトレンドとして挙げておきたい。
人事・総務職の採用成功POINT
「現状の環境を大幅に変えたい」というニーズよりも、「現状の経験+αで広く経験を積みたい」という志向を持つ登録者が増えている。そのため、転職することによってどんなキャリアを描けるのかを訴求することによって、自社の求める人材確保へもつながりやすくなる。
また一方で、子育て世代の転職活動も活発化している。そのため「残務処理を在宅でこなせる環境が整っている」など、働き方の柔軟性をアピールすることで転職希望者の目には魅力的に映り、自社を選んでもらえるきっかけとなるはず。現在、多くの企業で在宅勤務からオフィス勤務へと切り替わっているという背景もあり、オンラインや夜間帯のフレキシブルな面接実施が、採用成功を後押ししてくれるだろう。
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法務・知的財産・内部監査職
- 2023年2月~4月の登録者数は、2022年11月~2023年1月対比で107%と増加
- 2023年2月~4月の求人数は、2022年11月~2023年1月対比で103%と微増
- 依然として弁護士資格保持者、インハウスでの経験者にオファーが集中
法務・知的財産・内部監査職の登録者動向
対象:2023年2月~4月にdodaにご登録いただいた転職希望者
- 年齢
- 一定水準の経験や知識が必要となるため、他職種と比較をしても平均年齢が最も高く、41歳以上の登録が56%と高い割合を占めている。
- 職種
- 「法務」が52%と大半を占め、「内部監査」が31%、「知的財産・特許」が17%と続く。
- 出身業界
- 「メーカー」が35%、「金融」が13%と高い比率を占める。次いで「IT・通信」が9%、「インターネット・広告・メディア」が7%と続く。
- 志向性
- 法学部出身、未経験での法務希望者が引き続き増加している。また、専門性を磨きたいという理由で法律事務所から事業会社への転職を希望する方も増加傾向にある。
一方、経験者については、契約法務だけではなくグローバルな視野で成長していきたい方や、戦略法務などといった、より難易度の高い業務に挑戦をしていきたいと考える傾向にあるようだ。また、総務部門で法務を経験された方も一定数おり、そうした方は法務の業務をメインにしたいと志向しているケースが多い。
法務・知的財産・内部監査職の求人動向
対象:2022年11月~2023年4月にdodaにご登録いただいた求人件数と登録者数。
※2022年11月の数値を「1」とした場合の変化を表しています。
法務についてはポテンシャル層を含め、リーダー候補などの求人も増加中である。特に、海外展開やM&Aなど事業成長フェーズの業界・企業においては、国際法務を担える人材へのニーズが高まっている。
中小・スタートアップの企業では、その他管理部門と並行して法務業務を担当するような求人も増加中である。
また、社会全体でコンプライアンスやガバナンスの強化が行われている背景から、内部統制・内部監査ポジションの強化を図る企業も多い。
さらに、知的財産や特許分野での採用は、経験者に限らず、理系学部出身の未経験枠まで要件を広げるケースも増えてきている。
法務・知的財産・内部監査職の採用成功POINT
社会全体で法務・知的財産・内部監査職のニーズが高まっている中で、経験者や資格保持者へのオファーが依然集中している。全体的に対象となる方が少ないことから、各社で争奪戦が繰り広げられている状況だ。
同ポジションの経験者は、現在の業務に物足りなさを感じている方、戦略法務やM&Aなどの領域で活躍したいと考える方などが多いため、入社後の担当業務・領域、どのような経験やスキルが身に付くのかといった情報提供がポイントである。
転職希望者の志向性としては、安定志向が強く、その企業で扱っている商材やサービスが世の中でどの程度の普及率なのか、あるいは認知度はどれくらいなのか、などに興味・関心を持つ方も多い。そのため会社の業績やビジネスモデル、今後の展望や方針などを選考の中で伝えていくことが大事である。
また、未経験枠の採用を検討するなら、経験の如何にこだわらず法務希望者や理系学部出身者まで要件を広げることをおすすめする。これらの属性を持つ転職希望者の登録も増えてきているため、ターゲット・ペルソナや待遇面を適切に見直すことで、採用成功に近づけるからである。
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購買・物流職
- 2023年2月~4月の登録者数は、2022年11月~2023年1月対比で104%と微増
- 2023年2月~4月の求人数は、2022年11月~2023年1月対比で107%と増加傾向に
- 採用要件定義は「業務遂行能力」「ポテンシャル(類似経験)」にフォーカスする
購買・物流職の登録者動向
対象:2023年2月~4月にdodaにご登録いただいた転職希望者
- 年齢
- 登録者の内訳は、30歳以下が35%、31~40歳が28%、41歳以上が37%と各世代に分散している。倉庫管理・在庫管理や貿易実務など現場オペレーション中心の業務の担当者は若手層が、SCM(サプライチェーン・マネジメント)や物流企画、購買調達など上流工程・コスト管理の担当者は30代、40代以上が多い傾向にある。
- 職種
- 「倉庫管理・在庫管理」が37%、「購買・調達・バイヤー・MD」が27%、「物流管理」が19%、「貿易業務(輸出入業務・通関など)」が9%と続く。ニーズが高まっている「SCM企画・物流企画・需要予測」は全体の6%と希少であり、求人数と登録者数にギャップが生じている。
- 出身業界
- 「運輸・物流」が38%、「メーカー(機械・電気)」が22%、「メーカー(素材・化学・食品・化粧品・その他)」が17%、「商社」が9%、「小売」が7%と続く。
- 志向性
- 「倉庫管理・在庫管理」に従事している転職希望者は、就業環境の改善や物流の上流工程への挑戦を希望するケースや、営業職、事務職などの他職種へのキャリアチェンジを希望するケースが多い。
また、異業界への転職では、物流企業から荷主側であるメーカー・商社への挑戦を希望するケースも多い。経験豊富なミドル層以上は、部分的な管理業務から企画・戦略業務へのステップアップなど、現職では経験できない、あるいは到達するまでに時間が掛かる領域への挑戦を希望しているケースが見受けられる。
一方「貿易業務」の実務経験者においては、一層の専門性や職務の幅を求めるなど、スペシャリストとしてのステップアップを希望するケースが多いが、求人数が少なく限られていることから狭き門となっている。
購買・物流職の求人動向
対象:2022年11月~2023年4月にdodaにご登録いただいた求人件数と登録者数
※2022年11月の数値を「1」とした場合の変化を表しています。
物流業界においては、ECの増加による慢性的な労働力不足に加え、物流業界における2024年問題に関連した働き方改革、そしてそれに伴う輸送戦略の見直しなどが急務となっている。求人ニーズは活況であり、求人数は右肩上がりで増え続けている。前年同時期(2022年2月~2022年4月)と比べると、2023年2月~4月の求人数は145%超えの伸長となった。
各社DX推進やIoT技術を取り入れ、業務改善を行いたいというニーズが増えている。そのため採用ターゲットを広げる動きも各企業で活発化しており、例えば「現場のオペレーション業務や物流管理業務経験があれば業界は問わない」、「調整・改善業務やスタッフマネジメントの経験があれば応募可能」などの求人が見られるようになった。
一方で、購買職においては経験者採用(職種・業界のマッチングを求める)の求人がほとんどである。メーカー・商社など事業会社の物流・購買調達部門の採用においては、担当していた業界や商材、対応していた物量、所属していた物流センターの規模など、親和性を求める求人が多いのも特徴だ。
購買・物流職の採用成功POINT
「SCM企画・物流企画・需要予測」職などを担う登録者は希少。求人ニーズとの乖離が見られるため採用が難航しがちである。採用に成功している企業の特徴としては、「業務遂行能力」に着目し、異業種の経験を積極的に評価し、「商材へのキャッチアップ」を入社後の導入研修で担保している傾向にある。そのため物流コンサルタント、3PL(サードパーティー・ロジスティクス)で物流企画をしている方などもターゲットに含めることで採用成功に近づけるだろう。
また、採用ポジションによっては、商材経験が必須という場合もあることだろう。その際は、同商材の営業経験者、同商材を管理している物流3PL経験者などをターゲットに含めると良い。
一方、倉庫などで作業効率を重視する業務担当を採用したい場合、他業界でBPR(ビジネスプロセス・リエンジニアリング)経験を積んだ方や業務改善の経験者を対象に含めるなど、できる限り範囲を広げておくことが望ましい。
また、面接日時を柔軟に調整することも工夫の一つである。転職希望者のほとんどは、日中~夕方に勤務を抜けられない。あるいは管理業務に携わっている方ほど、現場のイレギュラーに対応する必要が出てくるため、面接時間の確保が困難である。そこで「平日19時以降」や、「土日・祝日」の面接実施を可能にすることで、面接への参加率や採用スピードは向上する。
Web面接の活用も大変有効である。輸送会社や荷主側の物流関連職において、「短期集中型選考」を実施すれば、選考をスムーズに進めることができるため採用成功の可能性はより高まっていくはずだ。
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管理部門の中途採用市場レポート(2023年5月発行)ページです。【中途採用をお考えの法人様へ】dodaサービスのご案内 - 採用成功への扉を開く、総合採用支援サービス