管理部門
管理(人事、経理など)部門中途採用マーケットレポートは、dodaに登録いただいた求人・登録者から、下記の職種の登録者動向・求人動向・採用ポイントをまとめたレポートです。
※該当職種:経理・財務職、人事・総務職、法務・知的財産・内部監査職、購買・物流職
マーケット概況
2022年11月~2023年1月における管理部門の登録者数は、2022年8月~10月対比で104%と微増で推移した。
一方、求人数は、2022年8月~10月対比で107%の増加となっており、2021年9月以降、求人数の増加が一貫して続いている。要因として、新規事業の進出、組織拡大・再編への増員、マネジメント体制の強化、業務フロー再構築などに取り組む企業が多く見られ、即戦力求人の割合が増加したことが背景と見られている。
求職者側は、自身のスキルやキャリアステップ、長期的な就業を考えた際、これらに対して将来への不安を抱き、今後の見通しが立たない現況を打破すべく転職活動を開始するケースが増えている。
その一方で、「現職以上に良いところがあれば転職を考えたい」「よりキャリアを高められる環境への転職を考えたい」といった慎重に転職活動を行う層も、一定の割合で存在している。
さらに、40代以上の専門スキルやマネジメント経験を持った方の登録も増加しているため、即戦力として採用を検討する企業も増えている。
コロナ禍での就業環境の変化を受け、リモートワークが可能な環境を転職条件の1つとして考える求職者の割合は相当数存在する。リモート環境下においてのWeb面接が定着しつつあり、採用活動においては柔軟かつスピーディな対応が求められている。
採用成功のポイント
ポイントは「採用要件適正化」「スピード」「意向醸成」
配属部門からの増員要請で上がってくる採用要件には、任せたい業務内容に対してオーバースペックであるケースや、採用マーケットとのズレが生じているケースが多く見受けられる。
募集時には現場と適切に採用要件をすり合わせ、採用マーケットを考慮した要件で進めていくことが採用成功のポイントとなる。
また、営業職や技術職と比べて対象となる母集団が小さく、継続的に求職者から応募がある状態にはなりにくいため、初回の母集団形成の中で内定に至らない場合は、採用活動が長期化することが多い。
管理部門の求人は採用枠が少ないケースも多く、求職者側は他社に併願している場合も多い。他社との差別化や企業の魅力訴求が重要となり、面接通過者には都度、評価点をフィードバックすることや事業・職務の魅力を伝えることが有効だ。
総じて、当該領域の採用に成功している企業に共通するポイントは以下3つ。
(1)募集を行うタイミングで、現場と適切な要件定義をする
(2)募集後の初回の母集団形成で、内定・入社まで進める「短期集中型」の選考を進める(Web面接の導入、書類選考の早期回収、選考回数の削減など)
(3)選考からオファー提示に至るまで、常に求職者の希望に沿う情報を提供する
加えて、Web面接導入により転職希望者の面接場所への移動コストが軽減され、面接が受けやすい状況下にあることから、選考期間は従来と比べ短くなっている傾向がある。
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経理・財務職
- 2022年11月~2023年1月の登録者数は、2022年8月~10月対比103%と微増
- 2022年11月~2023年1月の求人数は、2022年8月~10月対比104%と増加傾向が続く
- 転職理由(希望や不安・不満)に対して、自社の魅力をアピールできる体制づくりを
経理・財務職の登録者動向
対象:2022年11月~2023年1月にdodaにご登録いただいた転職希望者
求職者の意向としては、「賞与を受け取って転職をしたい」という方や、「経理職の繁忙期にあたる4月までに転職をしたい」という方も多く、2023年1月の登録者数は年間最多となった。
年齢層は30歳以下が32%、31~40歳が28%、41歳以上が40%の割合となった。
職種別としては、「経理(財務会計)」の割合がもっとも高く64%、次いで「管理会計」が15%、「財務」が12%と続く。
業界としては「メーカー」出身者がもっとも多く28%を占める。次に「建築・プラント・不動産」が11%と続いている。また、会計事務所や税理士法人・監査法人など、専門性の高い実務を経験している人材が、経理・財務の領域で、新たなキャリアを目指して転職活動を行うケースも増えている。
経理・財務職の求人動向
対象:2022年8月~2023年1月にdodaにご登録いただいた求人件数と登録者数
※2022年8月の数値を「1」とした場合の変化を表しています。
求人数は増加傾向の状態が続いている。景気の動向や新型コロナウイルスの感染拡大など、事業を取り巻く環境の影響を大きく受けるものの、同ポジションの求人数の傾向としては10月以降の下半期に増加する特徴がある。参考までに2021年度の求人件数を見てみると、11月、12月をピークに過去5年間の中で最も多くなっている。
この傾向は、2022年度でも同様となっており、この時期の経理・財務職の求人においては「売り手市場」と言っても差し支えのない状況と言えるだろう。
経理・財務職の採用成功POINT
採用したい人材のスキル・経験やペルソナを想定し、その人材が抱えている転職理由(希望や不安・不満)に対して自社の魅力が刺さるようなアピールをすることが重要である。
特に同ポジションの転職理由は、2点の大きなトレンドがある。一つは、安定志向の強い層。例えば、「会社・業界の先行きが不安」「給与に不満がある」「会社の評価方法に不満がある」「恒常的な残業や土日での出社」といった環境や処遇に関する不安や不満から転職活動を始めるケース。「長く安定して就業できるかどうか」を応募の判断基準にする傾向が強いため、そのアプローチも会社の業績やビジネスモデル、商品やサービスの優位性を数字やデータなどの根拠を踏まえて伝えることや、給与・評価といった制度面での情報をできる限りオープンにすることなどが採用成功のポイントとなるだろう。
さらに、過去に中途採用で入社した方の情報や、配属部署の人数・構成、年齢層や男女比など、職場の雰囲気や人間関係が感じられる情報は、応募や入社を決断する後押しとなるので押さえておきたい。
もう一つは、「専門知識を習得したい」「新たな業務に挑戦したい(業務範囲を広げたい)」「管理職・マネジメントを目指したい」といったスキルや能力向上に関する意欲を抱くケースだ。
そこで求人票などには、業務内容の詳細(業務範囲・専門性・役割<リーダー、マネジメント>など)を分かりやすく具体的に記載できるかも重要なポイントとなるだろう。
また、大手企業出身の転職希望者の中には、「上場企業での連結決算・開示業務」や「IPO準備(組織体制の整備や各種申請業務など)」といった業務内容に魅力に感じる方もいれば、「社長や経営層に近い立場で事業推進や新規事業立ち上げに参画できる」といった、環境面に魅力を感じる方も一定数存在する。
選考時に将来のキャリアパスや期待する役割についての情報提供をしっかりすることで、人材を獲得しやすくなるだろう。
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人事・総務職
- 2022年11月~2023年1月の登録者数は2022年8月~10月対比104%と増加傾向
- 2022年11月~2023年1月までの求人数は2022年8月~10月対比106%の増加
- 経験者・若手ポテンシャル層の採用は難航する傾向にあるためターゲットの幅は広く持つ
人事・総務職の登録者動向
対象:2022年11月~2023年1月にdodaにご登録いただいた転職希望者
- 年齢
- 30歳以下が34%、31~40歳が31%、41歳以上が35%となっている。40歳以下の若手層や中間層の登録者が半数以上を占めているが、管理職や専門スキルを保有する41歳以上のベテラン層の登録も増加傾向である。
- 職種
- 職種別では「人事(採用・教育)」が38%、「総務」が28%、「人事(労務・人事制度)」が16%、「人事(給与社保)」が10%と続く。「人事(採用・教育)」と「人事(労務・人事制度)」の登録者はともに微増している。
- 出身業界
- 「メーカー」が22%、「建築・プラント・不動産」が10%を占める。「IT・通信」、「人材サービス・アウトソーシング・コールセンター」など幅広い業界出身が登録している。
- 志向性
- 今後の将来性・成長性を不安視しており、今後のキャリアや成長のために転職を考える方も多い。年度の変わり目で業務の区切りを付け、新たな環境に身を置きたいというニーズも強い傾向がある。
人事・総務職の求人動向
対象:2022年8月~2023年1月にdodaにご登録いただいた求人件数と登録者数
※2022年8月の数値を「1」とした場合の変化を表しています。
リーダー・マネジメントの経験を活かし、即戦力としての活躍を期待するポジションからポテンシャル層まで幅広い求人が転職市場に顕在している状況にある。特に、採用担当のポジションは業界問わず増加しており、4月以降の新年度に向けて人員強化のための求人が多い。特に新卒採用の受け入れ、研修などの業務を担当してもらいたいというニーズがあるため、採用・研修ポジションの求人の増加が目立っている。また、人事関連制度を見直す動きに合わせて「労務・人事制度」ポジションの求人ニーズも堅調である。
人事・総務職の採用成功POINT
人事・総務職の採用ニーズは活況なため、優秀な人材確保は年々難しくなってきている。そのため採用要件の緩和や拡大を検討することが採用成功に近づくポイントとなるだろう。
また、配属先の人員構成やキャリアパス、業界や会社の将来性など、入社後のイメージを明確にして、採用候補者に安心して入社してもらうための情報提供を行うことが必要だ。
終身雇用制度が崩れてきている昨今、転職でスキルアップを目指す人材も多く、転職を数多く経験し、即戦力となるスキルを有する転職希望者も多い。そのため書類選考だけで判断せず、面接などで経験や実績をしっかりとヒアリングして、両者の認識合わせや入社意向醸成に向けてともに歩むような選考を行ってほしい。
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法務・知的財産・内部監査職
- 2022年11月~2023年1月の登録者数は、2022年8月~11月対比110%と増加傾向
- 2022年11月~2023年1月の求人数は、2022年8月~11月と比較し111%と増加
- 4月入社に向けて転職活動意欲が活発化。依然として弁護士資格保持者、インハウスでの経験者にオファーが集中
法務・知的財産・内部監査職の登録者動向
対象:2022年11月~2023年1月にdodaにご登録いただいた転職希望者
- 年齢
- 41歳以上の登録が51%と大半を占めている。一定水準の経験や知識が必要となるため、他職種と比較をしても平均年齢がもっとも高い数値となっている。
- 職種
- 「法務」が52%と大半を占め、「内部監査」が30%、「知的財産・特許」が18%と続く。
- 出身業界
- 「メーカー」が38%、「金融」が13%と高い比率を占める。次いで「インターネット・広告・メディア」が8%、「商社」「IT・通信」が7%と続く。
- 志向性
- 法学部出身、未経験での法務希望者が増加している。また、法律事務所から事業会社への転職を希望する方も増加の傾向である。
経験者については、契約法務だけではなくグローバルに広い視野で成長していきたい方や、戦略法務などといった、より難易度の高い業務に挑戦をしていきたいと考える傾向にあるようだ。さらに総務部門で法務を経験された方も一定数おり、そうした方は法務の業務をメインにしたいと志向しているケースが多い。
法務・知的財産・内部監査職の求人動向
対象:2022年8月~2023年1月にdodaにご登録いただいた求人件数と登録者数。
※2022年8月の数値を「1」とした場合の変化を表しています。
期の変わり目となる4月に向けた体制強化のため、求人数は増加している。海外展開やM&Aなど事業成長フェーズの業界・企業において、国際法務を担える人材ニーズが特に高まっているようだ。中小・スタートアップの企業では、その他管理部門と並行して法務業務を担当する求人も増加中である。
また、社会全体でコンプライアンスやガバナンスの強化が行われている背景から、内部統制・内部監査ポジションの強化を図る企業も多い。さらに、知的財産や特許分野での採用は、経験者に限らず、理系学部出身の未経験枠まで要件を広げるケースも増えてきている。
法務・知的財産・内部監査職の採用成功POINT
社会全体で法務・知的財産・内部監査職のニーズが高まっている中で経験者や資格保持者へのオファーが依然集中しており、全体的に対象となる方が少ないことから、各社で争奪戦が繰り広げられている。
同ポジションの経験者は、現在の業務に物足りなさを感じている方、戦略法務やM&Aなどの領域で活躍したいと考える方などが多いため、入社後の担当業務・領域、どのような経験やスキルが身に着くのかといった情報を、どれだけ提供できるかは非常に大事だ。
また転職希望者の志向性としては、安定志向が強く、その企業で扱っている商材やサービスの世の中での普及度、認知度などにも興味・関心を持っている。そのため会社の業績、ビジネスモデル、今後の展望や方針などを選考の過程で適時伝えていくことが必要である。
未経験枠の採用を検討するなら、経験の如何にこだわらず法務希望者や理系学部出身者まで要件を広げることをおすすめする。これらの属性を持つ転職希望者の登録も増えてきているため、ターゲット・ペルソナや待遇面を適切に見直すことで、採用成功に近づく要因にもなるからである。
継続的な採用活動を行うなら
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購買・物流職
- 2022年11月~2023年1月の登録者数は、2022年8月~10月対比104%と微増
- 2022年11月~2023年1月の求人数は、2022年8月~10月対比106%と微増
- 採用要件定義は「業務遂行能力」「ポテンシャル(類似経験)」にフォーカス。面接時間は柔軟に対応する
購買・物流職の登録者動向
対象:2022年11月~2023年1月にdodaにご登録いただいた転職希望者
- 年齢
- 登録者の内訳は、30歳以下が37%、31~40歳が28%、41歳以上が35%と各世代に分散している。倉庫管理・在庫管理や貿易実務など現場オペレーション中心の業務の担当者は若手層が、SCM(サプライチェーン・マネジメント)や物流企画、購買調達など上流工程・コスト管理の担当者は30代、40代以上が多い。
- 職種
- 「倉庫管理・在庫管理」が38%、「購買・調達・バイヤー・MD」が26%、「物流管理」が20%、「貿易業務」が8%と続く。ニーズが高まっている「SCM企画・物流企画・需要予測」は全体の6%未満と希少であり、求人数と登録者数にギャップが生じている職種である。
- 出身業界
- 「運輸・物流」が37%、「メーカー(機械・電気)」が22%、「メーカー(素材・化学・食品・化粧品・その他)」が16%、「商社」が10%、「小売」が7%と続く。
- 志向性
- 「倉庫管理・在庫管理」に従事している転職希望者は、就業環境の改善や物流の上流工程への挑戦を希望するケースや、営業職、事務職などの他職種へのキャリアチェンジを希望するケースが多い。また、異業界への転職では、物流企業から荷主側であるメーカー・商社への挑戦を希望するケースも多い。
経験豊富なミドル層以上は、部分的な管理業務から企画・戦略業務へのステップアップなど、現職では経験できない、あるいは到達するまでに時間が掛かる領域への挑戦を希望しているケースが多い印象だ。
「貿易業務」の実務経験者においては、一層の専門性や職務の幅を求めるなど、スペシャリストとしてのステップアップを希望するケースが多いが、求人数が少なく限られていることから狭き門となっている。
購買・物流職の求人動向
対象:2022年8月~2023年1月にdodaにご登録いただいた求人件数と登録者数
※2022年8月の数値を「1」とした場合の変化を表しています。
物流業界においては、ECの増加による慢性的な労働力不足に加え、物流業界における2024年問題に関連した働き方改革、そしてそれに伴う輸送戦略の見直しなどが急務となっている。求人ニーズは活況であり、求人数は右肩上がりで増え続けている。
前年同時期(2021年11月~2022年1月)と比べると、2022年11月~2023年1月の求人数は160%超えの伸長。各社DX推進やIoT技術を取り入れ、業務改善を行いたいというニーズが増えているのが背景だ。そのため採用ターゲットを広げる動きも各所で活発化しており、例えば「現場のオペレーション業務や物流管理業務経験があれば業界は問わない」、「調整・改善業務やスタッフマネジメントの経験があれば応募可能」などの求人が見られる。
一方で、購買職においては経験者採用(職種・業界のマッチングを求める)がほとんどである。メーカー・商社など事業会社の物流・購買調達部門の採用においては、業界や取扱商材、対応していた物量、センター規模などの親和性を求める求人が多いのも特徴だ。
購買・物流職の採用成功POINT
「SCM企画・物流企画・需要予測」職などを担う登録者は希少。求人ニーズとの乖離が見られるため採用が難航しがちである。
採用に成功している企業の特徴としては、「業務遂行能力」に着目し、異業種の経験を積極的に評価し、業界・「商材へのキャッチアップ」を入社後の導入研修で担保している傾向にある。
物流コンサルタント、3PL(サードパーティー・ロジスティクス)で物流企画をしている方なども採用ターゲットに含めることで採用成功に近づけるだろう。
また、採用ポジションによっては、商材経験が必須という場合もあるだろう。その際は、同商材の営業経験者、同商材を管理している物流3PL経験者などをターゲットに含めると良い。
一方、倉庫などで作業効率を重視する業務担当の採用の場合、他業界でBPR(ビジネスプロセス・リエンジニアリング)経験を積んだ方や業務改善の経験者を対象に含めるなど、できる限り範囲を広げておくことが望ましい。
面接日時を柔軟に調整することも工夫のひとつである。転職希望者のほとんどは、日中~夕方は勤務を抜けられないケースが多い。また管理業務に携わっている方ほど、現場のイレギュラーに対応する必要が出てくるため、面接時間の創出が困難である。そこで「平日19時以降」や、「土日」の面接を実施可能とすることで、面接への参加率や採用スピードは向上する。
Web面接の活用も大変有効である。輸送会社や荷主側の物流関連職において、「短期集中型選考」を実施すれば、選考をスムーズに進めることができるため採用成功の可能性はより高まっていくだろう。
採用するためにどんな打ち手が有効か、
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※こちらのPDF版レポートは、経営者や人事・採用担当者の課題解決を手助けするWebメディア「d’s JOURNAL(ディーズジャーナル)」byパーソルキャリアからダウンロードできます。
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管理部門の中途採用市場レポート(2023年2月発行)ページです。【中途採用をお考えの法人様へ】dodaサービスのご案内 - 採用成功への扉を開く、総合採用支援サービス