適した時期とは?データでみる
繁忙期と閑散期の中途採用
2022.01.28(最終更新日:2024.11.05)
中途採用のキホン
転職市場には活発な時期と落ち着いている時期があります。
時期に応じてポイントを押さえた中途採用を行うことが、採用成功の鍵になります。
転職市場の繁忙期と閑散期についてデータで読み解き、それぞれの時期に適した中途採用の方法について解説します。
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転職市場の
繁忙期と閑散期
転職市場は、企業の採用活動が活発になる時期と、転職希望者の転職活動が活発になる時期とが重なった状態のときに活発化します。反対に、どちらの活動も少ない時期は落ち着いている時期とみることができます。
厚生労働省が発表している「一般職業紹介状況」のデータから、「求職者数」「求人数」「有効求人倍率」の推移を追い、繁忙期と閑散期について確認してみましょう。
中途採用の活動には
サイクルがある
新規求人数、新規求職申込件数と新規求人倍率の推移を重ねると、新規求人数と新規求職申込件数のどちらも増加している1月は中途採用活動の繁忙期と言えます。反対に、新規求人数は11月に落ち込み、新規求職申込件数は12月に落ち込む観点から、年末に向かうにつれて、中途採用活動の閑散期となります。
上記はデータ集計期間が1年間になっていますが、新規求人数と新規求職申込件数の増減は例年似たように推移しており、転職市場には一定のサイクルがあることを示しています。
以下、新規求人数、新規求職申込件数について、それぞれの転職活動が活発になる時期、落ち込む時期について見ていきましょう。年間の推移がわかりやすいように、過去2年分を月別で比較しています。
新規求職者申込が増えるのは4月、減るのは12月
転職希望者の転職活動が活発な時期と落ち着く時期について見てみましょう。新規求職申込件数の折れ線グラフの波は、例年同じ形で推移しています。
グラフから新規求職申込件数が最も増える時期は4月、逆に最も落ち込む時期は12月ということがわかります。
4月に新規求職申込件数が多い理由
3月期決算の企業は4月が年度初めの時期です。部署異動や昇給・昇格などが行われ、社員の生活や環境が変わる時期でもあります。そのため環境や気持ちの変化が起こりやすく、選択肢の一つとして転職を検討する動きにつながっていると考えられます。
12月に新規求職申込件数が少ない理由
12月は1年の終わりの時期です。年末で業務量が増えるため、単純に忙しく、転職活動に力を入れられないことが考えられます。
また、年の瀬という心理的要因から活動を控える傾向もあるようです。
例年新規求人数が最も増えるのは10月、1月。5月と11月、3月は落ち着く
次に、企業の中途採用活動が活発な時期と落ち着く時期について見てみましょう。新規求人数の折れ線グラフの波も、例年同じ形で推移しています。
グラフから新規求人数が最も増えるのは10月、1月、逆に5月、11月、3月は落ち込んでいることがわかります。
10月、1月に新規求人数が多い理由
10月は3月期決算の企業が上期から下期に切り替わる時期です。上期の実績に応じて下期の予算や営業方針が変わるため、求人数も一斉に増える傾向にあります。
1月は、12月期決算の企業では期が切り替わるタイミングです。年度初めの1月に、予算が変わるタイミングで一斉に募集をかける傾向にあるようです。
また、第二新卒の採用などでは新卒採用の4月入社と研修を一本化するために、採用期間を逆算して1月から募集をかけるケースも見られます。
さらに、転職希望者が転職市場に多く集まる時期でもあるため、それに合わせて求人数も増える傾向にあります。
5月、11月、3月に新規求人数が少ない理由
5月に新規求人数が少ない理由は、新卒採用の時期と関係があります。5月は新卒採用の準備に追われている時期であり、特に新卒採用と中途採用を同一の採用担当者が行っている企業では、新卒採用が一段落してから中途採用に着手する傾向があります。採用担当者が分かれているケースでも、新卒採用に備えて中途採用の担当者が準備を手伝うことがあり、一時的に中途採用の募集が落ち着く傾向にあります。
新卒採用の時期が要因となっている場合、内閣官房が発表する就職・採用選考に関する要請に伴い、採用選考活動の開始時期が変わる可能性があります。2024年4月16日時点では、新卒採用の選考開始は6月1日からと定められていますが、開始時期が変わることによって増減数も変動することが予想されるので注意が必要です。
11月は10月より、年内の採用を目指して採用活動をする企業が多く、既に採用活動を始められていることから、新規の求人は落ち着きを見せていると考えられます。
3月は年度末という要因で業務量が増え、企業が中途採用に力を入れられなかったり、来年度の採用計画として目標を再度設定し直したりしているケースも要因として考えられます。
中途採用を行うのに
適した時期は
前述した通り、中途採用の活動にはサイクルがあり、繁忙期や閑散期が時期によって分かれています。
ここで重要なのは、中途採用の繁忙期が、中途採用を行うのに最適な時期とは一概には言えないということです。採用競合の少ない閑散期が狙い目であるケースもあります。
求人数が多ければ、その分他社と競合する可能性が高くなり、かといって求人が少ない時期は季節的な要因で転職希望者の登録も少なく、転職希望者が転職市場に出てきていない、といったことも考えられます。
活動期間が変則的なため、時期のコントロールが難しい側面も
中途採用を行う時期をコントロールするには、採用活動にかかる期間を知り、求人募集をかけるタイミングが狙った時期と重なるように採用活動を進める必要があります。
-
STEP 1
採用計画を立てる
- 採用納期、目標人数、
予算確保 - 人材要件定義
- 選考フロー策定
- 採用手法選定
- 採用基準策定
- 採用納期、目標人数、
-
STEP 2
母集団を形成する
- 求人管理
- 採用手法見直し
-
STEP 3
選考する
- 書類選考
- 面接実施
- 選考可否連絡
-
STEP 4
入社前フォロー
- 労働条件決定
- 採用条件通知書送付
- 退職交渉サポート
- 入社手続き
上の図は、中途採用の流れを4つのステップで表したものです。
STEP1からSTEP4までどのくらいの期間がかかるのかは、募集背景が1人の欠員補充なのか複数名の計画採用なのか、募集ポジションの希少性、求める人物像、予算などにより大きく変わってきます。
通常は、1人の採用であれば、1カ月半~2カ月半程度で採用できることが多いですが、経営層や役員クラスなど、採用難易度の高いポジションの採用であれば3カ月~半年以上かかることもあります。希少性の高い専門職などは、通年で募集しているケースもあります。
狙った時期に中途採用を行おうとしても、中途採用の募集背景が多岐にわたるため、コントロールが難しいというのが実情です。急な欠員などで採用納期が決まっている場合は、すぐにでも募集をかける必要があるため時期のコントロールはできません。
また、新規求人数の増減は、転職希望者の動向だけではなく、企業の決算期や新卒採用の時期など、企業側の動向とも深い関わりがあります。
採用コストをかけられる時期、採用担当の人員を割くことができる時期なども考慮して採用計画を立てる必要があります。
時期に合わせて
採用方法を見直すことが大切
中途採用を成功させるためには、繁忙期であっても閑散期であっても、募集時期に応じて選考フローや採用手法などを適切に変えていくことが重要なポイントとなります。
時期に合わせて
中途採用を行うポイント
繁忙期のポイント:選考スピードを速めること
中途採用が活発な時期は、転職希望者の数がほかの時期よりも多く、応募が集まりやすい傾向にあります。一方で、他社と競合する可能性も高いため、競合他社よりも早く応募者との選考を進めることが採用成功のポイントです。
下のグラフは、書類選考日数と採用決定率の関係を表したものです。
グラフからわかる通り、書類選考期間が短いほど、採用決定率が高まる傾向にあります。選考日数を短くすることで、応募者の志望意欲を高く保ったまま選考を進めることができ、応募者と選考スケジュールが調整しやすくなることが採用決定率を高める要因になっていると考えられます。
閑散期のポイント:求人を出し続けること
前述の通り繁忙期は採用ターゲットとなる人材が多く集まるメリットがある一方で、他社と競合する可能性も高まるデメリットがありました。そのため、5月や11月など転職活動が落ち着いている時期から募集をかけておき、他社よりも前倒しで選考を進めることが採用成功可能性を高めるポイントとなります。
他社の動きが落ち着いている時期は、転職希望者が自社の求人を見つけやすい状況でもあります。ここで求人募集を控えてしまうと、せっかくの機会を失うことになりかねません。閑散期にこそ求人を出し続けておくことが採用成功のポイントです。
採用方法を見直して、効率的な中途採用を
中途採用はさまざまな要因により、募集時期をコントロールするのが難しいのが実情です。中途採用に適した時期を狙って採用活動を始めるのではなく、採用活動を始める時期に合わせて選考スピードを速めたり、募集方法を見直したりすることで、採用活動を有利に進めることができます。
採用方法を見直して、中途採用を成功させましょう。
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