採用フローとは?新卒・中途の違いや注意点を解説

採用フローとは?新卒・中途の違いや注意点を解説

採用フローとは?新卒・中途の違いや注意点を解説

2024.10.03

中途採用のキホン

企業が行う採用活動の一連の流れを意味する「採用フロー」。採用フローが整理されていないと、課題が生じやすく、求める人材の採用につながらないこともあるため、自社の採用活動の結果を左右するものとも言えるでしょう。

本記事では、採用フローの概要や作成するメリット、新卒採用・中途採用それぞれにおけるパターンをご紹介します。運用におけるポイントについても解説していますので、自社に適した採用フローを検討する際の参考にしてください。

採用フローとは何か?フロー図で解説

採用フローとは、企業が採用活動を開始し終了するまでの一連の流れのことを指します。「採用活動の流れの可視化」を目的に作成されるため、募集から入社までに行う内容を図式化して活用されるケースが多いです。

なお、採用フローの内容は、新卒や中途、募集する役職、職種、採用規模などで異なります。そのため、特定の採用フローがすべての採用活動に適しているわけではありません。

ここからは、一般的な採用フローを、図をもとに見ていきましょう。

採用フローの大まかなステップは、上記のように「母集団形成」→「選考」→「入社承諾・入社」の3つに分けられます。

母集団形成

母集団形成は、自社の選考を受ける転職希望者を集めるプロセスです。具体的には、採用広告や人材紹介などの採用手法を用いて応募者を「募集」したり、「カジュアル面談」などのイベントを開催したりして、広報活動を行います。

選考

選考のプロセスは、主に「エントリー」「書類選考」「筆記試験」「面接」の4つに分けられます。選考内容や実施回数は企業によって異なりますが、書類や筆記試験の結果、面接での応答などを通して、応募者の能力や人柄・適性などを確認し、適任者を見極めるプロセスです。

入社承諾・入社

入社承諾は、「入社承諾」と「フォロー」の2つのプロセスが存在します。フォローは、入社受諾者とのつながりを深め、入社への意欲を向上させる重要な工程です。

採用フローを作るメリット

採用フローを作成する主なメリットは、次の2点です。

● 採用活動の流れや進捗状況を共有できる
● 採用活動の改善に活用できる

採用活動には、人事担当者だけでなく、各部署の担当者や経営陣などさまざまな社員が関わるため、情報の共有や連携が不可欠です。採用フローによって進捗状況が可視化できれば、関係者が同じ認識を持てるようになり、共有不足から生じるミスやトラブルを未然に防ぐことができるでしょう。

さらに、採用フローを作成することで、工程を追った分析が実現でき、採用活動の改善に活かせるというメリットもあります。課題に応じた対策と見直しを繰り返すことで、最適な採用フローの構築につながり、採用活動の質および効率向上が期待できます。

新卒・中途の採用フローとその違い

採用フローは、採用区分(新卒・中途)や企業の実態、採用の目的などに応じて、必要な工程を組み合わせて構築します。

新卒採用と中途採用の大きな違いは、「一斉採用か個別採用か」「定期募集か通年募集か」です。主に学生を対象とした新卒採用の場合、大抵の企業の入社時期は4月と決まっています。また、政府から公表される採用スケジュールに基づき、一斉に採用活動が開始されるのも特徴です。

一方の中途採用の場合、「社員の欠員補填」や「新規プロジェクトのための増員」などを理由に企業が人材を採用したいタイミングで採用活動を開始するため、採用する人数や職種などによって個別に対応するケースが多いと言えます。

ここでは、新卒採用と中途採用の採用フローのパターンを、3つずつご紹介します。

【新卒採用の採用フロー】
標準型
説明会・選考一体型
試験先行型

【中途採用の採用フロー】
標準型
説明会・選考一体型
筆記試験・面接一体型

【新卒】標準型

新卒採用の「標準型」における採用フローは以下の通りです。

1.募集
2.プレエントリー受付
3.会社説明会
4.エントリー受付
5.書類選考
6.筆記試験・適性テスト
7.面接(集団・個別)
8.最終面接
9.入社承諾
10.フォロー
11.入社

標準型では企業説明会のあとに正式なエントリーを受け付けて選考を実施するため、応募者の企業理解が深く、入社に対する意欲も高いのが特徴です。多くの企業が取り入れているパターンのため、応募者にとっては「戸惑うことなくステップを進めることができる」という安心感もあるでしょう。

なお、新卒の標準型は工程が多い分、採用活動が数カ月に及び長期化する傾向にあります。加えて、採用活動の繁忙期は応募者対応やスケジュール管理などに時間を要するため、人事・採用担当者の負担も大きいと言えます。

【新卒】説明会・選考一体型

新卒採用には「説明会・選考一体型」と呼ばれるパターンもあり、具体的な採用フローは以下の通りです。

1.募集
2.エントリー受付
3.会社説明会+筆記試験・適性テスト
4.面接(集団・個別)
5.入社承諾
6.フォロー
7.入社

会社説明会と筆記試験などの選考をまとめた「説明会・選考一体型」は、採用フローの工程を少なくし、入社承諾までがスピーディーなのが特徴です。そのため、時間が限られる採用後期に標準型から説明会・選考一体型に変更する企業もあります。

一方で、会社説明会と選考試験が同じ日に実施されるため、応募者の企業理解が不十分なまま選考が進み、ミスマッチなどから入社辞退が生じる場合もあります。また、2つのステップが同日に行われることで、選考試験の内容や方法によっては、応募者への負担が増える可能性もあるでしょう。

【新卒】試験先行型

新卒採用の試験先行型は、説明会よりも先に選考試験を実施する採用フローのことで、流れは以下の通りです。

1.募集
2.エントリー
3.書類選考・筆記試験
4.企業説明会
5.面接
6.入社承諾
7.フォロー
8.入社

試験先行型は、選考試験の結果から自社の求める人材をある程度絞り込める方法であり、企業にとっては、採用活動を効率よくスムーズに進められるといった特徴があります。応募者が多い大企業や人気の高い企業に有効な手法です。

一方で、応募者からすると、企業説明会で会社の雰囲気を体感したり、気になる点を把握したりする前に選考結果が決定してしまうため、不満が生じやすい傾向にあります。また、書類選考・筆記試験を通過した転職希望者においても、試験が先行したのちの企業説明会となることで、企業理解が深まらずミスマッチが生まれる可能性も考えられます。

【中途】標準型

以下のような流れで個別で進めるのが、中途採用の標準型とされています。

1.募集
2.書類選考
3.筆記試験・適性テスト
4.個別面接
5.入社承諾
6.フォロー
7.入社

中途採用においては、新卒採用における「プレエントリー」や「企業説明会」といったプロセスを設けないことが多く、個別面接時に会社説明を行うケースが一般的です。即戦力となる人材を採用する目的が主であることから、面接においても「人事部の担当者が実施するケース」と「募集する職種の部署が担当するケース」に分かれる傾向があります。

また、社会人経験があることを理由として、書類選考後、筆記試験や適性テストを実施せずに面接に進む場合もあります。

【中途】説明会・選考一体型

中途採用には、説明会と選考を同日に実施する「説明会・選考一体型」もあります。具体的な流れは以下の通りです。

1.募集
2.会社説明会+書類選考
3.個別面接
4.入社承諾
5.フォロー
6.入社

中途採用の標準型と比較すると、説明会・選考一体型は、2つの工程を同日に行うため、工数・時間の短縮が可能です。説明の参加者が自動的に選考に進むため、母集団を形成しやすいという特徴もあります。より多くの転職希望者の中から、求める人材を即採用したい企業にとって有効な手段でしょう。

ただし、会社説明会と書類選考が同日に実施されるため、応募者にとっては企業理解が不足していたり、志望動機が曖昧なまま選考に臨んだりするケースが考えられます。

【中途】筆記試験・面接一体型

中途採用では、「筆記試験・面接一体型」を採用して筆記試験と面接を同日に行う場合もあります。具体的なフローは以下の通りです。

1.募集
2.筆記試験(・適性テスト)+面接
3.最終面接
4.入社承諾
5.フォロー
6.入社

選考に関する工程をまとめて実施できるため、応募者を総合的に判断したい際に有効な手段です。

一方で、応募者の拘束時間が長くなり、負担が大きくなる傾向にあります。採用活動に携わる社員においても、複数の工程を1日で対応しなければならず、応募者が多いとその分対応に追われるでしょう。

採用フローの運用ポイント

採用フローは、適切に活用されないとメリットを十分に発揮することができません。ここでは、採用フローを運用する際に重要なポイントをご紹介します。

歩留まりを算出する

歩留まり(ぶどまり)とは、各工程における成果を示す指標のこと。主に製造業で用いられる概念ですが、採用活動においても、各選考における合格者数や合格率を数値化し、現状の課題を分析するのに有効な手法です。歩留まりは、「エントリーからの応募」「書類選考」「面接」「入社承諾」「入社」の各工程の対象人数と、実際の通過人数で算出が可能です。具体的な計算方法は下記の通りです。

各工程の通過人数÷選考対象人数×100

歩留まりを算出することで、客観的に現状を把握でき、どの工程において問題が生じているのかを確認しやすくなるでしょう。

定期的な見直しを図る

一度設計した採用フローが継続的な人材の採用に結びつくとは限りません。歩留まりを算出したら、数値をもとに定期的な見直しを図りましょう。各工程における歩留まりの平均値は、書類選考が約50%、一次面接が約30%、二次面接が約30〜40%、最終面接が約50%とされています。自社の現状と照らし合わせ、歩留まりが平均や想定よりも大きく下回っている場合には、その工程に問題が生じている可能性があります。

PDCAサイクルによって原因を突き止め、採用フローや内容のブラッシュアップを図っていきましょう。

関係者の目線を合わせる

歩留まりによる数値化で客観的に採用フローを見直すだけでなく、採用に関わる関係者間の目線合わせを意識することも大切です。課題を洗い出し、相談し合うことで、よりよい解決策が検討できる可能性も高まります。

関係者間が共通認識のもと採用活動に取り組むことで、次回の採用活動に活かすことが可能となり、求める人材の採用につなげていけるでしょう。

さいごに

採用活動を成功させるには、工程を整理し、スケジュール通りに進めることが欠かせません。採用フローには、採用活動の流れを可視化することで採用関係者の連携強化につながり、スムーズに進められるというメリットがあります。各工程の問題点を把握し、関係者が共通認識を持って改善を図っていけば、採用活動の効率化にも役立つでしょう。

採用フローの作成時は、「母集団形成」「選考」「入社承諾・入社」の3要素を意識します。採用課題や区分、募集職種などをすり合わせながら、最適なパターンで作成しましょう。

(関連記事:『新卒採用のフローとは?採用フローの種類や作成の注意点を紹介』)

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