社内で定着させるポイント
2022.01.28(最終更新日:2024.11.05)
中途採用のキホン
リファラル採用は社員に友人や知人を紹介してもらう採用手法です。
自社を理解している社員からの紹介なので、採用のミスマッチが起こりにくく、採用コストの抑制が期待できます。
リファラル採用とは何か、導入するメリットや社内で定着させるポイントについて解説します。
dodaでは、さまざまな採用支援サービスを提供しています。各サービスの詳細や資料請求・ご相談については、以下からお気軽にお問い合わせください。
リファラル採用とは
リファラル採用とは、自社の社員に友人や知人を紹介してもらう採用手法のことで、リファラルリクルーティングとも言われています。
企業理念や文化を理解している社員がリクルーターとなり、人柄をよく知る友人を紹介するため、企業と応募者の間で起こる採用のミスマッチが起こりにくく、定着率の向上が期待できます。ダイレクトソーシング(ダイレクトリクルーティング)の一種として、近年、日本でも注目が集まりつつあります。
リファラル採用導入の背景
リファラル採用が導入されるようになった背景は何でしょうか。
根本的な要因は、労働力人口の減少やテクノロジーの進化などの外部要因により、個人の働き方やビジネスモデルが変化・多様化していることが考えられます。有効求人倍率の高まりを受けて採用活動が難航する中、応募を待っていても採用要件に合う人材がなかなか見つからない、出会えない状況が続いています。こうした背景から、企業は応募を待つ姿勢から採用候補者を自ら探しにいく姿勢が求められるようになり、ダイレクト・ソーシング(ダイレクトリクルーティング)の一環としてリファラル採用が導入されるようになったのです。
一方で、既存社員の定着率を高める目的で導入された側面もあります。採用活動の難航は企業の採用姿勢を変えただけではなく、既存社員の離職率を下げる動きにもつながっています。社員の定着率を向上させるために、社員のエンゲージメントを高める活動として、リファラル採用が着目されるようになりました。
エンゲージメントとは、一般的には「契約」「約束」という意味合いがありますが、人事の分野では、企業と社員がお互いに信頼し、貢献し合う状態を指すのが一般的です。リファラル採用は、社員が自ら企業理念を友人に伝えることで、エンゲージメントを高める動きにつながるとしても注目されています。
リファラル採用と
縁故採用との違い
縁故採用も社員からの紹介を受けて採用する点では同じです。しかし、縁故採用は「血縁関係や特別なつながりのある人物」を紹介される意味で定着しており、能力やスキルの有無に関係なく、血縁的なつながりやコネを理由に採用するイメージがあることも事実です。縁故採用という言葉にネガティブな印象を持つ人も少なからずいます。
一方、リファラル採用は自社の採用基準を満たした者のみを採用します。採用試験や明確な採用基準が存在するため、ネガティブなイメージがありません。
両者の違いは、受け手のイメージといえるでしょう。
リファラル採用の費用
リファラル採用で発生する費用について説明します。
リファラル採用は社員の交友関係から人材を探すので、求人広告の掲載費用や人材紹介サービスの紹介手数料などに代表される外部コストは原則発生しません。
ただし、社員に積極的に紹介をしてもらうために、紹介報酬制度(紹介者ボーナス)を設けている企業が多いようです。その場合は、報酬の金額や支払い方法などを規則で定めて制度化する必要があります。
それ以外にも必要に応じて発生する費用がありますので、以下の3つを押さえておきましょう。
- 費用1:紹介報酬制度(紹介者ボーナス)
- 費用2:インセンティブ以外に必要な採用活動費
- 費用3:外部サービスの利用料金
費用1:紹介報酬制度(紹介者ボーナス)
紹介報酬制度とは、採用候補者が採用になった際に、紹介者に対して一定のインセンティブを支払う仕組みのことです。
支給金額に明確な基準はなく、企業の判断に委ねられています。一般的には1人当たり数万円~数十万円の報酬を支給している企業が多いようです。
また、企業によっては報酬を金銭以外に設定していることもあります。
■報酬の例
- 有給休暇を増やす、人事評価への加点など
費用2:インセンティブ以外に必要な採用活動費
イベント参加や外食など、採用にかかわる活動費、交際費を支給、または負担する仕組みがあると、社員が積極的に採用活動に参加できるようになるので効果的です。
活動費の予算にも決まりはなく、どれだけの活動費を支給するかは企業の判断に委ねられています。
費用3:外部サービスの利用料金
外部コストが発生する例として挙げられるのが、リファラル採用のプラットフォームを提供する外部サービスを利用する場合です。別途、外部サービスの利用料が必要になりますが、自社の制度設計に不安がある場合などは手軽に導入できるメリットがあります。外部サービスの料金は提供する会社やプランにより異なります。
リファラル採用の
メリット
リファラル採用を行うことで得られるメリットを4つ紹介します。
- メリット1:採用のミスマッチを防ぎ、入社後の定着率向上につながる
- メリット2:採用コストの抑制につながる
- メリット3:転職活動をしていない潜在層にも会える
- メリット4:社員のエンゲージメントを高める効果がある
メリット1:採用のミスマッチを防ぎ、入社後の定着率向上につながる
リファラル採用は、既に企業理念を理解している社員の友人が対象になるため、紹介される友人は社員と似た価値観を持っている可能性が高く、企業理念や文化への共感度合いや「社風が合うか」「現場社員となじめるか」などの定着度合いが高いことが期待できます。そのため採用のミスマッチが起こりにくく、入社後の早期退職を防ぐ効果にもつながります。
また、既に社内に友人がいることで不安が払拭しやすいことも、職場へのなじみやすさに影響していると考えられます。
メリット2:採用コストの抑制につながる
リファラル採用を通して採用できるようになれば、求人広告の掲載費用や人材紹介サービスの紹介手数料などに代表される外部コストをかけずに採用できることになります。従来の採用単価と比較してコストを抑えられる可能性があります。
メリット3:転職活動をしていない潜在層にも会える
直接的な転職活動を行っていなくても、「いい会社があったら転職したい」という人材は多くいるものです。友人の何げない相談から、社員が入社を勧める動機付けを行うため、結果として転職活動をしていない潜在層へのアプローチにつながるだけでなく、他社と競合することなく人材を採用できる可能性まで秘めています。
メリット4:社員のエンゲージメントを高める効果がある
リファラル採用は、社員がリクルーターとなって友人からの応募を集めるため、社員が人事の役割を担っているともいえます。友人に企業理念を伝え、自分がなぜこの会社に入ったのか、どんなことをしているのか、今後なにを実現したいのか?といった社員としての原点を語ることで、自身のキャリアや会社の魅力を見つめなおすきっかけとなり、エンゲージメントを高める動きにつながります。
リファラル採用を
行う際の注意点
リファラル採用を行う際に気をつけたいポイントが2点あります。
- ポイント1:社員に制度を浸透させる必要がある
- ポイント2:不採用時の人間関係への配慮をする
ポイント1:社員に制度を浸透させる必要がある
リファラル採用は社員が人事の役割を担い、リクルーターとなって活動します。社員からすると人事の仕事が増えることになるので、導入に当たっては、社員に協力してもらう仕組み作りが重要になってきます。社員に積極的に協力してもらうためには、制度を作ることはもちろん、社内への認知促進を行い、リファラル採用に伴う社員の負担を軽減することが大切です。
社内への認知促進
リファラル採用を導入する際は報奨金の有無などを定めた制度設計を行い、社内への周知を徹底しましょう。
周知を怠ると、制度の存在を知ってもらえないばかりか、採用につながらないということになりかねません。中途入社の場合は、入社式や入社時研修など、社員が必ず参加する行事を利用して、人事から導入の背景や意義を説明し、社員への協力を依頼しましょう。
制度設計は「社員が初めてリクルーターとして活動する上で、分からないことがない状態」を意識して作ることが大切です。
※制度設計のポイント
- 報奨金などのインセンティブを定める
- 募集ポジションや採用基準を明確にする
- 採用フローを明確にする
- 人事制度をオープンにする
社員の負荷を減らす
社員がリファラル採用に参加しやすい仕組みを作ることも大切です。
社員が説明しやすいように紹介方法のレクチャーをしたり会社の魅力を簡単に説明できる動画やパンフレットを事前に用意したりするのも一つの方法です。
また、面談の日程調整などの業務は人事で行うようにし、社員は友人の紹介にのみ注力できるようにすることも大切です。
ポイント2:不採用時の人間関係への配慮
紹介者にとって紹介した友人が不採用になった場合、友人関係に影響が出ることを懸念するのは当然のことです。
不採用になった場合のフローも制度に組み入れるなど、通常の採用以上に紹介者と応募者の人間関係に配慮する必要があります。
リファラル採用が
効果的なケースとは
リファラル採用はどのようなときに効果を発揮するのでしょうか。以下の2つを紹介します。
- 中長期的な視点で採用コストを抑制していきたいとき
- 社員の定着率を高める目的での活用
中長期的な視点で採用コストを抑制していきたいとき
採用活動が長期化することで採用コストが膨らみやすくなっています。リファラル採用で定期的に採用できるようになれば、広告費が発生しない分、1人当たりの採用単価を抑制することができます。
ただし、リファラル採用には社員に協力してもらう制度設計と社内認知の促進が必要不可欠です。一定人数の採用ができるようになるまで時間がかかるため、ほかの採用手法と併用して採用活動を行うことも視野に入れておく必要があります。
社員の定着率を高める目的での活用
リファラル採用は社員の友人が対象になるため、社員と似た価値観を持っている可能性が高いことから採用のミスマッチが起こりにくい特徴があります。また、紹介する社員にとっても、友人に自社の魅力を伝える活動そのものがエンゲージメントを高める動きにつながるため、社員の定着率を高める効果が期待されています。
併用して採用活動
することが
採用成功の鍵
リファラル採用は採用のミスマッチを防ぎ、社員の定着率を向上させる新たな採用手法として有効です。一方で、制度を導入するだけでは効果は期待できないので、社員に協力してもらうための仕組み作りや社内認知の促進が必要不可欠です。
定着するまでには一定の時間を要します。中長期的な採用コストの抑制を視野に入れて、状況に応じて採用手法を使い分けることが大切です。
採用課題に対して適切な採用手法を選択することが採用成功につながり、結果として採用コストも削減できるようになります。
これまでの採用手法と上手に併用して、採用成功につなげましょう。
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