面接官の心得を紹介
2022.01.28(最終更新日:2024.07.02)
中途採用のキホン
面接は応募者のスキルやコンピテンシーを見極める場であるとともに、入社への意向を醸成 できる大切な機会です。面接官の印象や企業の対応、話の内容などで応募者の志望順位は変化していきます。そこで今回は、応募者の入社意向を醸成させる面接のポイントと面接官の心得について解説します。
面接の目的とは
面接は企業が応募者を選考する場であると同時に、応募者が企業を選考する場でもあります。応募者は複数社に応募し、並行して選考を受けていることが一般的です。近年では有効求人倍率の高まりを受けて、いかに応募者の入社意向を醸成できるかが重要になってきています。そのため、企業は面接を行う際に、以下の2点の視点が必要になります。
- 目的1:応募者の把握と評価
- 目的2:応募者への情報提供と入社への意向醸成
目的1:応募者の把握と評価
応募者の職務経歴やコンピテンシー、志望動機などから応募者が採用要件に合致する人材かどうかを見極めます。
面接で把握する主な事項
職務経歴 | 経験、スキル、資格 |
---|---|
コンピテンシー | 対人影響力、柔軟性、一貫性など |
態度、意欲、価値観 | 志望動機、考え方、将来のキャリアビジョン、身につけたいスキルや能力 |
人柄 | ビジネスマナー、話し方 |
目的2:応募者への情報提供と入社への意向醸成
応募者は求人票や企業のホームページなど、限られた情報をもとに応募をしています。多くの場合、応募時点では一定の志望意向があるだけで、いわば「興味がある」段階です。面接を通して、より詳細な採用ポジションや仕事内容などの情報を得ることで企業理解が深まり、面接官の印象や対応などからも影響を受けて「興味がある」から「入社したい」に変化していきます。つまり、面接は応募者に自社を知ってもらう、理解してもらうための情報提供の場であり、入社への意向醸成ができる場でもあるのです。
入社意向を醸成する
面接のポイント
面接は応募者と企業との数少ない接点です。このわずかな機会を使って入社意向を高めるには、「印象」「理解」「評価」の3つのポイントを押さえることが大切です。
【印象】面接官の印象が企業の印象になる
応募者は面接での印象で企業に対するイメージを形成します。面接官の対応はもちろん、面接以外でも、「オフィスの清潔さ」「廊下で社員とすれ違ったときのあいさつの有無」など、企業の対応を見ています。応募者に良い印象を与えることができれば、入社への意向を高めることにもつながります。
印象を上げるポイント
- 受付時のていねいな対応やすれ違う際に会釈をするなどの社員教育を徹底する
- 応募者の緊張がほぐれるように、面接官から雑談の話を振る
- 興味を持っていることを表現し、応募者の話にしっかりうなずき、傾聴する
【理解】会社や仕事内容への理解、応募者への理解
応募者は面接を通して「この会社は自分に合っているか」「この会社で働くイメージが描けるか」を考えます。採用ポジションや仕事内容、勤務条件などのより詳細な情報を正確に伝えることで、会社で働くイメージが描きやすくなり、入社への意向を高めることにつながります。
理解を深めるポイント
- 具体的な仕事内容のほかに、今何が求められていて、何を期待しているのか、競合他社との競合優位性や将来の展望等、求人票に記載されていない生の情報を積極的に提供する
- 中途入社者を受け入れるときの教育体制や部署の雰囲気等、入社後のイメージが描きやすくなるよう心掛ける
- 質疑応答の時間を十分とり、応募者の不安解消に努める
【評価】応募者への評価や期待を伝える
応募者に対する評価や期待はきちんと面接の場で伝えましょう。応募者が「自分のことを理解し、評価してくれている」と感じることにより、応募者の中での志望順位が変化する可能性が高まります。
評価を伝えるポイント
- 応募者のスキルについて評価している部分と不足している部分をきちんと説明する
- 応募者が入社した場合に、どのような部分で期待しているかを伝える
- 評価制度の説明は詳細にする。特に待遇に関して、なぜこの待遇提示なのかをしっかり説明する
意向醸成につなげるための面接官の心得
最後に、面接官として押さえておきたい心得を5つ紹介します。
- 心得1:事前準備を怠らない
- 心得2:会社の顔であることを意識する
- 心得3:就職差別につながる質問をしない
- 心得4:リラックスできる環境を整える
- 心得5:合否連絡は早めに行う
心得1:事前準備を怠らない
面接を行う前に、応募者の履歴書は読み込んでおき、あらかじめ質問内容をまとめておきましょう。面接の時間は限られています。その場で履歴書を読んで質問をしていては、応募者の資質や適性を正しく見極められません。また、履歴書を読んでいないことは応募者に分かってしまうので、悪印象を抱かせてしまいます。履歴書を読み込む以外の事前準備としては、面接前日に応募者にリマインドのメールを送るのも効果的です。当日のキャンセル防止にもつながります。
心得2:会社の顔であることを意識する
面接官の印象が企業の印象につながります。「私は会社を代表して今日この場にいる」と意識して面接に臨みましょう。特に、「目を合わさない」「相槌を打たない」という行為は、応募者に「自分に興味が無い」「話を聞いていない」という印象を与えます。過剰に行う必要はありませんが、意識的に応募者と目を合わせて話をし、相槌を打つことを心掛けましょう。
心得3:就職差別につながる質問をしない
面接での選考は、本人の持つ適性・能力のみをもとにすることが求められます。本籍・出身地、家族などの本人に責任のない事項、宗教や思想などの本来自由であるべき事項に関連した質問は、就職差別につながる恐れがあります。
心得4:リラックスできる環境を整える
応募者の適性を見極めるには、応募者にできるだけ本音で語ってもらうことが大切です。そのためには、応募者が話しやすいようリラックスできる空間を作ることを心掛けましょう。面接官が雑談などフランクな会話から始めるのがおすすめです。
心得5:合否連絡は早めに行う
面接の合否連絡はできるだけ早く行いましょう。合否連絡が遅くなったり、選考が長引いたりすると、応募者の入社への意欲が下がってしまい、選考辞退や入社承諾前辞退につながる要因になります。応募者からすれば、合否結果の待ち時間が長くなればなるほど不安が募り、企業に対する不信感が膨らむものです。面接時に合否連絡の目安を設定し、伝えておくと良いでしょう。
「一緒に働きたい」と
思ってもらえることが
大切
面接は応募者のスキルの確認や適性を判断するためだけの場ではありません。応募者の気持ちを「興味を持ち応募した」から「入社したい」に発展させることができる機会でもあります。面接官の対応や雰囲気、話を聞く姿勢によって応募者の入社意思が変わっていきます。面接では応募者と面接官という関係でも、一歩外に出れば応募者が自社の取引先になる可能性もあります。応募者に「この会社に入りたい」「一緒に働きたい」と思ってもらえるよう、適切な情報提供を行い、評価や思いをしっかりと伝えて採用成功につなげましょう。
※選考や入社に関連するトラブルを防ぐ方法については、「人事・採用担当者なら知っておきたい 選考・入社トラブルの事例と回避方法」の記事をご参照ください。
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