中途採用の基礎知識
2022.10.28(最終更新日:2024.11.05)
中途採用のキホン
経理・財務職の採用は、異動や産休・育休、退職などの欠員募集が多く、1ポジション1名の採用となる場合がほとんどです。そのため、はじめて経理・財務職の人材を募集することになったという人事・採用担当者も多いのではないでしょうか。
経理・財務といってもその業務内容や職種は多岐にわたります。数字をまとめて決算書をつくる業務もあれば、予算策定や管理・経営会議向けの資料を作成する業務、また、銀行との折衝など資金繰り・資金調達に関わる業務など、業界や業態、会社規模などによっても部署の役割や人員構成が異なります。場合によっては部署名・職種名も変わるため、新たに人材を募集する時には注意が必要です。
そこで今回は、経理・財務ポジションの採用を担当する方向けに、経理・財務の業務内容や職種、スキル・経験に関する基本的な知識の他、転職希望者の属性や主な転職理由、採用成功に向けたポイントなどについて解説します。
dodaでは、さまざまな採用支援サービスを提供しています。各サービスの詳細や資料請求・ご相談については、以下からお気軽にお問い合わせください。
経理・財務の業務内容・職種にはどんなものがある?
はじめに経理・財務の業務内容・職種の主な分類についてご紹介します。
- 経理(財務会計):数字をまとめ決算書をつくる<日次業務・月次決算・年次決算など>
- 管理会計:日々の数値を記録する<予算策定・予実管理・予実分析など>
- 財務:資金繰り・資金調達
- 税務:国内外税務対応・税務申告・税計算
- 内部統制・内部監査:会計周りの統制・監査
会社によって言葉の定義や部署・部門の構成、人員配置などは異なります。例えば、経理担当者が管理会計業務を兼務していたり、総務担当者が内部統制・内部監査業務を行っていたりすることもあります。
製造業(メーカー)では原価計算(製造にかかるコスト管理)があり、本社の経理が担当する以外にも工場(生産拠点)で専門の担当者が対応するケースもあります。
業界によって商慣習の違いや特有の業務があるため、経理・財務の業務内容はとても幅広く、会社によって呼称が異なる場合も少なくありません。そのため、転職希望者に具体的な仕事内容について質問し、どんなスキル・経験をしてきたのかを確認することに加え、募集職種の業務内容について誤解がないように説明することが重要です。
経理・財務の登録者(経験者)の属性・傾向とは?
dodaに登録いただいた経理・財務ポジションの登録者動向(管理部門 職種別マーケットレポート)によると、時期により多少の誤差はあるものの、年齢層は30歳以下が約30%、31~40歳が約30%、41歳以上が約40%の割合となっています。
職種としては、経理(財務会計)の割合が一番高く60%以上。月によっては70%に迫る水準となることもあります。次いで管理会計が15%前後、財務が10%前後と続く傾向にあります。
業界としては「メーカー」出身者が最も多く約30%。「建築・プラント・不動産」が10%前後と続き、その他の業界出身者も広く登録しています。会計事務所や税理士法人・監査法人など、経理・財務の領域で専門性の高い実務を経験している人材が、新たなキャリアを目指して転職活動をするケースもあります。
※管理部門 職種別マーケットレポート(2022年8月発行)より <対象:2022年5月~7月にdodaにご登録いただいた転職希望者>
求人を募集する企業が多くなる時期・転職希望者が増える時期は?
新規求人数は、景気の動向や新型コロナウイルスの感染拡大など、事業を取り巻く環境の影響を大きく受けるものの、全体の傾向としては、10月以降の下半期に増加する特徴があります。2021年度については、11・12月をピークに過去5年間の中で最も多い求人件数となっています。
一方、新規登録者数については、期が変わり人事異動も落ち着く5月、夏季賞与が支給され経理業務の閑散期となる8月、年の変わり目(1月)や期の変わり目(4月)に向けて転職活動を開始する11月に増加する傾向が見られます。その年ごとに違う動きとなることもありますし、月ごとに変化する場合もありますので、採用活動を進める際には直近の求人数・登録者数の推移について情報を収集しておくと良いでしょう。
【新規求人数・新規登録者数の推移】
※2021年4月~2022年3月の1年間にdodaにご登録いただいた新規求人数・新規登録者数より
経理・財務の登録者(経験者)の転職活動の特徴は?
決算期が3月の企業に在籍している人材の場合、新年度を迎える前の1~3月は次年度の「経営計画策定」「予算立案」「内部統制・監査対応」などで繁忙期となり、思うように面接の日程調整ができなくなる可能性が出てきます。
また、4~6月にかけては、「年次決算」・「開示資料の作成(有価証券報告書など)」・「税務申告」・「株主総会対応」などにより、転職活動が進めにくくなる場合もあります。
主担当として決算や監査を任されている方などの場合には、物理的に休みを取得することが難しく、1カ月以上選考が進められないなどのケースもあるため、選考の日程調整の際には十分注意が必要です。Web面接や19時以降の面接などを活用し、柔軟な対応をすることで採用を成功させている企業もあり、オンラインの選考を行っていない企業は対策が必要となってきています。
1月決算の企業に在籍している方を選考する際には留意点が変わってきますし、業種・職種によっても繁忙期・閑散期は違ってきます。そのため、採用活動を円滑に進めていくためには、転職希望者の個別の事情や特徴を踏まえて対応することが大切だと言えるでしょう。
採用成功のポイント・まとめ
採用したい人材のスキル・経験やペルソナを想定し、その人材が抱えている転職理由(希望や不安・不満)に対して自社の魅力をアピールすることが重要です。
経理・財務経験者の転職理由は「会社の将来性が不安」「業界の先行きが不安」「給与に不満がある」「会社の評価方法に不満がある」といった環境や処遇に関するものと、「専門知識を習得したい」「新たな業務に挑戦したい(業務範囲を広げたい)」「管理職・マネジメントを目指したい」といったスキルや能力向上に関するものの2つの大きな潮流があります。また上記の2つに加え、「職場の人間関係」を挙げる転職希望者も少なくありません。
◆求職者の志向(企画・管理職の転職理由上位10件)◆
- 会社の将来性が不安
- 業界の先行きが不安
- 給与に不満がある
- 年功序列なのが不満(実力主義の企業で働きたい)
- 専門知識・技術力を習得したい
- 昇進が望めない/昇進スピードが遅い
- 会社の評価方法に不満がある
- 他にやりたい仕事がある
- 裁量権を与えられる企業で働きたい(管理型なのが不満)
- 個人の成果を評価してほしい
※出典元:職種別採用DM文例集 P24 企画・管理職>経理・財務・管理会計・内部統制より
環境や処遇については、会社の業績やビジネスモデル・商品/サービスの優位性を数字やデータなどの根拠を踏まえてアピールすることや、給与/評価制度の詳細をできる限りオープンにすることなどが大切になってきます。
スキルや能力向上については、業務内容の詳細(業務範囲・専門性・役割<リーダー・マネジメント>など)が重要となります。上場企業での連結決算・開示業務やIPO準備(組織体制の整備や各種申請業務など)といった点を魅力に感じる方もいれば、社長や経営層に近い立場で事業推進や新規事業立ち上げに参画できる環境を探している大手企業出身者もいます。
採用したい人材のペルソナを明確にすることで、求人票や求人広告に記載する表現や面接で伝えるべき訴求ポイントが変わってきます。
また上記に加え、将来のキャリアパス・期待する役割について選考時にコミュニケーションがしっかり取れていると、入社後のギャップも生まれにくいでしょう。過去に中途採用で入社した方の情報や、配属部署の人数・構成、年齢層や男女比など、職場の雰囲気や人間関係が感じられる情報は、応募や入社を決断する後押しとなる可能性があります。
これらの内容を踏まえ、以下のポイントを押さえながら採用活動を進めていくと、採用できる確率が高まっていくはずです。
■数字で語れる情報を整理しておきましょう
「お金」や「数字」を扱う経理・財務職として活躍する人材を採用する上で大切になってくるのは、根拠となる「数字」です。業界・会社の安定性や将来性に不安を抱えて転職活動を始める方も増えていますので、公開できる範囲で経営に関する数字については説明できるようにまとめておくべきです。
■就業環境に関する情報をまとめておきましょう
残業時間(閑散期・繁忙期)、有給休暇の取得率、産休・育休の取得率や取得事例など、就業環境に関する情報についても整理しておきましょう。リモートワークができる環境を探している方もいるため、リモートワークを採用している場合は、出社頻度や在宅勤務をどの程度柔軟に活用しているかなどについて、求人票や求人広告などでも触れておくと良いでしょう。
■要件定義(求めるスキル・経験)を明確にしましょう
経理・財務職の転職希望者は、他の職種と比べ、自分のスキルや経験が応募条件に合致しているかどうか、業務内容と求めるスキル・経験に一貫性があるのかといった点を慎重に判断する傾向があります。そのため、募集する人材に求めるスキル・経験を明確にすることはとても重要です。必要以上に条件を盛り込んでしまうと、応募のハードルが上がってしまい、思うように転職希望者が集まらない可能性があります。
書類選考を通過する基準や、入社段階で必要となるスキル・経験、絶対に採用したい人材の条件など、配属予定部署と人事・採用担当者の間で共通理解ができていればいるほど、スムーズに採用が進められます。
経理・財務職の採用に悩んだら
経理・財務の経験を持つ人材は、どんなに規模の大きな会社でも会社全体の中では少ないものです。転職市場全体でも、その傾向は変わりません。そのため、思うように応募が集まらないこともあるでしょう。原因がわからないまま、多くの時間を費やしてしまったり、振り返ってみれば採用コストが予想以上にかかったりしてしまうこともあります。
中途採用を成功に導く、最適なご提案をいたします
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少しでも興味をお持ちになられたら、ぜひ一度、お気軽にお問い合わせください。
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