2022.01.20(最終更新日:2024.11.05)
中途採用のキホン
コロナ禍による環境変化や、SaaS(サービスとしてのソフトウェア)系プロダクトの増加によって、営業職の採用市場に大きな変化が起きています。
従来の営業職と言えばフィールドセールス(外勤営業)が一般的でしたが、ここ2年余りでは、顧客と対面せずに営業活動や提案を行う「インサイドセールス」「カスタマーサクセス」の求人数が約7.4倍に増加。IT系企業に限らず、メーカーや建設業などの領域でもこれらの職種の採用が急増しているのです。
新時代の営業職である「インサイドセールス」「カスタマーサクセス」とは、どんな役割を担っているのか。採用や育成にあたっては何を重視すべきなのか、詳しく解説します。
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求人数は2年半で約7.4倍に。IT・インターネット以外の分野でも注目されている
まずは最新の採用市場について、データを基に確認します。下のグラフでは転職求人倍率、求人数、転職希望者数の推移をまとめています。
2020年4月は新型コロナウイルスの影響から求人倍率・求人数ともに落ち込んでいますが、直近の2021年8月時点で、求人数はコロナ禍前の約95パーセントまで回復しています。ワクチン接種後の景気回復などを見越して、今後は右肩上がりで求人数が回復すると見込まれます。
次に、営業職における転職求人倍率、求人数、転職希望者数を見ていきましょう。
市場全体と比較して、営業職は2021年4月以降の求人数の回復が早いと言えます。この中でも特に増加しているのが、新時代の営業職として注目される「インサイドセールス」「カスタマーサクセス」の求人です。
インサイドセールスとカスタマーサクセスは、2019年1月段階と比較して、2021年7月では約7.4倍に求人数が伸びているのです。その背景には、コロナ禍による営業手法の変化やSaaS系企業の成長があると考えられており、今後もさらに拡張していくことが予想されます。
こうした職種を募集しているのは、IT・インターネット関連の企業が中心なのではないかと考える人も少なくないでしょう。転職サービス「doda」における掲載数順位では、確かにそうした業種が上位にきていますが、前年増加率に目を向けると興味深い事実がわかります。
2021年7月時点の前年増加率を見ると、一番伸びているのは「メーカー(機械・電気)」、次いで「建設・プラント・不動産」となっています。IT・インターネット関連以外でも、インサイドセールスやカスタマーサクセスを充実させたいと考えている企業が確実に増加しているのです。
アポ数だけでなく受注金額も重要KPIとなる「インサイドセールス」
続いて、これらの職種が担う役割を具体的に見ていきましょう。
まずは、新しい時代に求められる営業職の代表と言えるインサイドセールスです。インサイドセールスは、見込み顧客の獲得から商談設定、受注までをつかさどる役割だと言えます。
訪問・対面を基本とするフィールドセールスとは異なり、電話やメール、ビデオ会議システムなどを使って顧客とのコミュニケーションを行うのが、インサイドセールスの特徴です。単にアポイントメントを取得するだけではなく、電話などで見込み顧客の課題をヒアリングし、「受注確度の高い案件」として、現場での商談を担うフィールドセールスへ引き継ぐことが求められます。
早くからインサイドセールスの活用が進んでいる業界と言えば、SaaS系プロダクトを持つ企業が挙げられるでしょう。SaaS系プロダクトでは、契約金額が高額になったり、ユーザー企業によってカスタマイズが必要になったりするため、一度の商談だけで即決になることはまれです。そのため、インサイドセールスとフィールドセールスが連携して、顧客の課題を深く理解することが必要なのです。
近年では、営業やマーケティングの現場において「ナーチャリング」という言葉がよく使われるようになりました。「顧客を育てる」という文脈で使われる機会の多い言葉です。売る製品が複雑に、高額になるほど顧客とのコミュニケーションを何度も重ね、顧客の理解を育てていかなければ受注には至りません。インサイドセールスは、まさにそのプロセスにおける重要プレーヤーです。
こうした役割への期待から、インサイドセールスのKPIはアポイントメント取得件数に限らず、フィールドセールスと連携した上での「受注金額」などを設定する企業も少なくありません。
顧客の課題をいち早く察知。アップセルの役割も担う「カスタマーサクセス」
次に、カスタマーサクセスの具体的な仕事内容について解説します。
カスタマーサクセスは、契約後の顧客に対する初期設定サポートに始まり、さまざまなフォローを行うことで、自社の提供サービスの価値を最大化することに特化した職種だと言えます。
サブスクリプション(継続課金)を基本とするSaaS系プロダクトでは、「顧客にサービスを使い続けてもらう」ことが重要です。そのため、解約率を重要指標として追い掛けている企業も少なくありません。
製品・サービスを導入後に、顧客とのコミュニケーションを継続的に図っていくという意味では、カスタマーサクセスは「顧客の新たな課題をいち早く察知できるポジション」であるとも言えるでしょう。そのため、フィールドセールスとの連携によって、カスタマーサクセスがアップセルの役割を担っている企業もあります。
先ほど紹介したインサイドセールスも、またカスタマーサクセスにおいても、日進月歩でアップデートされる自社製品・サービスの最新知識を身に付けていることが強く求められます。社内で積極的に勉強会を開催したり、社内資格を設けて学びを促進したりといった仕掛けが重視されています。
業績だけでなく「顧客や関係者を成功に導いた経験」を重視して採用
インサイドセールスやカスタマーサクセスに適したスキルを持つのは、どのような人材なのでしょうか。
企業によって重視する点は異なるものの、「従来の営業パーソンとしてのスキル」に注目して採用するケースが多いようです。「テレホンアポインターとしてのアポイントメント取得力」や、「顧客との継続的な関係構築力」を活かし、フィールドセールスと主体的に連携していける人材かどうかを見極めています。
前職で営業を経験している人との面接であれば、単に数字で業績を聞くだけではなく、「顧客や社内関係者をどのようにして成功に導いてきたのか」といった経験を聞くことも重要でしょう。
一方で、日本ではインサイドセールスやカスタマーサクセスは、まだまだ新しい分野です。企業によってその役割や定義付けは異なり、各社各様の「型」を生み出そうとしている段階でもあります。
そのため、インサイドセールスやカスタマーサクセスを担う人材には、「自らが新たな成功事例を作っていく姿勢」や「周囲に成功事例を発信して情報共有していく姿勢」も求められるのではないでしょうか。
データ化・効率化により「顧客の課題解決に注力できる営業職」に人材が集中する
アメリカでは、広大な国土の中でビジネスをしなければならないという地理的な事情や、以前からビデオ会議システムなどが広く普及していたという背景もあって、営業職の約5割がインサイドセールスとカスタマーサクセスで占められていると言われます。
日本でも、今後は同様の流れをたどっていくことが予想されます。インサイドセールスやカスタマーサクセスの人材が急増し、企業が予想しなかった機能や工程をも担う時代が訪れるのかもしれません。
従来は「気合」や「根性」といった精神論の世界でもあった営業職ですが、これからは顧客へのアプローチ履歴をデータ化して分析し、効率的に営業活動を行う企業が確実に増えていくはずです。
こうした流れの中で、「無理やり売る営業スタイル」を続ける企業からは、人がどんどん流出していく未来も予想されます。逆に言えば、「純粋に顧客の課題解決に注力できる」営業職が人気となり、そうした体制を持つ企業に人材が集中していくことも考えられるでしょう。
顧客の課題が複雑化する中では、どんなに魅力的な商品・サービスでも「放っておいても買ってもらえる」状況にはなりません。
どのように顧客の課題を捉え、解決策を提案していくのか。これは人間にしかできない仕事だと言えます。その価値を最大化するためにも、インサイドセールスやカスタマーサクセスの役割を正しく定義し、組織を構築していくことが求められています。
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