採用担当者の声
佐藤氏:先日、今後の中途採用のマーケットに関するセミナーを受けました。その中では、優秀層の奪い合いは今後さらに激化していくというデータが示されていました。
これからの採用は、「応募者から選ばれる」ためのコミュニケーションをどう取るのか、自社への志望度をどうやって高めるか、というアトラクト(入社意欲の高め方)が重要であると考えています。しかし、なかなか難しいというのが率直な思いです。
村尾からは、「入社していただくためのポイントが給与面なら、調整できるから相談してくれ」と言われています。しかし、それが社風だと、どうしても決定打がみつけられない。だから面接時に、応募者本人に志向性を確認するしかありません。
限られた時間の中で、応募者がどんな志向を持ち、どういう転職活動をしているのか、ゴールは何か、入社後のキャリアパスはどうなのかなど、面接官が確認していかなくてはならない。
だからこそ、面接官のスキルが、とても大事になってきている、と感じていました。
佐藤氏:弊社人事部には面接官の意思統一をするような、明確なポリシーはありません。しかし、それに代わるものとして「面接とは人と人の繋がり、互いのことを知る時間である」という考え方を大切にしています。
面接は、私たちが応募者のことを知るのと同時に、応募者が私たちのことを知るための場でもあります。
私たちは選考する側として、確認すべき評価項目に基づいた質問をすれば、必要な情報を得ることは簡単です。ですが、選考される側の候補者にとって、面接は緊張する場です。緊張感に飲まれてしまい、知りたいことを聞けずに、あるいは言いたいことを言えずに不完全燃焼で面接を終えてしまう。そんな候補者は少なくありません。
正直、面接の流れなんてどこの会社も変わらない。その前提のなか、面接官として応募者に何を提供できるのかが重要だと考えています。私が入社してから、村尾と何度も互いの面接に同席し、アドバイスを受ける中で、村尾から学んだのは、候補者がリラックスできる雰囲気をつくることでした。
村尾氏:リラックスできる雰囲気というのは、聴くべきことは、しっかりと聴いたうえでのお話ですね。
佐藤氏:私自身、一人の候補者としてSB C&Sの面接に臨んだ際の記憶が鮮明に残っています。実は、その時の面接官が村尾でした。
村尾との面接は、もちろんちゃんとした仕事の話はするのですが、笑いしかない。和気あいあいとした雰囲気で、あっという間に1時間が過ぎていました。当時を振り返ると、私をリラックスさせるための雰囲気を、村尾が意識的に作ってくれていたのだとわかります。
私が面接官をするときは、その時の面接をイメージしています。面接は、お互いの事を知る時間ですから、応募者がリラックスできる面接が一番良い。応募者も面接官もお互い時間を1時間使っているのだから消化不良は良くないと思っています。
悲しいのは面接が終わった後に、エージェントから「応募者様からご質問をいただきました。」と、たくさんの質問が来てしまった時。自分自身の力不足を痛感するタイミングです。
今では、そうならないように意識しているからか、面接後の応募者からのフィードバックでは「意向が高まった」との声を多くいただけるようになりました。
しかし、直近ではコロナの影響もあり、オンライン面接も実施するようになりました。慣れている対面の面接とは異なり、探り探りで面接をしているのが実態です。部門面接官もオンラインで対応をしてくれていますが、どうしても細かい部分が伝わらないこともあります。
そうすると、ぜひ入社して欲しいとオファーをした応募者が、他社へ意思決定してしまうということも起きてしまいます。人事の方なら、誰もが経験をされているとは思いますが、辞退が発生すると、自分自身、何が悪かったのだろうかと反省しますし、悩みます。だからこそ、何か良い方法はないだろうかと信頼しているエージェントに相談をしました。
採用担当者によるHRアナリストの感想
佐藤氏:実は、以前にも1度、HRアナリストの提案を受けたことがありました。当時は採用ポジションも多く余裕がありませんでした。改めてこのタイミングで、再度ご提案をいただいたので、試しにご辞退になった方々の分析結果を確認しました。そしたら、この分析結果が当たっていたんです。さらに、私自身の診断結果でも、タイプ情報(特徴や行動特性)の項目がぴったりで驚かされました。
HRアナリストは使える、そう確信した瞬間でした。
ちょうどその時、Nさんとのオファー面談が既に設定されており、そこで活用しようと思いました。面接官として、Nさんとは2回ほどお会いしており、お人柄は理解しています。NさんのHRアナリストの分析結果を見て、これはめちゃくちゃあっている、改めて信頼できると思いました。
Nさんは、頭の回転がとても速く、その場で様々な質問を的確にされる方です。オファー面談で十分な回答ができるように準備をするために必要性を感じていた私は、HRアナリストで『動機づけのポイント』を読み、どのような情報提供をするのか、またその他にも想定される質問に対しての回答を準備していきました。
お陰様で、オファー面談当日はNさんに対して、手応えのあるコミュニケーションを取ることができ、無事に入社意思を固めていただくことができました。
村尾氏:SB C&Sではテクノロジーを積極に取り入れており、AIを活用した採用活動も行っています。AIの良さは、人と違ってどんなタイミングや時間、場所でも、同じ考え方をもってやってくれるということ。大量にご応募いただいた方を、入口の部分である程度スクリーニングすることでの活用はできると思います。
しかし、意思決定という最後の部分で使うことにはならないと考えています。不合格にした人については、改めて人が見るべきだと思います。この点はAIを採用という場面で活用していくうえで課題になってくる部分なのではないでしょうか。
佐藤氏:面接は、あくまでも人対人です。これは面接で一番大事な部分だと思っています。それ以外のものに頼りすぎることは避けたい。HRアナリストに関しても同じです。面接に関しては自分の中で、見極め方をつくっています。そこに面接官をサポートしてくれるツールとして活用させていただいています。
今後はオファー面談の時に活用できるのではないかと考えていますが、まだまだ私も試行錯誤している段階です。面接をしていると、今日の応募者はしっかりパフォーマンスを出せたのかなと思う時もあります。そう感じた場合には、面接後にHRアナリストの分析結果を読み返して、「こういう対応をした方が良かったのかも知れない」と振り返りに使うこともあります。
他部門への展開は、自分自身が面接官としてHRアナリストをいろいろ体感した後の方が良いと考えています。展開していくと、現場面接官からの質問も出ると思うし、そこにお応えできるようにしないといけないですから。ある程度、自分の中でクリアになったら、他の面接官に声をかけて活用していく予定です。
HRアナリストは様々な採用戦術を提案してくれるツールなので、その提案内容を吟味しながら、今後も弊社にとって必要な面接改善を続けていきたいと思っています。
*記事内容や社員の所属は、取材当時のものになります